第3章 南米事業拡大期
6. サンパウロ州への進出
(3) 製品ラインナップの拡充(スターター/メーター)
テクニカルセンター設置による現地設計の強化は、製品ラインナップの拡充を進展させた。
トヨタ自動車やホンダが事業拡大を計画する中で、南米デンソーの売り上げの大部分は依然としてカーエアコンやラジエーターといったサーマル製品であった。顧客貢献のために、そして成長のためにも、サンタバーバラで強化した経営資源を生かしつつ既存製品の競争力を強化し、また製品ラインナップの拡充を進めていくことがより重要となってきたのである。
南米ではすでにDMBRでオルタネーター・ワイパーなどの電機事業、DNAZで二輪車向けマグネトや一部の電子製品などを展開していたが、2012年には新しい製品ラインナップとして、南米でのみ現地生産が行われていなかったスターターの生産をDNBRで開始。着実に成長が見込まれる製品と位置付けて積極的な拡販活動を展開し、TOYOTA「EFC」やフィアット社向けに供給して南米電機事業の基盤強化を目指した。
先述の通り、DNAZでも同年に自動車用エンジンECUの生産が開始し、電子製品の南米現地生産が勢いづいた。さらに2014年には南米地域のカーメーカーに最適製品を提供すべく、メーターの設計・製造機能を新設してDNBRでブラジル生産を開始した。