DRIVEN BASE

ステークホルダーとの対話 2008

●日 時 2008年12月23日

●場 所 ㈱デンソー本社(愛知県刈谷市)

●テーマ設定
デンソーの戦略的CSR分野である3分野を設定
テーマ①「環境保全:事業成長と環境負荷低減」
テーマ②「社員尊重:女性の活躍促進」
テーマ③「社会貢献:地域と共生する企業像」

●出席者
萩原 喜之 様(NPO法人中部リサイクル 運動市民の会 理事)
大西 光夫 様(NPO法人ボランタリーネイバーズ 理事長)
田村 太郎 様(ダイバーシティ研究所 代表)
神谷 孝彦 様(刈谷市市民活動部 市民協働課 主幹)
鈴木 均 様 (日本電気株式会社 CSR推進本部CS推進部長兼CSR推進室長)

<ファシリテータ>
川北 秀人 様(IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]代表者)

<デンソー参加者>
常務役員(経営企画部担当)、安全衛生環境部・人事部・総務部・経営企画部

主な意見やコメントなど

テーマ①環境保全:事業成長と環境負荷低減

<●有識者 ◆デンソー>

●地域住民が気になるのは、デンソーの製品ではなく、工場からの排水や、通勤による交通渋滞・満員電車など。最近の定時帰りの渋滞が何年続くのか?渋滞によるCO2排出も気になる。

◆実施済み事項としては、水質管理の徹底(2005年レポート掲載)、渋滞緩和対策としての通勤バスの増便、勤務時間帯の分散化による出退勤時間の集中回避などを実施しています。但し、渋滞問題については近隣の方にご迷惑をかけないよう、今後も生産動向にあわせて継続対応していく予定です。

●レポートから、具体的にどう省エネしているのか、自家発電がどういった仕組みなのかが読み取れなかった。もう少し説明があってもよいのでは。

◆2009年レポートではコージェネ、風力発電、水力発電等について分かりやすく掲載します。

●事業を通じて、社会の課題をどう解決するのかが見えにくい。例えば、ダイアログを通じて重要性を抽出され、それをどう事業に活かしているのか?また、CSRの戦略的3分野(環境保全・社員尊重・社会貢献)と事業との関係性は? ぜひ、事業とCSRの関係性を明確にし、レポートに掲載して欲しい。

●自社工場内だけでCO2を削減する時代は終わったのでは。いかに地域を巻き込んで、地域と一緒に削減していくのか、エコシティにしていく必要がある。デンソーのノウハウや環境技術を、地域に横展開することはできないか。温暖化防止において、NPOと技術をつないで欲しい。

●成長を前提とした切り口ではなく、車の少ない社会や、カーシェアリングなどを考える必要があるのではないか。 例えば、車椅子の快適性をあげるのも、モビリティ社会を考えることになる。道路の上だけではなく、「生活の中のモビリティ」を考えることにより、環境負荷低減への切り口も見つかるのではないか。

テーマ②:「社員尊重:女性の活躍促進」

<●有識者 ◆デンソー>

●多数派の意識改革が、ダイバーシティの基本(公平・平等≠ダイバ-シティ)。人口変動への正確な認識や危機感を持つことが必要。

◆08年度はダイバーシティフォーラム、新任役職者講演会でダイバーシティの重要性についての教育実施することにより社員の意識啓発に努めてきました。今後も啓発方法は改善しながら継続していきたいと考えています。

●女性活躍を進めるにはトップのコミットメントが重要。管理職になりたいなら女性の部下をもって働け!というぐらい強いメッセージが必要では。

◆ダイバーシティフォーラムで社長からのメッセージを発信し、社内報にも掲示しています。今後もトップのメッセージを継続して発信していきたいと考えています。

●女性は管理職になりたがっていないのではなく、YESと言えない環境なのではないか。子供がいるから、他に活躍している女性がいないからなど。YESといえる環境を作ってあげることが必要。

