第1章 創業の時代

参照

1949-

分離・独立時の職制表

分離・独立時の職制表
分離・独立時の職制表

1952年経営方針の概要

1952年1月、林虎雄社長による発表。

  1. 事務処理に関しての科学性を確立すべきだと思います。無駄を省いた最小限の事務処理が、正確な資料となって経営の方針に十分利用されているか、また、その事務処理が能率的に行なわれているか、できた資料が能率的に分類保管されているか等について研究し、実行すべき時だと思います。
  2. 生産合理化を目標とした設備の改善、充実に関しては、最も経費を要します。我々は特需の継続期間中にかなり思い切った計画を実行した結果、1年前に比べて改善の成果を挙げたことを喜ぶとともに、より能率的に作業を行なっていっていただきたいと考えています。今後も科学的な見方に立って、合理的なやり方で高能率・低コストで生産し、そうして高賃金を得ることができるはずです。
  3. 福利施設の改善は、衛生と安全の見地からも、家庭を離れて生産はできないので家庭生活の面からも、できる限り実行して行きます。
  4. 生産とリンクした資材の研究には見るべきものがあったと思います。こうした研究には相当の人員と経費を要するものであるし、かつ自動車工業というものはあくまでも技術研究を基礎とするものであるから、当事者は深くこのことを認識して、実用面への配慮と研究実績に対する信念を持って事に当たってほしい。新製品については、慎重で十分な検討をした上で、お客様に立派に満足を得る製品を生み出す努力が必要です。設計者は、上司の経験と知識を謙虚かつ大胆に引き出して、過ちを未然に防止して、立派な設計をし、かつ生産現場での加工や検査を見守って、いわゆる「研究と創造に努力し、時流に一歩先んじた」製品を生み出すことに努力してほしい。
  5. 生産現場においては、次の諸点などに留意されんことを望む。これまでに改善された機械設備を、さらに改良して活用し、品質の向上と工数の節約を行なってほしい。この点については、会社としても相当な奨励法を継続して、技術のレベルを向上させていきたい。運搬具の改善には、相当な経費を使って実現に努力してきたが、その活用には、あくまでも不要な努力や人手の無駄を省くということに目標付けてほしい。これが品質管理、数量管理に役立って、日々生産、日々棚卸というように、努力が数字の上に現れてくることが望ましい。賠償機械の利用はまだ十分とは言えない現状であるが、引きつづいて完全に機械の手入れをして、精度の向上に努力してほしいと思います。
  6. 品質管理と生産管理は、重要な問題で、かつ甚だ困難な事柄です。今年は何らかの具体的な課題を挙げて、このための具体的な研究を始め、適当な方策を定めて実施していきたいと思います。
  7. 月々の経費の6割にあたる資材の手当ては、経営に大きな影響を与えるので、会社の信用と協力工場との関係を考慮して、値上がり又は値下がりに慎重に対処していただきたい。また、独立したからには、トヨタ自動車工業への納入といえども競争になっています。営業は、サービスを裏付けとした売込みと市場判断で、お客様の批判や要求を見守って、生産と技術の指針として働いてもらいたいと思います。

ボッシュ社技術提携の概要

(1)日本電装は下記ロバート・ボッシュ社製品の日本における製造権および販売権を獲得する。
①契約品目

発電機(電流電圧調整器、カットアウトを含む)、始動電動機(スイッチを含む)、配電器、点火線輪、高電圧マグネト、以上に対するラジオシールド部品、ヘッドランプおよびスイッチボード(テールランプ、霧ランプ、サイドランプなど、各種の小型ランプ類を含む)、方向指示器(スイッチを含む)、電気警報器、ディーゼルエンジン用グロープラグ、温水式車両ヒータ、自動車用電気装置に必要な検査ならびに修理用工具・器具ならびに諸装置。

②特許使用権およびその範囲

契約品目の製造に必要なロバート・ボッシュ社の特許・実用新案およびそれらの出願中のもの。

③輸出入

日本電装はその契約品目を、①日本製車両については車両に組み付けられたものおよびその補給用については全世界に、さらに②外国製車両についても、ロバート・ボッシュ社の特許やそのライセンシーが存在しない国に自由に輸出できる。また、日本電装は輸入したロバート・ボッシュ社製品の日本での販売も認められる。

④技術供与と指導

契約特許の使用権のほか、ロバート・ボッシュ社の持つすべての技術(設計、製造方法、建物、機械の計画、検査などのすべての技術)を日本電装に供与する。ロバート・ボッシュ社の技術者2人を日本電装に派遣する。また、日本電装の技術者3人が6カ月間、ロバート・ボッシュ社で訓練を受ける。

