第4章 ビジョン 未来に向けた新たな挑戦 2018~

2. 韓国の国内事業の構造改革を通した再躍進

① 黒字転換のための構造改革

DNKR 安全非常事態宣言
DNKR 安全非常事態宣言

2019年2月、デンソー・コリアは第1種災害の発生が相次いだことにより、デンソーグループ内の「安全特定会社」に指定された。安全特定会社になると、デンソー拠点内で「勤務環境が危険な会社」として指定され、3年間の特別管理監督を受けることとなる。
これをきっかけに、デンソー・コリアは、安全に対する全面的な意識改革と安全な勤務環境の定着、そして安全特定会社から脱皮するために「体制の改編」「安全スキルの向上」「社員の意識向上」「意思疎通を通した安全文化の定着」を中心に安全改革を推進した。

安全改革のために、まず会社の安全水準を徹底的に検証し、「安全管理の死角地帯」「作業者の安全認識不足」「管理者の管理不足」という三つの問題点を発見した。これに、「安全がなければ何もない、安全に例外はない」というスローガンのもとで本格的な改革活動を推進し、安全活動の重要性と深刻性を再認識して、既存の安全組織を社長直属の部署に改編した。

製品群を生産する多様な現場ラインから研究所・事務スペースまで、安全管理の死角地帯が発生しないようにグループ別の各組織に「ライン管理責任制」を導入し、担当役員がライン管理責任者として当該グループの安全活動を直接管理するようにした。
また、すべての社員にデンソー・コリアの安全水準の深刻さを認識させ、安全の重要性を強調するためにTOP巡回活動と全社安全教育を実施し、重大災害の発生を予防するために下記の4種類の活動を集中的に実施した。

①公開段取り:特定作業の改善前後を実演する現場を関係者全員が集まって確認し、お互いに意見を共有して追加で改善する事項はないか、作業者が感じる安全感度はどうか、直接確認する活動。

②現場の安全確認活動:班長を中心に現場を巡回し、作業者との対話(作業者はPQタイム活動で問題点を認識)を通して設備などの問題点を認識して改善を進める活動。

③PQタイム:現場の社員を中心に、一日に一定時間設備を点検して清掃することにより、改善が必要な部分を事前に認識する活動。

④3S+D:3S(スイッチオフ、設備停止、設備停止の確認)+D(手工具の使用)などが全社員に定着するように実演活動などのキャンペーンを実施する。

安全事故「0」に対する決議
安全事故「0」に対する決議

デンソーが守ってきた「安全のデンソー」という信念にふさわしく、各改善項目の水準を韓国の一般製造業の水準ではなく、デンソーの標準に合わせて非常に厳格に管理した。
2020年には韓国で「重大災害処罰法」が施行され、産業界全般に徹底した安全管理の必要性が台頭した。デンソー・コリアは、法の施行以前から安全改革を通して平均よりもはるかに厳格な安全管理を行い、高い安全意識による社内の安全文化の定着と拡散を成し遂げた。
このような努力が認められ、2021年6月に現代自動車グループから「安全管理優秀協力会社」に選ばれてほかの企業のベンチマークとなり、すべての関係者の努力に支えられ、その年の12月9日にデンソー内の安全特定会社から解除された。

2023年2月現在、デンソー・コリアは、第1種災害の発生のない安全な会社として、企業の社会的責任を全うしている。

Reborn21説明会
Reborn21説明会

また、事業環境の変化から生じた赤字経営から脱却するために、全社員が参与するReborn21活動を実施した結果、2021年の売上は1兆ウォンを回復して黒字に転換するなど、跳躍の足掛かりを作り、2022年3月には現代自動車グループから2021年の優秀協力会社に選ばれた。経営環境の改善に向けた努力は、現在も続いている。

デンソー・コリアは、韓国の自動車産業を支えてきたとともに、歴史を受け継いできた会社である。数多くの変化の歴史を経て、デンソー・コリアのアイデンティティーを確立し、独創的な活動によって逆境を克服してきた。これから直面するであろう様々な環境変化に対しても、大胆かつ進取的に対処していくことを信じて疑わない。