第2章 勢いを蓄える(2003~2018年)

6. 電装(天津)空調部件有限公司(DMTT)の設立

1. 電装(天津)空調部件有限公司の設立
2006年工場完成
2006年工場完成

電装(中国)投資(以下、DICH)は、早くも2003年に、天津開発区で生産・組立を一体化した大規模なエアコン生産会社の設立を協力パートナーと計画していた。当時、天津市の土地政策の規制などにより、この計画を2段階に分けて実施することを決定した。第1段階としてまず組立中心の工場、つまり天津富奥電装空調有限公司(TFDA)を設立し、第2段階でエアコン部品の現地集中生産の会社を設立するというものだった。だが、工業用地市場の規範化などの一連の政策が登場し、土地購入の難度が一気にあがった。それでもDICHはあきらめずに、政府部門との交渉を繰り返し、最後には、この天津地区の発展に寄与する工場の建設に対する理解と支持を得ることができた。2005年2月、電装(天津)空調部件有限公司(以下、DMTT)が正式に設立され、同年5月に定礎式が行われた。2006年2月に工場が完成し、長年計画していたエアコン部品の現地生産を開始、8月5日に初回納品に成功した。

DMTTは、デンソーの日本本社がグループのグローバル方針を発表した後に中国で初めて設立された生産会社であり、中国地域の関連会社の規模がデンソーのグローバルグループの基準と合致し始めたことを表していた。その設立の成功は重要なマイルストーンとしての意義があった。2019年1月、電装(天津)空調部件有限公司(DMTT)が天津電装空調有限公司(TDA)を合併した。2021年、DMTTの南工場(旧TDA、現・電動工場)が1期拡張事業を行い、2022年に2期拡張を行った。

2. 電装(天津)空調部件有限公司10周年

2016年7月1日、DMTTが10周年の祝典を迎えた。午後2時、劉副区長をはじめとする天津西青区の幹部、デンソー幹部、デンソー各社の総経理、さらにDMTTのOBらの30人余りのVIPが、この祝賀式典用の特製のネームカードをつけ、統一した服装のエスコート役に伴われて登場し、DMTT10周年を喜び、華やかな式典をともに楽しんだ。式典の開始前には、西青区の幹部、福岡総経理およびデンソーの幹部が貴賓室で会談を行い、今後の発展と期待について意見を交わした。

午後2時20分、式典が正式に開幕した。まず福岡総経理が台上で挨拶し、各来賓に感謝のことばを述べた。続いて劉副区長、デンソーの幹部も挨拶を行い、これまでの発展を振り返り、現在の情勢に触れ、未来の明るい展望を描き出した。その後、ベテラン従業員の宣誓が行われ、気合の入った誓いのことばに、会場にいた全員が奮い立った。続いて、植樹式がにぎやかに行われた。銅鑼(どら)や太鼓の音が空に鳴り響くなか、獅子舞に導かれて来賓たちは会社の庭へと向かい、そこで10周年記念の植樹を行った。炎天下ではあったが、参加者たちの熱い思いと歓びが損なわれることはなかった。植樹式が終わると、従業員たちは列をつくって西青区幹部を見送った。続いて、デンソーの幹部と各社の総経理たち、DMTTのOBがグループに分かれてDMTTの現場視察を行った。

夕方6時、10周年の宴会が津利華酒店で盛大に行われた。宴会は、「DMTT10周年」を祝し、幹部たちが共同でお酒を注ぐ華やかなセレモニーで開始され、さらに輝かしい次の10年の幕開けを象徴しているようだった。その後、DMTTの2人の総経理が挨拶を行い、DMTTが今日まで一歩一歩歩んできた数々の出来事を振り返った。設立当初のつらい日々もあれば、今手にしている歓びもあった。その後の演目では、生産課の自作自演のダンス『兄弟姉妹向前冲(兄弟姉妹前へ進め!)』に、宴会の盛り上がりも最高潮へと向かい、彼らの素晴らしい社風を目にすることができた。またその後、勤続10年の従業員の家族が琴を演奏し、その場の人たちに次の世代が育っていることを印象づけた。そして中国文化を代表する四川の「変面」も会場に登場した。宴会の最後に、皆で『朋友(友だち)』を歌い、この素晴らしき祝賀式典が閉幕となった。