(2)支払い

日本電装は、ロバート・ボッシュ社に対して、一定の割合のロイヤリティのほか一時金4,000万円を支払う(この一時金により、ロバート・ボッシュ社は日本電装の増資新株80万株を取得する)。

日本電装は、製品に「デンソー」マークを使用するが、別に「ライセンス・ボッシュ」のマークを付加する。

(3)期間

期間10カ年とし、契約当事者の一方が打ち切りの申し出をしなければ、年々自動延長する。

会社五ヶ年計画の概要

第二次五ヶ年計画の概要

豊田綱領の概要

「豊田綱領」とは、豊田佐吉翁の考え方を、整理し、成文化したもので、佐吉翁の5回目の命日にあたる1935年10月30日に発表された。

  • 一、上下一致、至誠業務に服し、産業報国の実を挙ぐべし
  • 一、研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし
  • 一、華美を戒め、質実剛健たるべし
  • 一、温情友愛の精神を発揮し、家庭的美風を作興すべし
  • 一、神仏を尊崇し、報恩感謝の生活を為すべし

「社是の制定に当って」(電装時報第44号)

「社是の制定に当って」 社長 林虎雄

当社は昭和24年12月に独立して以来早くも6年余りを経過し日本の自動車関係の業界にどうやら一個の存在を認められる段階まで到達することができました。

今後なすべき問題は山ほど残されてはいるけれど、それは我々自らの信念と努力とによって解決し得られる性質のものであると考えられるのでありますから、逐次理想の域にまで到達させたいと念じております。

さて、3月1日現在当社の従業員は部長以下合計1450名でありますが、この人員を入社年度別で大別してみると、26年4月現在854人、27年4月現在927人で73人増加。28年4月現在で1009人で182人増え、29年4月現在で1369人で260人増、30年4月に149人減って1220人となりましたが、31年2月に1452人となって232人の増となったのであります。更に本年4月には198人増加位して1620人となる予定であります。

さように1650人の従業員の中、26年4月が境となって、それ以前から居られる人とそれ以後に入社した人が丁度半々というようなことになるのであります。即ち1600人余の半数の人が勤続4年以内というわけでありまして、特に本年中に392人約400人の若い人たちが増加するのであって、1600人の約25%が入社早々ということになるのであります。

26年現在の人即ち現在の人員の50%の方たちは当社が独立当時の生みの苦しみとその翌年の大不況に直面して、会社再建の対策を完遂したあの時の深刻な悩みと苦闘とは、到底忘れることのできない貴重な体験でありましたが、それをつぶさに熟知され今尚記憶に新たなものがあると思うのであります。しかしながら諺にある如く、「のど元過ぎれば熱さを忘れる」というように、緊張と感激とは年とともに薄らいで長続きしないものであることと、その後に入社した50%の人たちには当時の事は十分に知る由もなく会社は忙しいから入れてくれたんだと思っているのではなかろうか。また何とか会社は利益を上げておるんだと単純に思っているのではあるまいか。

そこに重要な問題があるのである。大体公私ともに、現在を反省して眺めた時、大小の過失や不成績などのよって来る源の多くは絶対不可避のものではなく、弛緩した気持ちにその根を下ろしているものであります。

かって豊田の事業が大正の末から昭和にかけ次第に発展し、昭和14年頃は紡績、織機、自動車、レイヨン、製鋼および工機などの諸事業一応それぞれ基礎もできて豊田佐吉翁を中心とする事業精神が各方面に具現しつつあった時に、豊田を通じて各々の層に浸透して経営の規範となる社是を制定し、各自がその鏡に照らして豊田人としての在り方を基準付け世間に出して恥ずかしくない社風というものを打ち立てたいということになって、次の五つの言葉を定めたのであった。

  • 一、上下一致 至誠業務に服し 産業報国の実を挙ぐべし
  • 二、研究と創造に心を致し 常に時流に先んずべし
  • 三、華美を戒め 質実剛健たるべし
  • 四、温情友愛の精神を発揮し 家庭的美風を作興すべし
  • 五、神仏を尊崇し 報恩感謝の生活を為すべし

というものであった。この五つの項目に取り上げられておる言葉の意味は今日では社会通念としてあまり使用しておらず、そのままでは異様な風に取られぬこともない節もあるようです。即ち第一と第四にある言葉は軍国調とも見えるものがあることは事実であるが、その精神は必ずしも今日に不適当とは言えぬと思う。産業を興して国のため、民族のためになることは何時の時代にも大切なことであります。また今日の日本は家制度が無くなったというわけではなく、家長中心の思想から家族各々の平等な権利の上に立った秩序と明朗さのある社会を造るようになったのであるから、この意味での新しい大家族としての会社の姿を考えることは誤まったことではないと思うのであります。それ故にこの五つの信条を社是とした考え方はその精神を深く考えてみた時の時代でも通用据えるものであると考えるのであります。

