DRIVEN BASE

CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)MESSAGE

デンソー流デジタル変革による事業・組織の競争力強化

  • CDO MESSAGE

経営役員 CDO
武内 裕嗣

 

デジタルは、事業のありたい姿を形づくり、組織の競争力を高めるために欠かせない要素です。全社員が情報資産を活用し、現状の課題をデータに基づいて解決できる環境を整えることが、私の使命だと考えています。

DX・デジタル活用を進める過程で、各職場の声に耳を傾けると「情報共有が不安」「個人のスキルや上司の理解が不足している」「通常業務が多忙で時間・コストをかけられない」といった課題が浮かび上がりました。

これらの現状を踏まえ、デンソーでデジタル変革を進め、競争力を高めるための成功への道筋として、いきなりデジタル化を推し進めるのではなく、まず今の仕事を簡素化・標準化し、データやナレッジを集約した上で自動化を進めるという実践的なステップを着実に進めています。デジタル変革をリードする立場であるITデジタル本部内にも、現場の実態・課題に寄り添ったデジタル化を進めるよう徹底し、2024年度は以下の3つの柱でデジタル戦略を推進しています。

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1つ目は、デジタル基盤の整備です。2021年度にデンソーは、北米と欧州のグループ会社で不正アクセスをはじめとする相次ぐサイバー攻撃を確認しました。このような事故により関係者にご迷惑をおかけしてはならないという強い意思のもと、グループ全体で対策を強化しセキュリティ基盤を強固にしました。今後は、サプライチェーンやバリューチェーン全体にセキュリティ基盤構築の活動を広げ、より安心・安全・快適に働くことができる環境を整えていきます。

また、世界約16万人のグループ社員がデジタルでつながるインフラ基盤を整備しています。製造現場を含む全社員がデジタル端末を使い、現場発の創意工夫でデータを活用した業務変革を進めています。今後は生成AIを適用し、さらなる基盤の高度化を進めていきます。

2つ目は、デジタルマインドの醸成です。どれだけ高度なデジタルツールでも、ツールが主役になることはありません。デジタル技術やデータを高度に活用し、競争力を高めることができるデジタル活用人財を育成すべく、全社員を対象にした研修を実施しています。全社の施策と位置付け、人事部門と情報部門がワンチームとなり、組織・役職・個人別のデジタル活用状況を可視化するとともに、職場・個人に寄り添った支援を行っていきます。

3つ目は、業務プロセスの標準化・自動化です。デンソーが大切にしてきた「リーン・オートメーション(ムダを徹底排除した自動生産システム)」の考えに基づき、簡素化・標準化・集中化・自動化のステップで業務プロセスの変革を進めていきます。基幹情報のデジタル化で、工程・分野間の情報連携を飛躍的に進化させるとともに、各現場業務は、デジタル活用人財となった社員自らが業務を見つめ直し、デジタル基盤を使いこなして改善・改革することを目指します。

2024年度の重点的な取り組みとして、生成AIを適用することで業務の効率化とコスト削減を実現し、現場の余力・活力を創出します。中長期的には現場で生まれた余力・活力を活用し、総智・総力でデジタル変革を推進し、事業を支える全社の業務プロセス変革を進め、組織力・競争力を高めることで持続可能な成長を目指します。

デンソーには、現場の課題を大きな視点で捉え、技術で解決していくことで、社会に価値を還元していく力が備わっています。デンソーが1994年に発表したQRコードを例に見ても、現在世界中で人々の生活に浸透し、社会貢献を果たしています。デンソーの事業・組織にデジタルの力を実装することで、競争力を高め、さらに社会に価値を提供できる企業へと変革させていきます。