トップメッセージ
- 役職
- デンソー欧州地域CEO
- 名前
- 伊藤健一郎

ダイバーシティとONE DENSOで未来を切り拓こう
1973年、デンソーは当社初のヨーロッパ本社であるデンソー・ヨーロッパをオランダに設立しました。1970年当時、デンソーは自動車業界で世界的なプレーヤーとなるために、世界有数の自動車メーカーと、自動車技術分野における主な競合メーカーが数多く存在するここヨーロッパで、事業の足がかりを築くことが非常に重要だと考えていました。
この時期、アメリカでは大気浄化法改正法(マスキー法)が導入され、アメリカ市場への参入を目論むすべての自動車メーカーは、自動車用エアポンプの装着を義務付けられました。この要件が導入されたことで、デンソーはポルシェ社と最初の取引契約を結び、その後すぐに他のヨーロッパの自動車メーカーとも同様の取引契約を結びました。ヨーロッパの自動車メーカーは、デンソーのエアポンプが大気浄化法改正法の遵守に必要不可欠なコンポーネントであると認めました。このことがデンソーにとって、ヨーロッパ進出の重要な足がかりとなり、その後の数多くの成功の第一歩となりました。
デンソー・ヨーロッパの設立以降、デンソーはヨーロッパで目覚ましい事業成長を遂げました。その成功要因は、先人の方々が「ヨーロッパのお客様に貢献し、ヨーロッパ社会に受け容れられたい。」という熱い想いを持ち、デンソー自らの力で販売、生産、技術開発と機能を拡充してきたことに加え、他社の力を活用して協業を進め、事業成長をしてきたことです。特にロバート・ボッシュが手掛けていなかったサーマル事業において、自前での機能拡充と、同業他社との協業を戦略的に進化させてきたことが、ヨーロッパにおける成長ドライバーになってきました。デンソーのヨーロッパ事業・オペレーションは、2024年4月現在、15ヵ国、36社、約1万4000人の社員を有するまでに成長を遂げました。
ヨーロッパのデンソーの強みは、多様なお客様とお付き合いをさせていただいていること、多様な国籍や経験を持った社員が働いていること、つまりお客様と社員のダイバーシティが、他の地域では見られない強みです。ヨーロッパのデンソーは、様々なお客様の高い期待や厳しい要求に応えてきたことで、鍛えられ競争力を高めてきました。またお客様の期待に応えるために、多彩な人財がそれぞれに経験を積み、個々人の能力を発揮し成長してきました。一方、ヨーロッパ地域としての一体感を持ち、Oneヨーロッパ・デンソーとして様々な危機を乗り越えてきました。例えば、2000年代初めの赤字経営から脱却すべく、採算向上・黒字化活動に地域一丸となって取り組んだこと、2008年の世界金融危機を雇用を守りながら総智・総力で乗り越えたこと、そして2020年の新型コロナウイルス感染症の危機を、リーダーシップ、働き方変革と新たなコミュニケーションのやり方で克服したこと、そしてそれに続くReborn21変革活動です。
デンソーは現在、第2の創業期を迎え、事業ポートフォリオの変革、新価値創造に取り組んでいます。先の見えない正解がない時代だからこそ、ヨーロッパでのお客様と社員のダイバーシティは、次の時代を乗り越え、新たな成長をしていく上での、大きな力になると信じています。ヨーロッパにおけるダイバーシティを次の成長の原動力にしていくこと、そしてその力を次世代に継承していくことが、私たちの責務です。
ヨーロッパの地域史では先人の方たち、私たちヨーロッパのデンソーの仲間たちが、様々な局面でデンソースピリットを発揮し、どのようにして新しい価値を創造しお客様に認められてきたか、どのようにしてヨーロッパ社会に貢献してきたか、記載をすることに心がけました。読者の皆様にヨーロッパでのデンソースピリットをより深く理解いただけることを願っています。
最後に、ヨーロッパ・デンソーの先人の方々と仲間たちに心から感謝申し上げ、次世代の後輩たちにエールをおくりたいと思います。ダイバーシティを力に変え、次の成長に向けて共に走り出しましょう!