第4章(2022~2024年)インド独自のスキルと人材を生かした未来のための第2の礎の創造

1.「次」の創出と開始

(1)創造的付加価値と先進のITによる未来に対応する企業への転換

2022-有馬社長(現会長)によるDNIN訪問
2022-有馬社長(現会長)によるDNIN訪問
2024-有馬会長によるDNHA訪問
2024-有馬会長によるDNHA訪問
自律的、先駆的、主体的なインド企業

2022年、自ら未来を形作る意欲に後押しされたデンソー・インドは、変革の道のりの岐路に立っている。私たちはチャンスが訪れるのを待つのではなく、チャンスを作り出せると信じている。揺るぎない決意を胸に、インド独自のスキルと才能を生かし、持続的な成長と繁栄に向けた道筋を描けることに、大いに興奮している。

RHQとしてDIIN(デンソー・インターナショナル・インド)の役割を再強化して目指すものは、
『次』の創出、すなわち自らの道を描くことである。

絶えず変化する自動車業界を確かな足取りで歩みながら、地域統括拠点としての役割を革新し続けるDIINは、先頭に立ってこの道のりの次なる章を紡ぎ出す準備ができている。

(環境分析)車両生産/デンソーの売上
車両生産 ―(PV/CV)乗用車/商用車
【2022年度の振り返り】

新型コロナウイルス感染症の世界的流行がもたらしたさまざまな困難を経て、2022年には自動車部門に明るい兆しが見えてきた。成長に向けた業界のレジリエンスを反映して、車両生産が緩やかに改善しているのだ。

【2023年度の見通し】

2023年度に目を向けると、製造、雇用創出、インフラ整備に重点を置く政府の構想によってビジネス環境がさらに改善されると期待されており、2018年度から2025年度までの年平均成長率はプラス7%になると予測されている。

デンソーの売上(連結)
【2022年の振り返り】

デンソーの売上では、マルチ・スズキ・インディア社、ホンダ、トヨタ・キルロスカ・モーター社などの主要顧客がけん引したことと、ディーゼル補助金の打ち切りに伴いガソリンモデルが増産されたことで、販売計画が順調に達成された。ガソリン事業の増加がDNHA(デンソー・ハリアナ)の成長に大きく貢献した。

2024-林社長によるDNHA訪問
2024-林社長によるDNHA訪問

インドグループ会社の状況:
DNHA:
F-IoT(Factory Internet of Things)と重点的なデジタル化対策による強化と、効率的な生産システムによって、新たな挑戦に出る態勢が整っている。

DNINは「ショーケース工場」を目指している。顧客が来訪する度に喜び、常にポジティブなエネルギーが溢れる工場である。安定した経営基盤の確立を重視し、以下の点に焦点を合わせている。

1. 安定した経営基盤の確立
安全、品質、リスク管理、営業収益を優先し、強固な操業体制を確保する。
2. 人と組織
重視しているのは、未来を見据えたアプローチと揺るぎない努力を体現する個人を育て、強い情熱を持った人材を育成することである。
3. 生産性品質
あらゆる業務を横断して、直接的にも間接的にも、効率と品質を向上させるシステムの構築に尽力している。
4. 環境
この取り組みは収益性のみにとどまらず、競争力と環境サステナビリティのバランスを取ることを目指している。
5. インフラ
協調とイノベーションを促進する、明るく清潔で働きやすい職場を構築する重要性を理解している。
6. 技術
イノベーションと技術の進歩を受け入れることは、急速に変化する業界で常に前進を続けるために不可欠である。

顧客基盤を拡大してポートフォリオを多様化させたDNKI(デンソー・キルロスカ・インダストリーズ)は現在、国内で5社の顧客向けに生産を行い、さまざまな地域に輸出している。

【今後の見通し】

将来的に車両生産に良好な動きがあると予測している。しかしながら、高い市場成長に伴うリスクに引き続き気を配り、顧客への供給の確保に尽力しながら、改善しつつある市場環境の真っただ中にあって慎重な売上予測に基づいて利益計画を策定している。

課題の中での機会創出:
新たな環境規制への準拠と変化ポイント

事業シナリオの転換:
インドのデンソーは市場の需要の変化に応え、戦略的に焦点を再調整してコアコンピテンシーを拡大するとともに、BEVをはじめとするモビリティ分野で新たな地平を開拓している。さらに、コールドチェーン物流などの新たな領域にも挑戦し、専門知識とイノベーションを活用して持続的な拡大を推し進めている。

視点の転換:
変革的な視点を取り入れているインドのデンソーは、社内業務にとどまらず、イノベーションとスキル開発を通じて社会の発展に積極的に貢献している。技術力を生かし、継続的な学びの文化を醸成することで、経済成長とエンパワーメントを促進しつつ、社会にプラスの影響を与えることを目指している。

こうした中で、当社の機能と強みの強化のため、次の2点に取り組む。

1. F-IoTと広範なDX活動を工場側とオフィスで開始
デンソー・インドはデジタル革命を受け入れて、工場とオフィス施設全体で包括的なF-IoTと広範なデジタルトランスフォーメーション(DX)活動に着手している。先進技術を活用することで、あらゆる組織レベルで業務効率を高め、プロセスを最適化し、イノベーションを促進する。

2. 事業継続計画 ― 強固で持続可能なサプライチェーン
レジリエンスの高いサプライチェーンの重要性を認識しているインドのデンソーは、リスクを軽減して業務の継続性を確保するために、強固な事業継続計画(BCP)を実施している。ITセキュリティ、機密保護対策、火災リスク管理に重点を置き、急速に変化するビジネス環境を乗り越えるための俊敏性と適応性を優先している。