DENSO ADAS / AD 安心できる、自動運転

松ヶ谷和沖×島下泰久

#5自動運転時代の
車の楽しさ、快適さ

自動運転をめぐる論議では必ず「走るよろこびが失われるのでは?」という話が出てきます。自動運転が社会に受け入れられるためには、安全であること、快適であることはもちろん、楽しさも重要。これについても真剣に考える必要があります。

ひとつのアイディアが、自動運転を完全自動か完全手動の二択とするのではなく、アシストのレベルを可変にするという考え方です。大渋滞の中、疲れている際など、「今日は運転したくない」という時には完全自動運転になる一方で、「今日は走りを楽しみたい」という時には手動運転になる。ただし、ドライバによる運転ミスは、電子制御によってしっかり助けてくれる。そんなシステムがあれば運転が好きな人にとっても、自動運転への夢が広がるのではないでしょうか?

楽しさは、HMIの話にも関わってきます。レベル3などの自動運転でも、乗っていることが楽しければドライバの意識レベルを高く保ち、眠ってしまうようなことも防げるでしょう。ただし、課題は、その“楽しさ”とは何なのかということ。音か、振動か、車から感じられるGか、風景か…。電車、飛行機などの自分では運転しない乗り物でも楽しければ眠ってしまうことはない。その辺りは大きなヒントになりそうです。

これも楽しさの一要素である快適性の面でも、検討するべきことがあります。乗員が快適に移動できるための運転が必要ですし、そのためにはシートや室内環境そのものから考え直す必要があるかもしれません。また、自動運転車も、事故を100%回避できるわけではない、ということも考慮が必要です。あるいは回避のために急減速、急な操舵が求められることもあります。その際にはどのように身体を拘束すればいいでしょうか?

自動運転車の場合、室内で過ごす人間の姿勢が、より自由になると考えられます。万一の際に、横を向いたり、後ろを向いたりしている乗員の身体を、どのように拘束するのか。これも大きな課題です。

自動運転時代になれば、クルマの楽しさ、気持ち良さという概念が、きっと変化してくるでしょう。単に技術的に可能だというだけでなく、こうした新しい概念に対応できてこそ、自動運転は世の中に受け入れられていくに違いありません。