第4章 苦難の時代とさらなる飛躍

2. さらなる飛躍を目指して

(1) カーボンニュートラル時代を見据えて

温室効果ガスの排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにする「カーボンニュートラル」。近年では「脱炭素」、そして「カーボンニュートラル」達成に向けて、世界各国で様々な取り組みが進められており、ブラジルやアルゼンチンも、2050年までのカーボンニュートラル実現を目標としている。
カーメーカーがHEVやBEVなどを市場に投入している背景には、そのような地球環境への意識の高まりがある。
気候変動問題を解決するために、デンソーグループは早くから取り組みを実施してきた。2011年に稼働したDNBRサンタバーバラ工場では、風の流れを考慮して、発熱の少ないエリアから給気し、発熱の多いエリアから排気することで空調レス工場を実現した。その後は、さらなるカーボンニュートラル化に向けて、どの設備がどれだけのCO2を排出しているかを特定し、それぞれに低減目標を課しながら削減の取り組みを進めていった。
デンソーグループの特徴は、カーボンクレジットを活用せずに目標達成を目指していることにある。
実質的には温室効果ガスを排出していても、それを取引によって相殺する。そのようなカーボンクレジットの活用を前提としてカーボンニュートラル化に取り組んでいる企業は少なくない。それに対してデンソーグループは、工場の省エネ化や再生エネルギーの自家発電、CO2回収や再生エネルギー購入などを通して、自力での達成を目標としている。

  • LED電球の使用
  • 工場の屋根に太陽光発電パネルを設置
  • 水力発電由来の電力(100%再生可能エネルギー)の活用

このような活動の推進により、すでにDNBRではサンタバーバラ・クリチバ両工場、およびDTBRペルナンブコ工場では2021年度にクレジット込みでのカーボンニュートラルを達成した。2025年度にクレジット込みで完了することが全社目標だったが、南米デンソーでは2023年に前倒しすることを視野に入れた活動を推進している。そして2035年度には、クレジットを活用せず、また工場のみならずサプライチェーンや製品使用も含めた「完全なカーボンニュートラル化」を達成すべく目標を掲げている。