第2章 勢いを蓄える(2003~2018年)

7. 無錫電装汽車部件有限公司(DMWX)の設立

1. 無錫電装阪神汽車部件有限公司の設立

中国の自動車市場拡大に伴い、顧客(カーメーカー)から中国現地で点火コイルを生産してほしいと要望が寄せられた。デンソーはこれを前向きに検討し、最終的に現地での生産に踏み切ることにした。当時生産していたのはスティック型点火コイルのみだったが、顧客の必要に応じて、別の種類の点火コイルも生産する必要があり、このため、デンソーは阪神エレクトリックとの共同生産を選ぶことにした。度重なる話し合いの後、双方は契約を締結し、無錫に合弁会社を設立することを決定した。無錫は「太湖の明珠」で名高く、江南の水路輸送網の要所である。この地の河川は縦横に交差し、南北の交通は極めて便利だった。それまでデンソーは天津と広州地区で工場建設に投資していたが、この時の華東での投資はこれまでとは全く異なる新たな展開となった。2005年3月、無錫電装阪神汽車部件有限公司(以下、無錫電装)を正式に設立した。2007年7月11日、無錫電装の第1工場の開所式が行われ、数多くの政府幹部が式典に姿を見せた(そのなかでも無錫市新区の貢区長、新区管理委員会の洪副書記をはじめとする政府関係者からは大きな力添えをいただいた)。そして、無錫電装の点火コイルの正式な量産が開始された。

2013年1月、複合生産拠点へと進化させるため、無錫電装阪神汽車部件有限公司を単独資本化し、名称を無錫電装汽車部件有限公司(以下、DMWX)に変更した。以後、華東地区におけるデンソー中国グループの複合型の生産会社として、多数の新製品—センサー、点火プラグなどが段階的に導入された。また、華東地区の顧客の需要を満たすため、カーエアコン製品の生産も受け入れることにし、2016年に正式に生産を開始し、年間生産台数約52万台を見込んだ。さらに当時の工場建屋の規模では新製品展開の要件を満たせないと考え、無錫新区政府と(新工場建設に向けた)土地購入および増資などについて友好的な話し合いを行い、2013年12月13日に契約の締結式を行った。この式典に無錫新区の許剛書記、洪延煒副書記、DICHの山田昇総経理、電装(天津)空調部件(DMTT)の白根総経理、DMWXの池戸総経理らが出席した。

2014年8月6日、第2工場の起工式が行われ、数多くの政府幹部とデンソーの幹部がその祝賀式典に参加した。エアコンとエンジン事業関連の新製品が投入され、DMWXの未来に飛躍的な成長のチャンスがもたらされた。

2. 無錫電装汽車部件有限公司10周年

2016年6月30日、「十年風雨路、輝煌写春秋(10年の風雨之路、煌きが春秋を写す)」をテーマに、DMWXで10周年祝賀式典が華々しく行われた。デンソー本社から安達美智雄専務、黒川事業部長、またDICHの村上総経理ら多くの幹部がこの祝賀式典に参加した。

午前9時18分、式典が正式に開始された。DMWXの池戸総経理、日本本社の安達専務、DICHの村上総経理がそれぞれ挨拶を行い、10年来の無錫市とDMWXの大きな変化を振り返り、新たな経済環境下でのDMWXの将来の展望を語った。さらに全従業員に深い感謝の意を表し、今後の働きに期待すると述べた。挨拶終了後、来賓と会社の幹部が記念のオブジェに酒を注いで10周年を祝い、さらに工場敷地に「たくましい生命」を意味する無錫市の木—クスノキを植えた。

祝賀の感謝パーティーでは、会社の各部門の従業員が多彩な演目を披露した。芝居『花木蘭』、デュエット曲『被風吹過的夏天(風に吹かれた夏)』、扇子の舞『青花瓷(青花磁器)』、独唱『好日子(めでたき日)』などの演目に宴会のムードも大いに盛りあがった。記念写真の撮影後、宴も終わりに近づいたが、DMWXの前進の歩みが止まることは決してない。従業員たちが奮闘努力した精神も終わることはない。今後の前進の道においても励み続け、輝かしい栄光をつくりあげる。