3. 电装(天津)空调部件有限公司
コロナ禍でも供給継続を守るために宿泊生産を敢行

2022年5月28日コロナ感染再発。 同年1月に続き天津市西青区が再びコロナの標的になった。

区内感染者発生を受け区当局は全域の閉鎖を急遽決定し、当日全社棚卸日で出社した社員や各種工事をするために訪れていた取引先業者は帰宅不能に。生活に不安のある中で、これに負けずに顧客への供給責任を果たすためにDMTTは宿泊生産を早期に決定し、全社を挙げ準備に取り掛かった。過去実績が無い中、また日本人出向者も出勤がままならない中、現地に残された管理者は迅速かつ大胆に現地で急遽対策案を急ピッチで検討、準備を強力に推進し始めた。限られた人材・部材での生産活動検討、人員の追加に向けた自宅にいる従業員とのコミュニケーションの継続、同じく閉鎖された中にある取引先様からの部材供給確保、会社で生活する従業員の衣食住の確保、社内防疫体制の構築等、全域に亘る検討を正に総智総力で進めた。

このような中、自宅に残された家族を気遣いながらも必死に生産活動を続ける従業員・取引先業者を支えるべく、可能な限り快適な就寝環境の整備、多様な食事の確保、就業後の娯楽の確保や誕生日パーティーの開催等を現地管理者主導で実施し、従業員のモチベーションを維持していく中、続々と会社宿泊を前提とした勇気ある追加応援人員が会社にやって来くることとなった。

閉鎖期間は、6月6日まで10日間に及び、延べ600人が宿泊生産を敢行した結果、顧客への供給を確保することが出来た。

閉鎖期間の奮闘を称え、取引先業者含め活動に貢献された皆様を表彰させて頂き、勇気ある生産活動継続を全社を挙げ労うと共に、開放を皆で祝福した。

この期間の奮闘はDMTTの更なる全社一体感を喚起し、強固な会社風土づくりへと繋げることとなった。

4. 電装(天津)空調部件有限公司18周年記念ファミリーデー開催

2023年9月10日、過去コロナ禍もあり開催を断念してきたファミリーイベントを、コロナからの解放や会社設立18年を記念し、「18而至 未来可期」をテーマに掲げ、会社・従業員共に18年の時を経て大人になり、更なる明るい未来へ成長していこうとして盛大に開催した。

いつもの“会社”は、華やかで明るい今回専用の共通テーマの旗やラッピングで彩られ、全従業員お揃いのTシャツを着て家族500人を明るく招き入れ、開会式がスタート。
18年目社員と新入社員が司会を務める中、社員の子供たちが観客席の前面に陣取る中、18年目の社員による出し物、小さな子供たちによるダンス、出向者によるダンスなど盛りだくさんのショーを開催、途中で雨が一時的に降る中でも大きな盛り上がりを見せた。

ショーの後は、工場では従業員家族との工場見学を誘導しながら、教育センターや緑化スペースでは小さな子供たちを招き様々な遊びスポットで社員が楽しませ、オフィスでは従業員の業務スペースを案内するなど、従業員が頑張っている場を家族に存分に披露した。

遊び・見学の後は、屋外BBQ含めたビュッフェ形式での昼食食べ放題に招待。ここでも残念ながら雨が降って来るも、従業員・出向者による焼肉を盛大に振舞った。

最後は、全家族での賞品抽選会が開催され、子供たちが大盛り上がりする中、多くの従業員達がお土産を持って帰宅することとなった。

全従業員が楽しみにして来たファミリーデーはこうして幕を下ろし、様々な困難を乗り越えて来たDMTTの18周年を家族と共にお祝いすることが出来た。

事後アンケートでも殆どの従業員・家族から好評価を獲得し、従業員と家族にとって大変有意義な時間となった。