北米地域の物語

北米地域の歴史紹介

パット・バセット 品質担当上級副社長およびデンソー北米75周年記念委員会プロジェクトリード
パット・バセット
品質担当上級副社長およびデンソー北米75周年記念委員会プロジェクトリード
初めに

アンディ・片岡が1964年に米国に渡り、北米でデンソーの最初の活動を開始した経緯については、読んだことがあるかもしれない。

1. 輝く海へ―アンディ片岡の物語

はじまりはゆっくりだったかもしれないが、継続的な努力と北米の他の何千人もの社員の支えによって、私たちが築いてきたこの会社は今や誇るべき存在へと成長した。

デンソーでは、日本だけでなく世界のデンソーの歴史を記録したストーリーや記事、写真のコレクションをまとめており、この中には北米についての独立したセクションも設けられている。
デンソーは1970年代に北米の事業をミシガン州サウスフィールドへと移し、1986年に現在のDIAMを設立した。1980年代には現地生産も確立されつつあった。DMMIは1985年にミシガン州バトルクリークではじまり、テネシー州メアリービルのDMTNは1987年に始まった。1990年代と2000年代には他にも多くの拠点が加わった。

設計の開始

当初、DIAMのエンジニアリング活動は現地適合設計が中心であった。90年代にはエアコン担当チームとインストルメントクラスター担当チームが北米で設計を開始した。

北米では依然として日本の本部との共同作業が多かったものの、これが米国における設計プロセスのスタートだった。

こうした初期の設計プロジェクトを通じて、設計と製造のより深い共同作業が始まった。デンソーはグローバル企業だが、北米で製品を設計・製造することで、さらにいくつかのメリットがもたらされる。設計チームと製造チームのコミュニケーションが向上するため、現地の設計スタッフが直接現場に行って製造プロセスを確認し、製造担当者とより緊密に協力できるのだ。

さらなる拡大

北米での設計と製造の拡大に伴い、DIAMはより多くの責任を負うとともに活動範囲を拡大していった。それはサウスフィールドの地域統括拠点だけでなく北米全体で進んだ。

会社は1980年代にたった一つの建物(現在のDN1号棟および2号棟)からスタートした。すべての社員と機能がこの二つの建物に収まっていた。DN3号棟と4号棟が追加され、デンソーはオークホローのその他の建物(10、30、40、20)を購入した。

社内サプライヤー以外からの調達拡大

一部の特殊な製品を除き、デンソーの顧客はほとんどの製品の調達を社内サプライヤーに頼っていた。

しかし、1990年代後半から2000年代前半にかけて状況が変わった。自動車部品メーカーにとっての成長機会が拡大し、コンポーネントの製造からシステムの供給へと、事業形態も高度化した。

EUと中国へのグローバル化

デンソーはグローバル企業だったものの、DIAMが顧客であるデトロイトスリーへの供給を世界的に開始したのは、2000年代初頭になってからだった。特にEUにおけるDIAMのグローバルビジネスも拡大した。

この間に、DIAMとDNDE、DNTS、あらゆる多様な製造拠点とのグローバルな協力関係が大きく強化された。

トヨタやその他の日本の自動車メーカーを世界中でサポートしていたデンソーは、ある程度安定した足場を確立していた。

北米の研究開発

2010年代までに、DIAMは20年近く製品の設計とテストを行ってきていた。こうした設計の初期には、デンソーの主力製品の設計は依然として日本で行われていた。これは効率的である一方で、必ずしも北米で求められている的確な製品を顧客に提供できるとは限らなかった。北米市場のニーズは日本市場と異なる場合があるため、DIAMは北米市場で研究開発能力を確立する必要があると考えた。

先端技術と研究開発の分野に注力するために、デンソーは2011年にシリコンバレーオフィスを開設した。デンソーが北米の研究開発力を確立しようとしていた時期は、ちょうど自動車業界がCASE(Connected、Autonomous、Shared、Electrification<コネクテッド、自動化、シェアリング、電動化>)の時代に突入する頃だった。 これが、自動車サプライヤーからモビリティサプライヤーへとデンソーが転換するスタート地点であった。

シリコンバレーオフィスに加えて、ペンシルバニア州ピッツバーグ、テキサス州プレイノにも研究開発オフィスも開設した。

未来へ向けて

CASE時代への転換が進む中で、デンソーは二つの大目標を定めた。「グリーン(環境経営)」と「安心」である。今後の製品開発と製造は、これらの分野を重視することになるだろう。いかに環境を保全し、人々の安全を守るかが、重要な取り組みとなるのだ。

未来に向けて、デンソーは他の分野への進出も視野に入れている。アーバンエアモビリティ、エネルギーマネジメント、農業は、そうした新しい分野の一例である。

アンディ・片岡は60年前にデンソーの北米事業に着手した。次の60年で私たちがどこに向かうのか目にすることは、非常に興味深い体験となるだろう。

パット・バセット
品質担当上級副社長およびデンソー北米75周年記念委員会プロジェクトリード
デンソー・インターナショナル・アメリカ

ミシガン州サウスフィールド、アメリカ合衆国