第3章 南米事業拡大期
4. 南米通貨危機
(1) 熱交換器の生産開始
ブラジル市場には、GM社、フォード社、フォルクスワーゲン社が早い時期から進出し、トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)も1958年に進出した。貿易自由化の進展とインフレの終息により1990年代にホンダ、三菱、ルノー社、プジョー社などが続いた。
1990年代半ば、かつてはハイパーインフレに悩まされてきた南米経済に大きな変化が訪れた。1991年にアルゼンチンがドル・ペッグ化、1994年にはブラジル通貨も同様にドル・ペッグ化および新通貨レアル(BRL)を導入。さらに1995年にはメルコスールが発足して、南米に共同経済圏が誕生した。
経済成長への期待が高まったことで、1996年にトヨタ自動車がアルゼンチンに進出(アルゼンチントヨタ)し、TOYOTA「ハイラックス」の生産を開始。翌1998年にはブラジル(ブラジルトヨタ)でTOYOTA「カローラ」の生産を開始した。ホンダも1997年にブラジルで四輪の生産を開始している。
デンソーもまた、先に述べたアルゼンチン進出に加え、エバポレーターやラジエーター、コンデンサーなど、需要の広がりが期待できる熱交換器については現地生産時の採算や実現可能性の事前調査を実施し、1999年にDNBRでの生産を開始した。