6. ファーストタイムフィット® ブランドをレーストラックへ

市販パートナーシップとマーケティングが成長を促進
自動車、ディーラー、ガソリンスタンド、自動車部品小売店がひしめく国で継続的な拡大を目指すデンソーは、日本車購入者向けに市販エアコンオプションを流通させることで米国における戦略に着手した。計画は最初から成功を収めた。
1971年、米国のドライバーがガソリン価格や燃費に注目するようになり、小型車を求める声が高まる中で、デンソーは市販計画の第2段階に取り掛かった。この計画は全国的な部品販売業者のネットワークを活用し、信頼性の高い部品に対する需要の高まりに応えるためのものだった。
この自動車カテゴリー向け事業は活況を呈し、1990年代後半までには競争が激化して多くのサプライヤーが低品質・低価格の製品を市場に溢れさせた。デンソー・プロダクトアンドサービス・アメリカ(DPAM)は、深い市場知識、核となる顧客第一主義、製造の専門知識に基づき、2001年に「First Time Fit®」ブランドでこれに応えた。
「私たちは、修理事業者が信頼できる製品を提供することが重要だと理解していました」と、1982年にDPAMに入社し、最近では同社の副社長を務めたフラン・ラブン(Fran Labun)は言う。「そしてプロの工場だけでなく、個人で日曜大工的に修理をする方々にもサービスを提供できるようにしたかったのです」
現在では、全国で400を超える地域販売業者のネットワークと、大手自動車部品小売店(アドバンス社、オートゾーン社、カークエスト社、NAPA社、オライリー社、ペップボーイズ社など)がデンソーと提携し、業界をリードする信頼性の高いブランド名でOEMの高品質部品を提供している。

モータースポーツのパートナーシップ
しかし自動車愛好家の世界では、モーターと無縁の部品やレースと無縁のモーターは無意味である。このことをよく知っているDPAMは、「First Time Fit®」ブランドの品質と性能を証明しながら地元、地域、全国での露出を増やすエキサイティングで痛快な方法として、モータースポーツのスポンサーシップを模索し始めた。
「デンソーのレースへの最初の進出はバイクと点火プラグ販売からはじまり、全米ホットロッド協会(National Hot Rod Association、NHRA)との緊密なパートナーシップの下で今日に至っています」とラブンは語る。「私たちは製品とお客さまをつなぎたいと考えていました。NHRAが最高のプラットフォームとレースの機会を提供してくれました。ラスベガスでの最初のイベントに興奮し、インディアナポリス500でレースのスポンサーを務めました。そして現在、カリフォルニア州ソノマに新しい本拠地を構えています」
2018年、DPAMはNHRAと協力して、当時のスピード記録を更新しようとするバイクのドラッグレーサーのために、「デンソー200マイルクラブ」を創設した。さらに「NHRA BRAKESティーンドライビングプログラム」の人気ドライバーが、教育ツアーの一環としてデンソーの工場を訪問した。
要するにデンソーは認知度を高めるための土台としてモータースポーツのスポンサーシップを活用しながら、顧客に感謝し、顧客イベントを開催し、DPAMのあらゆる市場セグメントで事業を成長させてきたのだと、ラブンは言った。
ヘビーデューティのレクリエーション
最後に、DPAMの顧客パートナーシップと成長の歴史の中にはヘビーデューティカテゴリーが存在する。デンソーでは、これは自動車業界と関連しないあらゆるモーター事業を指す。
「フリートウッド社はキャンピングカーの大手メーカーです。当初デンソーはウォッシャポンプとリザーバーを提供しており、その後、ワイパシステムの設計と供給を開始しました。やがてダッシュボードのエアコンユニットを開発するようになり、最終的には一部の車両用に完全なHVACシステムを開発しました。これにはシャーシサプライヤーとの協力が必要でした」とラブンは言う。
デンソーがフリートウッド社とともに小規模で始めたこの事業は、能力の向上に合わせて信頼を獲得し、成長を遂げた。他のRVメーカー、とりわけデンソーが革新的なエアコンダッシュボードシステムを供給しているティフィンモーターホームズ社との新規事業を通じて、この成長は続いた。
ラブンは、この目覚ましい事業拡大は、デンソー・マニュファクチュアリング・ミシガン(DMMI)と協力して行っている営業、エンジニアリング、サービスおよび運用の包括的な取り組みのおかげであると考えており、卓越したサービスと品質、システムのサポートと専門知識に対して、フリートウッド社とティフィン社の両社からサプライヤー賞が贈られたと指摘している。