◆ダイバーシティでの08年度実施事項として、ダイバーシティフォーラム、社内報掲載、管理職研修を通じた社内意識改革などを実施しました。09年度からは、実務職の方の活躍向上施策を新規実施予定です。具体的な内容としては、実務職向けの教育機会の増加、キャリアデザインを描く機会の設定、新たな役職の設定等となっており、“やる気”や“向上心”を引き出すことを狙いとしたものとなっています。但しそのようなハード面(仕組み・制度)の整備だけでなく、今後はソフト面(制度の活用・意識改革)での浸透を意識し、働きやすい環境・活躍できる場・活用しやすい風土作りに努めていきます。

●「16時以降は会議しない」、「月曜日は役員の出席する会議はやらない」など、 ワークライフバランスをシステムとして保つ必要がある。

◆全社あげての業務改廃の推進、会議体の見直し・会議時間の短縮、定時の日の設定などを推進中です。

●NECでは、一橋大学大学院の中国人留学生をインターンに迎えたところ、社員によい刺激になった。会社を強くするためには、改めて多様性は必要だと感じた。本社でも外国人を採用すればグローバルな視点が広がるのでは。

テーマ③「社会貢献:地域と共生する企業像」

<●有識者 ◆デンソー>

●共存・協働の街づくりが必要。住民、NPO、自治会、行政、学校、企業が一緒に課題を解決していく必要がある。無関心が一番問題。社員教育でそういったことを意識付けして欲しい。また、地域の課題をどうやって抽出しているのかが見えにくい。

◆08年度は、新入社員教育のなかで地域の方との地域清掃活動や、地区長との懇談会などを開催。09年度は、地域との対話の場づくりを通じた課題把握と地域視点に立脚した共生活動の充実に取り組む予定です。

●地域で最も課題になっていることは何か?課題のアセスメント(評価)が必要では。地域が直面する課題を直視する必要がある。どの会社もゴミ拾いをしているが、地域の現状と乖離を感じる。

◆08年度に行った刈谷地区役員との懇談会では、地域は「安心・安全な街づくり」を重視。09年度は、地域との対話の場づくりを通じ、地域課題の把握とデンソーが支援できることを明確にしていく活動を推進していく予定です。地域視点に立脚した共生活動を強化していこうと考えています。

●デコポンは、サプライチェーンや地域でも実施して“面”にして欲しい。今の状況では、広がりに限界がある。デコポンはあくまでも道具であり、本来の目的があったはず。社員参加への動機付け、ムーブメントを作る必要がある。NPOと協働した制度に是非して欲しい。

◆08年度は、2年目を迎え、ポイント獲得機会の充実や還元メニューの魅力UP、参加者との交流会や参加者アンケート調査、刈谷市やアピタとの協働事業を推進して参りました。09年度は、DECOポンをより社員の社会参加を後押しできるものへ進化させていく予定です。

●企業で使いきった人を地域に送りだすのではなく、働いているときから地域に貢献する人づくりをしていく必要があるのでは。定年後のイメージをみせてあげることも必要。

◆NPO体験プログラムを08年度より実施し、50代の社員10名がNPOの仕事を体験しました。09年度もNPO体験プログラムを継続・充実していく予定です。また、NPO講座を社内で開催したり、地域での活動事例を社員向けに情報発信するなど、地域団体の活動に社員が関わる機会づくりを拡充していきたいと考えています。

●ハートフルデーのグローバル化とともに、一日だけでは不十分で、通年のプログラムにすべき。表彰やテーマ性があってもよいのでは。モチベーションや一体感が高まる。テーマは、事業に共通・関連性があると、更に良い。モノづくりというデンソーらしさを活かした展開があってもよいと思う。

●会社がやっている社会貢献に参加するだけが社会貢献ではなく、地域のPTAに参加することも社会貢献。そういった人数を把握し、地域でもがんばっている人を拾い上げることも必要。

事務局より

5年間継続して開催させていただいた一般公募によるダイアログから、08年度より様々な専門分野でご活躍されている方にお越しいただき、専門的な視点からデンソーのCSR活動にご意見をいただく開催方法に変更させていただきました。今回も非常に多くの“気づき”を得ることができ、改めて独り善がりのCSR活動ではなく、ステークホルダーの皆様と共に改善するCSR活動の重要性を再認識させていただくことができました。いただいたご意見を真摯に受け止め、今後の取り組みに反映させてまいります。

経営企画部CSR推進室