第1章 はじまり

6. “リーマン”の需要:DPAMリマニュファクチャリングの成功

最初から環境に配慮していたDPAM Murrieta Operations(旧AIMS)は、カリフォルニア水環境協会から1996年南カリフォルニア年間プラントとして認められた。もともとカリフォルニア州テメキュラに所在していたが、1993年にムリエタへ移転した。
最初から環境に配慮していたDPAM Murrieta Operations(旧AIMS)は、カリフォルニア水環境協会から1996年南カリフォルニア年間プラントとして認められた。もともとカリフォルニア州テメキュラに所在していたが、1993年にムリエタへ移転した。
サステナビリティを先取りしたDPAMのリビルト事業

1980年代半ば、先進、信頼、総智・総力のコアバリューが力となって、デンソーはカリフォルニアの小規模な「reman」生産ラインでリビルト事業を開始した。

デンソー・プロダクトアンドサービス・アメリカ(DPAM)グループの支援の下、専門のチームが10年に及ぶプロセスを開始し、優れた高品質リビルト事業を構築するために必要なエンジニアリング、生産およびマーケティング能力に磨きをかけた。

「1987年にスタートし、慎重に時間をかけて事業を成長させてきました」と、DPAMムリエッタのシニアマネージャーであるハイメ・フランコ(Jaime Franco)は言う。「マーケティングリサーチとディーラー教育の実施と同時に、専門知識と生産能力に磨きをかけました。目標はデンソーの品質に注力して他社との差別化を図ることでした」

変化するビジネスダイナミクス

トヨタのスターターとオルタネーターはデンソーがリビルトした最初の製品であった。その後、消費者がより高品質なクルマをより長く乗り続けるようになって需要が高まると、DPAMは他の自動車メーカーと市販向けブランドオプションに事業を拡大した。

しかし当時も現在も、生産量と車両生産ライフサイクルの両方で、市場の成長および縮小期間に生産を合わせることが課題となっている。

「リビルトはOEの生産量と密接に関係しています」と、1982年にデンソーに入社し、現在はDPAMの副社長を務めるフラン・ラブン(Fran Labun)は言う。「そのため、生産プロセスを柔軟にして変化に即応することが重要でした。市場は常に変動しているからです」

テメキュラでの始動

DPAMの最初の生産ラインはカリフォルニア州テメキュラに置かれた。チームはここでリビルト事業の基礎となる部分を作り上げた。回収可能な部品を見極め、製品仕様を分類し、製造品質と効率を確立して、保証交換のためにリビルト部品を用いる顧客の承認を得た。

「これはデンソーにとってまったく新しい活動でした。DPAMは、何を回収・再利用できるのか、製品がどのように経年劣化するのか、どの品目を完全に交換する必要があるのかを、理解する必要がありました。私たちの基準は第一に品質、次にコスト効率と資源利用によって決定されました」とラブンは説明する。

しかし、初期の顧客がリビルト部品を求めて殺到することはなかった。実際DPAMは、ディーラーの抵抗や、競合他社の低価格・低品質な製品によって生まれた悪いイメージを払拭する必要があった。

示して、伝える

市場の懐疑的な態度はデンソーにとって目新しいものではなく、製品を見れば分かってもらえることを、チームは理解していた。社員たちは展示用のカットモデルを手にディーラーからディーラーへと渡り歩き、ディーラーの一般公開イベントを訪ねては、OE仕様の品質と精密な部品のリビルトを紹介した。

それはデンソーが昔から得意としてきた、直接顔を合わせて行う顧客関係の構築であり、実際これが功を奏した。デンソーが純正OEMとして部品をブランド化したことで、ビジネスの前に立ちはだかっていた最後の障壁がほぼ取り除かれた。

「当時のお客さまは二つの市場の動きに対応しようとしていました。一つ目は輸入関税による部品の価格上昇です。デンソーは当時、北米で部品を製造していませんでした。そして二つ目は、電子技術のせいでますます進んでいた部品の複雑化です。マーケティングの観点から、コスト削減と品質のバランスのとれたメッセージを送り、顧客、小売、消費者にリビルト品の基準が新品同様であることを教育する必要がありました」とラブンは説明する。

ムリエタオペレーションズの水リサイクルプログラムは、『ビジョン』第13巻第2号に特集された。1997年以来、この施設では製造プロセスの水、清掃用水、さらにはエアコンの凝縮水を100%リサイクルしており、市の下水道システムへの排水は一切ない。このプログラムは現在も継続しており、FY25(2025会計年度)には再製造プロセスで発生する蒸気のリサイクルを開始するために拡大する予定。
ムリエタオペレーションズの水リサイクルプログラムは、『ビジョン』第13巻第2号に特集された。1997年以来、この施設では製造プロセスの水、清掃用水、さらにはエアコンの凝縮水を100%リサイクルしており、市の下水道システムへの排水は一切ない。このプログラムは現在も継続しており、FY25(2025会計年度)には再製造プロセスで発生する蒸気のリサイクルを開始するために拡大する予定。
循環経済

2003年にヘビーデューティなスターターとオルタネーターを製品ラインナップに追加したDPAMは、権威ある「キャタピラー社プラチナ・サプライヤー品質エクセレンス・プロセス(Caterpillar Platinum Supplier Quality Excellence Process)」を何度も受賞している。

現在、カリフォルニア州ムリエッタを拠点とするDPAMのリビルト事業では、スターター、オルタネーター、コモンレールシステム用ディーゼル燃料噴射などの一連の製品を取り扱っており、重要な収益源となっている。

しかし最も重要なのは、年間約70万個の部品がリサイクルされていることだろう。

「再生された部品は循環経済に大きく貢献しています」とフランコは語る。「デンソーでは、それはデンソー品質のコンポーネントを回収し、問題のある部分を交換して、埋め立て処分せずに自動車部品のエコシステムに再投入することを意味します。そうすることで、二大目標である『グリーン(環境経営)』と『安心』を後押しするのです」

デンソーが顧客、消費者、地球、そしてデンソー自身にとってWin-Winの関係を築くことができたのは、1980年代の劇的な変化に的確に対応した柔軟性、まったく新しい能力を創造したビジョン、そして大目標への取り組みのおかげであった。

2015年に、DPAMムリエタは5年連続で権威あるキャタピラーのプラチナ・サプライヤー品質エクセレンスプログラム認証を受けた。この認証は、卓越したサービス、品質、納品性能に対するDPAMのコミットメントを認めたものである。これは、ハイウェイ重機メーカーであるキャタピラーが授与する最高の賞である。
2015年に、DPAMムリエタは5年連続で権威あるキャタピラーのプラチナ・サプライヤー品質エクセレンスプログラム認証を受けた。この認証は、卓越したサービス、品質、納品性能に対するDPAMのコミットメントを認めたものである。これは、ハイウェイ重機メーカーであるキャタピラーが授与する最高の賞である。