2. クリーンでグリーンな成長

デンソーでは太陽光発電の導入が急速に進んでおり、太陽の力を活用すべく新たな設備が続々と着工されている。これは会社の二大目標である「グリーン(環境経営)」と「安心」が着実に前進していることを示すものだ。
「グリーン」とはもちろん2035年までにカーボンニュートラルを実現することである。そして「安心」は、すべての人にとって安全でシームレスな世界を作り上げることで実現する。このために、世界中でデンソーの製造工程とエネルギー使用がもたらす環境負荷を低減する必要がある。
デンソー・メキシコ社が北米初の屋上太陽光パネルを設置
すでに太陽光発電を導入しているデンソーの施設では、近隣のさらなる設備を稼働させる計画の策定に追われている。北米の工場で初めて屋上太陽光パネルを設置したデンソー・メキシコ(DNMX)社のアポダカ工場は、その成功例の一つだ。
北米安全衛生環境(NASHE)メキシコ地域担当室長のマルコ・ガルシア(Marco Garcia)は、「メキシコの社会と環境のためにより明るい未来を創造できるように」デンソーがこうした活動を開始できることを誇りに思っていると語る。
「私たちは地球環境を守る責任を理解しており、エネルギー使用量の半減を含むグローバルなエコビジョン2025を策定しました」と、ガルシアはいう。
アポダカ工場の目覚ましいデータ
DNMXの安全衛生環境(SHE)担当課長フランシスコ・ルイス(Francisco Ruiz)によると、デンソーのエコビジョン2025は、2024年までに国内のエネルギー消費量の35%をクリーンエネルギーに変え、2050年までにこれを50%にするという政府の目標に沿うものである。アポダカ工場の屋上太陽光パネルの設置は2019年4月15日に始まって7月1日に終了し、その面積は6万4,583平方フィート(6,000平方メートル)に及ぶと、彼はいう。
最新のデータでは、アポダカの太陽光パネルは毎年「住宅345戸分のエネルギー消費に相当する76万5,000 KWhのクリーンエネルギーを作り出し、植林2,418本に相当する120トンのCO2排出量削減を達成し、自動車238台分の排出量を解消している」のだと、ルイスは語る。
「年間のコスト削減額は140万ペソ(7万6,000米ドル)であり、これは現在のコストの2%に当たります」と彼はいい、野心的な3カ年構想には、DNMXのシラオ工場とグアダルーペ工場に太陽光発電設備を導入する計画が含まれていると付け加えた。

テネシー州メアリービルのデンソーがソーラーファームの建設を開始
テネシー州でも同様に複数工場で太陽光発電を行う姿勢が示された。デンソー・マニュファクチュアリング・テネシー(DMTN)社と、米国最大の独立系発電事業者であるシリコンランチ社が、2022年に新しいソーラーファームを着工したのだ。この施設はグループが州全体で稼働させる予定の4つの太陽光発電施設の最初の施設となる。
メアリービル市電気局、テネシー川流域開発公社(TVA)、デンソーを代表して、シリコンランチ社が4つの太陽光発電所それぞれの資金供給、建設、所有、運営、維持を長期的に担当することになる。太陽光発電プロジェクトが完成すれば、さらなる省エネルギーイニシアチブと組み合わせることで、メアリービルのデンソー施設の電力需要の100%を再生可能エネルギーで賄えるようになるだろう。
成果を得るデンソーの製造ハブ
メアリービルの拠点はこれを足掛かりに、デンソーの電動化・安全システムの製造ハブとして、事業活動を通じて地域の持続可能性を高めるとともに、製品を通じて北アメリカ全土の持続可能性を高めることができるだろう。
北米製造統括でありデンソーの執行幹部である中溝真一は、「より良い世界に貢献することが私たちの使命であり、その一環として、製品だけでなく業務と工程においてもCO2排出量の削減に取り組んでいます」と語る。
またデンソーはこの活動を通じて、米国エネルギー省の「ベタープラント」プログラムへの関わりを深め、製造工程とエネルギー使用がもたらす環境負荷を低減するためのより広範な取り組みを強化している。