TASUKI(襷)とは
日本の伝統的な服装に「着物」があります。襷とは着物を着た時、肩から腰にかけて斜めに身に着ける布の帯のことを指します。着物は袖が長くて動きにくいので、襷で着物の袖を固定して動きを楽にするわけです。しかし特定の状況においては、襷は象徴的な意味を持つこともあります。
そうした場面のひとつが、日本の陸上競技で人気が高い「駅伝」という長距離リレーです。駅伝では各ランナーが襷を身に着け、指定の交代地点で次のランナーに襷を渡します。私たちは、この襷を渡すという行為に、駅伝を完遂するための共同の努力といった意味を感じ取ります。
さらに広く、いろいろな日常生活の場面において、「先人から襷を受け継ぐ」という比喩的な言い方がよく使われます。これは、前の世代から伝統、知識、責任、役割を引き継ぐというのが直接的な意味ですが、さらに文化的遺産の伝承や重要な価値観・想い・責務の伝達といったより深い意味合いまで込められることもあります。
駅伝でも、日常生活でも、襷は人と人を結ぶ絆、協力の象徴、次世代への伝達の力強いシンボルとしての役割を果たしています。