第6章 課題への対応

8. 行動するデンソースピリットを見る

上級マネージャーであるHVACアセンブリプロセスエンジニアのベン・ブルッセルマンス(左)は、デンソー・マニュファクチャリング・ミシガン(DMMI)の見学中に、デンソーの林新之助社長兼COOと共に、顧客の独自のHVAC設計に合わせた次世代柔軟自動化ラインの開発について話し合っている。
上級マネージャーであるHVACアセンブリプロセスエンジニアのベン・ブルッセルマンス(左)は、デンソー・マニュファクチャリング・ミシガン(DMMI)の見学中に、デンソーの林新之助社長兼COOと共に、顧客の独自のHVAC設計に合わせた次世代柔軟自動化ラインの開発について話し合っている。

「顧客ニーズに対応する素晴らしい柔軟性と、自動車業界におけるグローバルな影響力は、私がデンソーの仕事に魅力を感じた2つの主な理由です。」

ミシガン州バトルクリークでプロセス設計の次長を務める31歳のベン・ブリュッセルマンズ(Ben Brusselmans)は、デンソー入社前に製造のキャリアを積んでいたおかげで、デンソーがいかに一貫して競合他社を上回っているかを理解できたと語る。

「デンソーの事業運営は非常に優れており、顧客のニーズに対応できるという評価を長年受けています。このような大規模な会社が非常に機敏に動けると知ってワクワクしました」と、彼は言う。

経験豊富な機械技師でありながら、デンソーに入社して以来、さまざまな研修やメンター制度の機会を通じて、より「ソフト」なマネジメント能力も身につけることができたという。
「メンター制度を利用した時、メンターは将来の可能性につながるリーダーシップ研修を提案してくれました。技術者である私は『技術的側面』を面白いと思いますが、人が成長して学ぶのを見るのも好きです。それに満足を感じます。こんな機会は他にありません」と、ブリュッセルマンズは言い、現在は自身が社内でメンターを務めていると付け加えた。

「毎日、他の技術者を指導することで、自分の障害を取り除く方法を見つけることもできます。『人の問題と技術の問題』の両方を処理する必要があります」と、彼は言う。「試行錯誤の連続です。」

新型コロナウイルス感染症の世界的流行初期にフォード社の人工呼吸器プロジェクトに参加したことで、「社会全体の利益のためにデンソーがいかに協力できるかを学びました。私たちは多くのエネルギーを投入してプロジェクトを進め、ペーパーナプキンに最初の設計スケッチを描いてから25日後には、3万5,000個を超える人工呼吸器を作っていました」と、ブリュッセルマンズは言う。

「プロジェクトに興味があるかどうかを確認する最初の電話の後、私たちは少人数のエンジニアリングチームを集め、設計担当者との会議を開始して彼らの考え方とその製造方法について話し合いました。すべての準備を担当したのは、私と製造部門の他の4人でした」と、彼は言う。

彼によると、このクロスファンクショナルチームに参加した面々は、スケジューリングの専門家、組み立ての専門家、そして「この仕事をやり遂げるためなら何日も費やすことをいとわない社員たちでした。不確かな時期で、異常な環境でしたが、全員が力になりたいと願っていました。」

「チームのメンバーは、自分たちよりも大きなものの一部となり、そのプロジェクトの成果を目の当たりにできるのは気分が良いと言っていました。頼られた時に適切なタイミングで力になれると分かったことで、ホッとしましたし、大きなエネルギーをもらえました」と、彼は言う。

彼は、社員の「やり遂げる」姿勢の一部は、社内に浸透しているデンソースピリットによるものだとしながらも、デンソー・リーダーシップ・アカデミーの価値観についても言及し、特別なリーダーシップの指針となる価値観について語っている。

「私たちには『真に重要な目標』と呼ばれる目標もあります。6つあるその目標が、すべてを物語っています。仲間を愛すること。目標を自分のものとすること。成長すること。現実的であること。すべてを考えること。約束を果たすこと」と、ブリュッセルマンズは言ってほほ笑んだ。

生きる指針となる言葉である。