第1章 創立 豊星産業と日本電装との縁 1948~1979

1. 豊星産業の設立(1948年)

① 韓国の自動車産業の胎動と豊星産業

日本電装及び豊星産業の初代会長
日本電装及び豊星産業の初代会長
1948創業期の豊星産業
1948創業期の豊星産業

1948年10月、自動車産業は将来間違いなく大きく成長するだろうと確信した1人の青年がいた。彼はソウルの聖水洞で「京城商社」を立ち上げ、日本の自動車用品の輸入・販売を始めた。しかし2年もたたないうちに朝鮮戦争が勃発し、事業に困難をきたすようになった。

戦争が終わり、幸いにも事業を維持し、夢を失うことのなかった青年は、社名を「豊星産業」に変え、「いつか、国産自動車用品を直接生産する」という夢をかなえるための挑戦を始めた。その青年こそ、デンソー・コリアの母体となる企業の創業者、ファン・ギュサム会長である。

1950年代、豊星産業は日本からディーゼルエンジンを輸入し、そのほかにも自動車用の不凍液および電装品などを普及させ、韓国の自動車産業の萌芽に尽力した。自動車用電装品のほかにも冷蔵庫、電話機などの電気通信機器などを輸入して販売した。

一方、日本電装(現・デンソー)は、1949年12月にトヨタ自動車工業から分離して設立され、1969年に豊星産業と技術提携を通して主な事業パートナーとして特別な縁を結ぶこととなる。