欧州地域の物語

第1章 デンソー・ヨーロッパの歩み

日本電装本館(愛知県刈谷市、1949年)
日本電装本館(愛知県刈谷市、1949年)

長く輝かしい歴史を歩むデンソーは、1949年の創業時には規模は小さかったが、その後大きく発展した。その間に製造、研究開発、技術力の面に加え、事業の規模と範囲でも大きく変化してきた。現在では16万5,000人近い社員を抱え、グローバルに事業を展開する市場のリーダーとしての地位を確立している。

世界中のさまざまな市場における成功を支えてきたものは、事業を展開するそれぞれの業界で変化し続けるニーズに対応しながら、特定の地域の文化や要件に合わせて製品とサービスを改良する、比類なき能力であった。デンソーを構成する各事業体は、それぞれの地域の違いを反映しながら、同時に本来の「デンソースピリット」を固く守り続けてきている。これはデンソーの歴史が幕を開けた時から今日まで変わることなく、デンソーの成功に重要な役割を果たしてきたものだ。

しかし日本の自動車部品メーカーが、いかにしてヨーロッパでこれほど大きな存在感を示すようになったのだろうか。このことを理解するには、まずは歴史的な背景とともに、日本国内の経済的あるいは政治的背景をより広く理解する必要がある。この章では、デンソー・ヨーロッパの歴史におけるいくつかの節目を取り上げてその発展を探るとともに、それがこれまでの事業をいかにして形作り、将来に向けたビジョンを示しているのかを明らかにする。