5. 安全第一の模範的なメンタリティ
地域当局者がDMTNの危険への対応を称賛
2つの危険な出来事に際して、社員と地域社会の安全に対するDMTNの取り組みについて、地元当局者は、工場の強固な社員基盤、自信に満ちたリーダーシップ、迅速な行動を称賛した。
それはまさに、ただならぬ「空気」とでも呼べる状況であった。

2015年7月1日:暑い夏の夜:列車脱線による有毒ガスの可能性
第一の出来事は、2015年7月1日午後11時50分ごろにDMTNの203工場の裏手で発生した列車脱線火災事故だった。この事故を通じて、デンソーと地元当局との強固な関係、有毒ガスの危険からすべての人を守るための現場における社員とリーダーの行動が注目を集めることとなった。
2020年3月:新型コロナウイルスの空気感染リスクから医療従事者を守る
第二の出来事は2020年の新型コロナウイルス感染症の世界的流行初期のことだ。DMTNによって設計されたフェイスシールドの8万個を迅速に製造できたことが、新型コロナウイルスの空気感染の危険から地元の病院スタッフや必要不可欠な医療従事者、その他の人々を守るのに役立ったのだ。

2015年:暗中模索
緊急避難の可能性を伴うリスク――社員には安全を、お客さまには品質を。
デンソーの政府関連業務シニアプログラムマネジャーであるボブ・ブッカー(Bob Booker)の脳裏に、この言葉が大きく浮かび上がったという。彼の耳には、緊急事態の可能性の連絡を受けて直ちにDMTNの現場に駆けつけた、現場生産リーダーやDMTN安全衛生(S&H)部メンバーからの大急ぎの第一報が響いていた。それは、2015年7月2日午前0時過ぎ、工場の裏手で脱線したCSX社の列車車両から、正体不明の雲が立ち上っているとの報告だった。
「現場のリーダーやS&Hのメンバー、そして地域の緊急要員から、彼らが把握できていることと把握できていないことについて報告を受けていました。この出来事が社員や周辺の地域社会の安全に悪影響を及ぼす可能性があるのではないかと心配したことを覚えています」と、彼は言う。
高引火性物質の可能性の報告
相次ぐ報告からは、ケミカルタンカー車両の火災が線路を照らしていることが想定された。散乱した残骸から噴出する燃え盛る炎が、周囲のすべてに致命的な状況をもたらす可能性があった。
「当局は最初は203号棟だけが避難対象になると考えていましたが、未知の要素が増えたために、避難命令の対象となる建物を増やすことを当局者が決めました。それからすぐに、デンソーのキャンパス全体が避難対象になったのです」とブッカーは言い、DMTNのキャンパスから社員が完全に消えて無人になったのはこれが最初で最後だと付け加えた。
「緊急事態の初期段階で社員や現場リーダー、駆けつけたS&Hメンバーたちが取った緊急行動を聞き、誇らしく思います。彼らは急速に悪化する状況の中で難しい判断を下し、素晴らしい仕事をしました」と、ブッカーは言う。
DMTNの現場の社員やリーダーが安全に操業を停止し、すべての建物からの避難に取り組むのと同時に、状況の深刻さに関する電話が入り始めた。すべての社員が安全に避難した後、数日間に及ぶ緊急事態になる可能性があると当局が助言を始めると、リーダーたちはオフィスの退去を迫られながらも、部品の受け取りや顧客への納入の遂行など、他の多くの重要な問題をどのようにやりくりするか考え始めた。
地元企業がDMTNへの支援を急ぐ
地域の財界は速やかにデンソーの支援に動いた。ブッカーは午前4時にブラウント商工会議所のタミ・フォード(Tammi Ford)副会長に携帯電話をかけた。2時間もたたないうちに、商工会議所の建物と事務所全体がDMTNのオペレーションの臨時本部となった。
大勢のデンソー社員がさまざまな不確定要素とその対応を検討する会議を開き、商工会議所の建物は慌ただしい雰囲気に包まれた。リーダーと社員たちはすぐに主要な仕入先に何度も電話をかけた。その中には(避難に気付かずに)すでに製品の配送中だった約40~50台のトラックも含まれていた。同様にDMTNは現在の製造の停止(および製品の遅延の可能性)について、それを把握しておく必要がある顧客とデンソーの北米経営陣に迅速に報告した。地域的な緊急事態であったため、地域外の多くの人はDMTNが避難したことを知らなかったのだ。
メアリービルのシティー・マネジャーであるグレッグ・マクレーン(Greg McClain)は、その日の早朝に緊急事態の状況を自らDMTNに説明した。状況が広く伝わると、近隣のファーストレスポンダー組織や企業のリーダーたちが会議所に連絡してきた。彼らの多くが「何か手伝えることはありますか」と尋ねた。ブッカーは、地域の警察官、自治体や消防団、地元の救助隊による迅速な行動と力強い努力に特に感謝していると語る。
ブッカーによると、複数の政府機関による集中的な復旧・清掃作業を経て、デンソーは36時間後にキャンパスへと戻ることができた。幸いにも負傷者はなく、環境への影響も最小限に抑えられたようであっため、DMTNはすぐに生産を再開した。
カイゼンの機会
「この経験を生かして、いくつもの非常事態措置を改善しました」と、ブッカーは言う。「まだ記憶に新しいうちに出来事を振り返るのが、デンソーでは一般的なことです。そして『どうしたらもっとよくなるだろう』と問うのです」
最終的に、いくつもの安全性の向上がもたらされた。考え得る社外での緊急時リーダーシップオペレーションの微調整や、以前は悪天候を社員に警告するためだけに使われていたキャンパス全体の改良型テキスト警報システムの機能向上などである。最後にブッカーは、「社員には安全を、お客さまには品質を」という会社の理念に従い、全員がよく力を合わせて働いたと語った。