9. デンソーの社員:いつでも飛び込んで助ける準備ができている

地域当局者がDMTNの危険への対応を称賛
2つの危険な出来事に際して、社員と地域社会の安全に対するDMTNの取り組みを示について、地元当局者は、工場の強固な社員基盤、自信に満ちたリーダーシップ、迅速な行動を称賛した。
それはまさに、ただならぬ「空気」とでも呼べる状況であった。
2015年7月1日:暑い夏の夜:列車脱線による有毒ガスの可能性
第一の出来事は、2015年7月1日午後11時50分ごろにDMTNの203工場の裏手で発生した列車脱線火災事故だった。この事故を通じて、デンソーと地元当局との強固な関係、有毒ガスの危険からすべての人を守るための現場における社員とリーダーの行動が注目を集めることとなった。

2020年3月:新型コロナウイルスの空気感染リスクから医療従事者を守る
第二の出来事は2020年の新型コロナウイルス感染症の世界的流行初期のことだ。DMTNによって設計されたフェイスシールドの8万個を迅速に製造できたことが、新型コロナウイルスの空気感染の危険から地元の病院、必要不可欠な医療従事者、その他の人々を守るのに役立ったのだ。

2020年:信じて足を踏み出す
5年後、空気中に漂う危険という状況が発生し、新型コロナウイルスからコミュニティーを守るために多くのDMTN社員が結集した。
2020年3月20日ごろ、新型コロナウイルス感染症の脅威が広がり、自動車業界は活気を失った。デンソーの南サブリージョン品質担当副社長であるブリット・オートリー(Britt Autry)は、ウイルスと戦う医療従事者を支援するために世界各地から集まった、数百人に及ぶデンソーの社員の1人だった。
「現地ではメアリービルのブラウント記念病院に連絡を取り、どのような支援ができるかを確認しました。3月22日の日曜日に技術者15人と緊急会議を開き、新型コロナウイルス感染症との戦いを支援するためのアイデアについて意見を出し合い、ホワイトボードにフェイスシールドのスケッチを描きました」と、彼は言う。
翌日、グループは最初のフェイスシールドの試作品を開発し、それにどう修正を加えるかについて病院スタッフとのやりとりを開始した。その4日後、病院からの6つの修正を反映して、デンソー・グループは「ロードテスト」のために30個のプロトタイプを医療施設に送った。
DMTNのカスタム設計が好評を博す
オートリーによると、DMTNのシールドが「市販されているどの製品よりも優れていた」との医療従事者からのフィードバックがあった。その理由の一つは、装着者の耳に巻くシールドのカスタム設計を採用しており、これは病院から求められていた機能だった。そのような「好評」を得て、DMTNグループは急いで自分たちにできる最高の仕事、つまり高品質な製品の生産に取り掛かった。
キャンパス内のすべての3Dプリンターを24時間体制で毎日稼働させ、射出成形および抜き型を迅速に製作して、4月8日までに毎日3,000個を超えるシールドを生産できるようにした。オートリーによると、イースターの週末はずっとボランティアたちとともに働いたという。
最終的には、13の州と日本、カナダ、メキシコの一部の拠点において、病院、診療所、介護施設、警察、消防のエッセンシャルワーカーとデンソーの製造従事者に、約8万個のフェイスシールドを提供した。
「当時は社員にも仕事がなかったので、労働力の良い活用方法でした。しかしそれ以上にこの活動は、私たちがここで醸成しようとしている文化、『デンソースピリット』の核心に訴えるものでした」と、オートリーは言う。「その中心は先進、信頼、総智・総力の活用です」
オートリーは、このフェイスシールドが今もメアリービルの一部の診療所で使われていることを直接見て知っているという。「先日の定期健診で、バイザーにデンソーのロゴが入ったフェイスシールドを見掛けたのです」
「こうした活動に熱心な会社で働いていることを誇りに思います。しかし、私たちがそこで止まることはありません。私たちは引き続きこのプロジェクトを研究し、強い総智・総力のモチベーションとチャレンジ精神を理解して、これを日常の仕事に生かすことを考えています」と、彼は言う。