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情報セキュリティ

基本的な考え方

ITインフラの成熟化に伴い、全世界でサイバー攻撃やウイルス感染が急増しています。2023年1月に世界経済フォーラム(WEF)が発表した「グローバルリスクレポート2023」では、サイバーリスクは今後2~10年後の重大リスクの8位として大きな脅威として認識されています。
自動車産業においては、機密情報の漏洩やコンピューターウイルス感染等の従来のリスクに加え、自動運転・IoT等の「つながる社会」への進化に伴いあらたなリスクが発生しつつあり、サイバーセキュリティの強化が不可欠となっています。
こうした中、デンソーでは2016年に「デンソーグループ情報セキュリティ基本指針」を制定し、情報保護・管理強化に取り組んでいます。

デンソーグループ情報セキュリティ基本指針

デンソーグループは「世界と未来をみつめ 新しい価値の創造を通じて 人々の幸福に貢献する」を基本理念に掲げ、地球環境の維持、安心・安全な社会を目指して、クルマの利便性・喜びを世界中の人々に届けるための事業活動に取り組んでいます。
安心・安全に欠かせない情報セキュリティの分野においては、従来のリスクに加え、製品や工場に対するサイバー攻撃の高度化・巧妙化など、新たなリスクが日々増加しております。
自動運転やIoT等、「つながる社会」への変化が加速する中、世界中のお客様へ安全で信頼性の高い製品をお届けすること及び、お客様からお預かりしている情報資産を様々な脅威から保護することは、経営上の最重要課題であると認識しております。
よって私たちは、ここに情報セキュリティ基本指針を定め、CISO(最高情報セキュリティ責任者)のもと、全社一丸となって情報セキュリティの一層の強化を図ってまいります。

  1. 情報セキュリティに関する法令、国が定める指針、その他の社会的規範を遵守します。

  2. 経営者の下、情報セキュリティに関する管理体制を構築します。

  3. 情報セキュリティリスクを識別し、人的・組織的・技術的に適切な対策を実施します。

  4. 情報セキュリティに関する教育・啓発活動を継続的に行います。

  5. 情報セキュリティ問題に対しては、その原因を迅速に究明し、その被害を最小限に止めるとともに再発防止に努めます。

  6. 情報セキュリティに関する管理体制および取り組みについて点検を実施し、継続的に改善・見直しを行います。

目指す姿

デンソーは、「製品」と「会社」の2つの側面から情報セキュリティ活動を進めています。

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「製品」

自動車産業はCASE(Connected 、 Autonomous 、 Shared & Services 、 Electric) に代表される技術革新が進んでいます。快適性や利便性が向上する反面、車両のみならず、IoT・モビリティサービスへのサイバー攻撃に対する備えが必要です。デンソーは自動車産業を支える安全・安心な製品・サービスづくりを推進していくことにより、豊かで信頼できるモビリティ社会の実現に貢献していきます。

「会社」

デンソーは、生産工場・グループ会社をネットワークで繋ぐ、いわゆる「F-IoT」を進めています。これにより、開発・生産の効率化を図っていく予定ですが、反面、例えば一工場のウイルス感染が瞬時に全グループ会社へ波及するといった負の側面も想定されます。こうしたことが起こらないよう、社内ネットワークや生産工場に情報セキュリティ対策を講じることにより、安定的な製品供給を実現していきます。

また、企業の社会的責任のひとつとして、情報セキュリティ対策を徹底することで、デンソーが保有する情報資産を守っていきます。

推進体制

デンソーグループの情報セキュリティに関する最高責任者(経営役員)のもと、デンソー本社に情報セキュリティを統括する専門部署を置き、世界6地域に本社と同様の専門組織を設置しています。
また、デンソー各部門・各グループ会社に、情報セキュリティ責任者を置き、デンソーグループ一丸となった情報セキュリティ活動を推進しています。

具体的な取り組み

巧妙化するサイバー攻撃リスクへの対応とデジタル化への備え

デンソーでは21年度に北米及び欧州のグループ会社において、サイバー攻撃による不正アクセスを受けたことを確認しました。このような事故を絶対に起こしてはならないという強い意思のもと、①社員一人ひとりの意識を変え、基本動作を徹底するための再教育・訓練の徹底、②強固な多層防御に加え、AI等の最新技術を活用し、巧妙化するサイバー攻撃をグローバルで迅速に検知・監視する体制の強化を進め、情報資産を様々な脅威から保護できるようグループ一丸となって対策を講じています。
また、自動運転やIoTなどの進展に伴い、クルマや生産施設などへのサイバーリスク対策が大きな課題になっています。クルマを安心・安全にご利用いただくため、高度運転支援や自動運転などの車載製品をサイバー攻撃から守る技術を開発し、確実に搭載すべく独自の仕組み構築を行っています。さらに、工場ネットワークや生産ラインなどへのセキュリティ対策強化などを実施しています。

社員の意識向上

情報セキュリティ対策を進めるにあたり最も大切なのは社員の意識です。
デンソーでは、例えば、社員に擬似的なウイルスメールを送る等の訓練や定期的な教育など、一人一人のセキュリティ意識を高めると同時に、万一の場合に即応できる体制を構築しています。

【TOPICS】(株)デンソーでの取り組み

全社員を対象に不定期に疑似的な攻撃ウイルスメールを送る「標的型攻撃メール対応訓練」を実施しています。
不審な相手から送信されてきたメールに対して、「不用意に添付ファイルやリンクを開かない」「セキュリティ窓口へ通報する」ことを意識づけて、万一の場合に適切に対処できるようにしています。
また、全社員を対象に最新の情報漏洩リスクと対処方法の教育などを実施して、社員一人ひとりが情報管理の砦となれるように意識付けを行っています。

今後の取り組み

「つながる社会」がますます進展する中、より良質な価値・体験をいち早くお客様に提供していくために、社内のデジタル化を推進し、データドリブンへの仕事の変革を加速させることで、仕事の質とスピードを高めていきます。
また、その際、さまざまな情報資産が社内外に集まり、多くの部門で利活用することが想定されます。情報提供者の権利や利益などが損なわれることがないように、契約条件・法令遵守をはじめ、あらゆる角度からリスクを想定し、ルールの策定や管理・運用体制の構築など、ガバナンスを強化していきます。