第3章(2011~2021年) 能力の向上を通じてデンソーに対するパートナー企業の信頼を強化

1. 事業統合によりグローバルスタンダードに向けて急速に変化する規制に対応

(2) DSECの設立(有限責任<LTD>会社として関連パートナー企業との合弁)

サーマル・デザイン・センター設立

2011年の爽やかな1月、デンソー・インドは転機を迎えた。パートナー企業との合弁であるデンソー・スブロス・サーマルエンジニアリングセンター・インド(DSEC)を設立してエアコン応用サービスを開始し、その後の目覚ましい道のりの基礎を築いたのだ。この戦略的な一手の目的は、DIAM(デンソー・インターナショナル・アメリカ)とデンソー本社を含む海外グループ会社と、インドグループ会社、すなわちDNKI(デンソー・キルロスカ・インダストリーズ)およびパートナー企業であるスブロス社のための応用サービスを、ともに確立することだった。

2012年になるとDSECが最先端のデンソーシステムとツールを導入し、設計スキルを高めるための貴重な知識がもたらされた。翌年の2013年4月に、HVAC(空調制御システム)とECM(エンジン制御モジュール)に焦点を当てたサーマルエンジニアリング応用サービスが設立され、大きな節目となった。

変革の段階を迎えた2013年9月には、DSECが応用設計支援をジャジャルのDNHA(デンソー・ハリアナ)第2工場に拡大して、特にホンダ・カーズ・インディア社の要望に応えた。この一手はDSECにおけるCADサービスの3交代制導入と相まって、コンカレントエンジニアリングを通じてDIAMのために開発サイクルの短縮を目指す、DSECの取り組みを示す好例となった。

2014年3月、DSECはDIAMのCADサービスで4.0を超える一定品質評価を獲得し、飽くなき卓越の追求が示された。翌年の2015年6月には、別の海外グループ会社であるDNDEに応用サービスが拡大され、より広範な業界連携へのデンソーの取り組みが強化された。

2015年7月には現地設計能力が大幅に強化され、インドにおけるデンソーの足場がさらに強固なものとなった。2016年には、DNJPとDTJPの間でエンジニアリングの業務委託のためのシームレスなコミュニケーションの流れが確立され、共同イノベーションが促進された。

2017年にはデンソー本社 DSS指針に従ってECMでBランク権限を達成したことで、厳格な品質基準に対するDSECの尽力がはっきりと示された。技術領域の拡大に取り組むデンソーの姿勢を反映して、2018年には現地設計能力の強化とスブロス社におけるラジエータECM製造施設の設置の二つに焦点が当てられた。

2019年5月にDSECがDNDE(デンソー・オートモーティブ・ドイツ)への応用(シミュレーション)サービスの導入を強化したことで、取り組みはさらに大きく前進した。2019年5月16日は記念すべき日となった。有限責任会社から、正式名称でもあるデンソー・スブロス・サーマルエンジニアリングセンター・インド(有)へと進化したのだ。

このDSECの進化は、技術革新と優れた協力体制、業界標準を革新する先駆的な合弁に対する、デンソーの揺るぎない献身を象徴するものであった。