2. 「部品が合うかどうか」の疑問を解消する


デンソープロダクツアンドサービス(当時はデンソーセールスカリフォルニア)は、2003年11月に開催されたオートモーティブ・アフターマーケット・プロダクト・エキスポ(AAPEX)で、拡大するアフターマーケット製品ラインを展示した。 会社はこのエキスポで初めて「ファーストタイムフィット」点火ワイヤーセットを発表した。
1990年代半ば、カリフォルニア州にあるデンソーの市販本部に勤める敏腕マーケティング責任者や顧客担当課長たちは、北米の補修品市場が変化しつつあることに気付いていた。セグメント内の競争が激化し、需要は横ばいになったように見えた。
これまでデンソーが得意としてきたように、流動的な市場への参入機会を察知したデンソー・プロダクトアンドサービス・アメリカ(DPAM)は、セグメント全体で修理工場や技術者を悩ませている問題に対するブランド・ソリューションとして「First Time Fit®」を立ち上げた。
「私たちはこのカテゴリーの顧客と競合先をよく理解していました」と、1982年にデンソーに入社し、直近では市販や他のDPAMグループの副社長や部長を務めたフラン・ラブン(Fran Labun)は言う。「ほとんどのサプライヤーにはデンソーのようなOEMとの関係がなく、品質もよくありませんでした。これは製品が返品され、技術者の貴重な時間が無駄になっていたことを意味します」
このセグメントにおける第一の懸念は単純なことだった。この交換部品は適合するのか、という問題だ。
価値提案
「私たちのやり方は、独立した工場のプロフェッショナルたちに彼らが頼れる製品と、彼らに覚えてもらえるブランド名を提供することでした。私たちは当社のオリジナル製品(OE)の強みと伝統の価値を伝え、当社の製品が常に正しく適合することを保証するために、『First Time Fit®』を開発しました」
この戦略が功を奏し、「First Time Fit®」ブランドは急速かつ大幅に拡大した。この生まれも育ちもカリフォルニアのデンソーブランドは、すぐに点火プラグとエアコンキットの初期製品をはるかに超える製品ラインナップを提供することとなった。この中にはエアコンポンプ、O2センサー、燃料ポンプと噴射器、スターターとオルタネーター、エアフィルター、ワイパーブレードなどが含まれていた。

品質がソリューションを推進
「デンソーの製品を取り付ける小売店や工場にとっての高品質ソリューションの価値を、私たちは理解していました。彼らの評判とビジネスが、文字通りデンソーの製品に左右されることもありました」とラブンは言う。
こうした認識を持っていたこと、そして競争が激化したことで、DPAMが「First Time Fit®」の名を広めるために実施していたすべてにおいてカイゼンが継続的に行われた。この中にはモータースポーツのスポンサーシップ、業界イベントでの製品の展示、セグメントメディアでの報道などが含まれていた。
「『First Time Fit®』は市場ニーズへの直接的な対応でした」とラブンは振り返る。「競争が激化し、一部の自動車部品がコモディティ化する中で、デンソー製品の価値と完全性について語る必要があることは分かっていました。現在、デンソーの『First Time Fit®』は世界中で販売されており、NAPA社、カークエスト社、ワールドパック社からプロ向けに流通されるとともに、アドバンス・オート社、オライリー社などの大手小売店で販売されています」