1. 事業統合によりグローバルスタンダードに向けて急速に変化する規制に対応
(1) 南北再編 ― DNHA第2ユニットの設立
製品・技術・TM
技術の波を乗り越えて
デンソー・インド(DNIN)の旅は続いた。DNHA(デンソー・ハリアナ)の第1段階の特徴は、三つの主要製品であるエンジン制御装置(ECU)、燃料ポンプ(FP)、インジェクター(INJ)を着実に生産したことだ。自動車システムに不可欠なこの三つの製品は、DNHAの初期事業の根幹を成し、創業以来その生産を支えてきた。
2010年、エレクトロニクスを取り巻く状況の変化と政府の基準の変更に対応して、極めて重要な変化が起きた。政府の規制に合わせて無鉛技術が義務化されたのだ。このためデンソーは、製品ライン全体への無鉛技術の導入を余儀なくされた。同時に、はんだ付けロボットが登場した。これは特に複雑なはんだ付けプロセスを要する場面での大きな前進であった。この転換は規制の要件を満たすだけでなく、技術革新に対するデンソーの尽力を反映するものだった。
第2段階は大きな発展の波として到来し、三つの新しい製品が追加された。第1工場におけるO2センサー、VCT(可変バルブ)、ETB(電子制御スロットルボディ)である。この2012年の製品ラインナップの拡大は、絶えず変化する自動車市場の需要への戦略的対応だった。
VCTとO2センサー製品の生産はそれぞれ2012年と2013年に開始された。この段階で新たな技術が導入され、さらなる安全基準の重視とともに、QDCに対するデンソーのアプローチのパラダイムシフトを支えた。
こうした進展の真っただ中で、2013年に大変な課題に直面した。モーター用ラインをDNIN(HVAC<空調制御システム>、ECM<エンジン制御モジュール>、パワーウインドウ、ブロワ、ワイパなどを担当)からDNHAに移転するという、複雑な任務の遂行を迫られたのだ。この移転は大きな挑戦であった。顧客に混乱をもたらすことなく、シームレスに大量生産ラインを移転する必要があったのだ。この大胆な目標は2013年から2015年の3年間をかけて成し遂げられ、その間、安全に関する事故や納入の失敗は一度もなかった。EFM(電子ファンモジュール)、ブロワ、パワーウインドウ、そして最後にワイパアセンブリなど、多くの重要なコンポーネントが移転の対象となった。
安全技術の分野では2013年にエアバッグECUが発売され、自動車の安全機能向上に対するデンソーの尽力が示された。その後の数年間でさらに多様化が進み、2015年にCRS(コモンレール・システム)ディーゼル技術が導入されると、続けて同じ2015年にメーター生産、2018年にはRTS生産が始まった。
この進化は、技術の変化に対するデンソーの適応性、安全基準の厳格な順守、製品ポートフォリオ拡大の成功を示す好例である。ストーリーは、絶えず変化するインドの自動車市場の需要に応えるデンソーのレジリエンス、イノベーション、尽力の証しとして展開する。
DNHAの進化は、自動車を取り巻くインドのダイナミックな状況に応えて適応と革新を目指す、驚くべき道のりを反映している。2012年の第1工場としての再編とジャジャルにおける第2製造部設立を経て、効率性と生産性の向上に重点を置く複合事業部としてのDNHAの地位はさらに確固たるものになった。技術の進歩と業界の課題を乗り越え続ける中で、品質、安全性、イノベーションへの揺るぎない献身がDNHAの成功の礎となっている。