1. 電装(中国)投資有限公司(DICH)の設立
1. 電装(中国)投資有限公司の設立
21世紀初頭、中国が世界貿易機関(WTO)に加入し、投資環境が日ごとに整備され、日本の自動車業界にも中国投資ブームが巻き起こった。デンソーも流れに遅れまいと、2002年のグローバルグループ方針で「地域軸」の経営について初めて言及し、中国も初めて重点強化地区として位置付けられた。これはデンソーグループが21世紀に向けたグローバル戦略の中で、中国事業を強化し、そのプロジェクトを推進する決議を正式に始動させたことを意味した。


当時の中国市場は急速に発展し、デンソーの海外事業の中で重要な位置にあった。デンソーは会社の総力をあげて中国事業のプロジェクトを推進し、時の副社長犬飼卓生が自ら陣頭指揮に立ち、このプロジェクトのリーダーを担当した。デンソーは欧米での工場建設の投資経験を活かして有効な投資計画を策定した。2003年2月に中国全般の事業を統括する会社、電装(中国)投資有限公司(DICH)を設立し、山田昇を総経理に任命した。これ以前の第1段階の事業では、デンソーは主に合弁会社の形式で中国地域事業のネットワークを構築していたが、2003年以降の第2段階では、中国経済がさらに開放され大きく変化する流れの下、さらなる事業の開拓が行われた。この時の飛躍的な発展は、速度においても規模においても前段階をはるかに超えていた。
DICHの使命は、各生産会社の営業部門を一元管理するとともに人事、経営などの部門を統合すること、すなわち機能の分散と集中であり、業務効率を向上させることであった。当時、中国の統括会社の方式は通常「傘型構造」であったが、将来的な中国での成長を見越し、デンソーは確信を持ってこの方式を選択し、設立時に日本本社から資本金3,000万米ドルを投入した。DICHの設立は中国地域事業の発展に自信を与え、またそれはデンソー本社の新たな成長市場・中国重視の表れでもあった。
2. 電装(中国)投資有限公司成立10周年
2013年はDICH設立10周年であった。わずか10年の間に、中国経済は驚くべき大成長を遂げ、自動車保有台数は億の時代に入り、自動車産業にも質的な変化が生じた。産業は「大きく」から「強く」へ変わり、自主ブランドの育成や新エネルギー産業の発展のための政策も次々と打ち出された。この10年の間に、DICHは2008年の四川汶川大地震、2009年の金融危機、2010年のトヨタ自動車の大規模なリコール、2011年の東日本大震災などの一連の危機を経験したが、総智・総力の精神をかたくなに守り、数々の試練に打ち勝った。デンソーは長年培った「モノづくり」の強みを発揮し、顧客を長期・安定的に維持するとともに、地域の人脈を積極的に開拓し、現地の顧客に対しても拡販を行った。このため厳しい市場競争の中であっても、規模や効率、利益によって成長することができ、売上は10年間で10倍以上増加した。その時、従業員800人余り、売上高200億元、関係会社27社、関係会社従業員1万2,000人余りの大規模な会社となっていた。
2013年11月27日、DICH設立10周年のメディア感謝会が北京で開催され、山田総経理、札内常務副総経理、吉田副総経理、向井副総経理、犬飼副総経理が式典に出席し、全国から集まったメディア約40社と歓談、親しく交流した。山田総経理は中国進出後のデンソーの歩みを回想するとともに、グローバルグループが共同で推進する2020年長期方針、「地球と生命を守り、次世代に明るい未来を届けたい」、そして「格差のない安定した社会、質の良い生活・消費への転換」という中国地域の2025年の未来社会構想をメディアに紹介した。また、デンソーグループの長期方針の下、DICHは地域の手本としての役割を果たし、これまで通り地域でのビジネス推進に挑んでいくと表明した。中国を「グローバルデンソーの事業をけん引する地域」にし、「地域から愛され必要とされるデンソー」という目標を実現するため、たゆまぬ努力を続けていく。
3. 電装(中国)投資有限公司成立20周年
電装(中国)投資は2023年、設立20周年を迎え、「DICH20周年,感謝与我併肩(DICH20周年、ともに歩んできたことを感謝)」というテーマで、一連の20周年記念イベントを開催した。この度のイベントを通じて、DICHでは20周年の発展の歴史や感動的な瞬間を振り返り、従業員の一体感を高め、ともに歩んできた従業員とその家族に会社からの感謝を表した。また将来を展望し、先行きが不透明な経営環境の中で2023年の第2創業期に立って原点回帰し、2035年に向けた経営方針を再度浸透させ、会社のビジョンに対する従業員の共感を高めて、従業員のチャレンジ精神を奮い立たせた。
DICHの支店はさまざまな都市に分散しているため、記念イベントはオンライン形式とオフライン形式の2種類で計画された。最初に登場したのは、『社長にお聞きしたい 20周年スペシャル版』で、経営陣と従業員代表が招待され、DICH設立の背景や20年間の中国自動車市場の環境変化を振り返り、従業員の関心が最も高い中国系の拡販などの問題についても対話した。これにより現在の会社の経営状況と課題が理解され、社内にチャレンジする風土が培われた。またDICHの既存のオンライン学習プラットホーム「雲学苑」を利用して、デンソーに関する知識を学ぶチャレンジコンテストを実施し、従業員がデンソーのスピリット、強み、持続可能な経営など、長年にわたって積み重ねてきた貴重な経験を見つめ直し、発展の方向性を定め、新たな挑戦に向けて出発するように導いた。
イベントの終盤では、2023年10月20日に支店でのオフラインミーティング+Teamsでのオンラインクラウドミーティングの形式で、DICH20周年記念式典が盛大に行われた。井上英治CEOと各副総経理(陳EVP、池戸EVP、石山EVP、羽谷EVP)、そしてDICH各支店の従業員がこの記念イベントに参加した。井上CEOは会社を代表して、20周年についての貴重なスピーチを行い、従業員およびその家族に対して感謝を述べ、熾烈(しれつ)な競争環境の下でも恐れずに挑戦し、未来を抱きしめるように激励した。またこの20周年の機に、5年、10年、15年の長期勤続者の表彰式も行われ、勤続20年の創業時からの従業員にはナイトライトの特別記念品が贈呈された。
最後に、各支店がそれぞれオフライン形式で20周年支店ファミリーデーを開催。従業員とその家族を職場に招待し、企業文化に触れさせた。さらに心のこもった贈り物も用意され、従業員およびその家族に対する会社からの感謝の気持ちが示された。
DICH20周年、go together to the future!