第6章 課題への対応

2. 再び道を進み、品質を促進する

2012年3月3日(土)、デンソー・マニュファクチャリング・テネシー(DMTN)から40人以上の熱心なアソシエイトが、毎年恒例の品質スキルコンペティションに参加するためにボランティアとして参加した。 コンペティションでは、参加者たちはさまざまな部品を検査する際に時間を計られ、最も迅速に欠陥を見つける能力が試された。
2012年3月3日(土)、デンソー・マニュファクチャリング・テネシー(DMTN)から40人以上の熱心なアソシエイトが、毎年恒例の品質スキルコンペティションに参加するためにボランティアとして参加した。 コンペティションでは、参加者たちはさまざまな部品を検査する際に時間を計られ、最も迅速に欠陥を見つける能力が試された。
品質キャンペーンが結果を出して社員をつなぐ

デンソーの林社長は1961年、デンソーが権威あるデミング賞を受賞したという素晴らしいニュースを発表した。この賞は、世界的に認められた極めて優れた品質管理の象徴と呼ぶべきものである。社長は1961年9月21日に、将来に目を向けて次のように述べた。

「私たちの仕事は人命に直結しています。自動車が事故を起こせば人の命が危険にさらされます。デンソーは高品質な製品を生産する素晴らしい会社だという評価を確立し、これを高める必要があります。この共通の目的に向かって、現在も将来も社員一丸となって取り組みましょう」*

それからわずか数十年後に、北米の消費者が自動車の安全に関わる出来事に相次いで直面する中、デンソーは林社長のこの言葉に再びエネルギーを与えようと考えた。デンソー・インターナショナル・アメリカ(DIAM)は2009年に品質キャンペーンを開始し、社員の品質に対する考えを強化するとともに、あらゆる業務において基本となる卓越性というものに力を入れた。

品質のキャラバン

「巡回展示と研修を企画しました。目玉となるのは視覚資料、品質専門家、リーダーによる委員会でした。そして自分たちが製造している製品において品質が果たす役割、こうした高品質な製品がエンドユーザーの潜在的な幸福にいかに重要であるかについて、メッセージを発信したのです」と、1998年に品質技術者としてデンソーに入社したエリック・ベンソン(Eric Benson)は語る。

2012年から2018年にかけて、北米のほぼすべての拠点が何らかの形で品質キャンペーンに参加した。特定の領域または機能に合わせて調整された研修もあれば、品質は全員に関係するというテーマを掲げた、より広範な社員を対象とする研修もあった。
「この取り組みには苦労しました。当時も現在も、デンソーの社員は品質に非常に敏感だったためです。すでに一日中やるべき仕事でいっぱいなのに、私たちはそこに、さらにメッセージを流して仕事を増やそうとしていたのです」とベンソンは言う。「社員が多忙なことは分かっていたものの、再認識してもらうことが極めて重要でした。常に正しい判断をすること、注意深く慎重であること、そして最も大切な、デンソー品質の本質である『なぜ』を理解し、受け入れることを」

「もしも」のシナリオ

そのためにベンソンと彼のチームは、危機感の欠如によって不具合が生じ、例えば高速道路で車両がオーバーヒートしたり、片田舎で立ち往生したりした場合に、どのようなことが起こり得るかのシナリオを作成した。

社員はその戦略に反応した。 「自分たちの家族が人里離れた場所に取り残されたり、交通量の多い高速道路で立ち往生したりしている状況を考えてもらいました。そして何が問題なのかを指摘しながら、完璧な品質を実現するように社員に求めたのです」とベンソンは説明する。

ベンソンは、このキャンペーンによって品質が向上し、デンソーが提供する多くの製品やシステムの認知度が高まったと語る。さらに現在の社員研修には、社員自身が製造した製品と本人を結び付け、その部品が車両のどこに取り付けられ、どのように機能するかを教える内容が盛り込まれている。