しかしながら審理は不変であっても、その表現とその応用にあたっては、時勢の変遷と社会の進歩とに相応したものでなければなりません。例えば、仏教の真理は永久に不変の高遠な天理ではあるが、今日正統の仏教が不振に陥って却って不完全な教理または仏教の単なる一部分を取り上げたいわゆる新興宗教なるものが、一応今日の社会相に適応しさらに将来に備えた考えと形とを取り上げていくべきであると思う。この意味に叶う、当社の具体的な根本方針としての社是を考えて見る必要があるのであります。

こういう観点から、重役課長を通じ日本電装株式会社の大方針としての社是をどういうことを取り上げるべきか研究の上、案を広く求めたのに対し、百数十の言葉が集ったのであります。それを子細に検討したうえで、同じ意味合いと思われるものを集めてみると凡そ次の如く分類できるのであります。

  • 一、上下全員が一致して和衷協力して会社と従業員と相共に発展する意味のもの。
  • 一、信義を貴び責任を重んじ、社会的に最高の信用を得るように公私ともに良心的であるべきこと。
  • 一、研究に努力して、常に時流に先んじた新しいものを造り出すこと。工夫と努力で生産性を向上すること。良品廉価であるべきことの意味のもの。
  • 一、華美や虚飾を廃して、勤勉質素で、質実剛健な気風を持つべきことの意味のもの。
  • 一、国家社会に奉仕し、需要家の信頼に答え、生産を通じ社会に貢献すること、および、誠心で需要家にサービスすべきことの意味のもの。

この五つくらいにまとめ上げることが出来るように思いますが、さらにこれを考えてみると会社が需要家および社会に対してこうこうあるべきであるという対外的な方針と、それを具体的に実行するための社内のあり方を示す教訓的な方針とに分けることが出来ると思うのであります。けれどもこれらのことを一応念頭においてできるだけ判りやすいものにし、そして自分が多年、豊田の事業に関連し三代に及んで直接に勲等を受け指導に従った経験を基礎として、次のように四つの方針を選定して社是とする次第であります。

デミング賞の概要

デミング賞とは、品質管理の世界的な権威であったニューヨーク大学教授W.E.デミング博士の日本における功績を記念して、1951年に日本科学技術連盟によって創設されたものである。デミング博士は、1948年から1950年にかけて日本企業に対して統計的手法による品質管理の指導を行なった。これが契機となって日本企業に品質管理が導入され、日本製品の品質は飛躍的に改善されていくことになった。

デミング賞には、デミング賞、デミング賞実施賞、デミング賞中小企業賞の3種があり、当社が目指したのはデミング賞実施賞であった。

このデミング賞実施賞では、品質管理の目的の第1を「顧客を満足させる製品を提供すること」であるとし、この目的に向かって、統計的手法の活用により、あるいは実証的に、会社の業務運営がいかに行なわれているかが審査される。権威あるデミング賞の受賞は、企業としての社会への信頼度を高める大きなチャンスであった。

しかし、この時点までにデミング賞実施賞を受賞していたのは、八幡製鉄および富士製鉄(合併して現・新日本製鉄)、川崎製鉄の製鉄3社をはじめ一流企業二十数社でした。それだけに、1959年の時点で受審を目標とすることは、当社にとってかなりの勇気ある決断であった。

デミング賞の審査員

東京事務所 8月19日
  • 内閣統計局 後藤正夫氏(主査)
  • 工業技術院 相羽弘一氏
  • 国際電電公社 松本洋氏
本社工場 9月18日から20日
  • 東京工業大学教授 草場郁郎氏(主査)
  • 東京大学教授 石川馨氏
  • 東京大学教授 朝香鐡一氏
  • 早稲田大学教授 村松林太郎氏
  • 慶應義塾大学教授 富沢豁氏
  • 東海大学教授 鈴木武氏
  • 横浜国立大学助教授 神尾沖藏氏
  • 東京大学助教授 林周二氏
  • 慶應義塾大学助教授 千住鎮雄氏
  • 電信電話公社 磯部邦夫氏
大阪事務所 9月27日
  • 東京大学教授 石川馨氏(主査)
  • 京都大学教授 清水祥一氏
  • 東京工業大学教授 松田武彦氏

当社の報告者と報告テーマ

1. 東京事務所 8月19日
林社長 :
①会社の沿革、②会社方針、③QCに対する考え方
岩月専務 :
①製品並びに取引先の概要、②会社の組織
白井常務 :
①QCの歩み、②当社QCの特色、③QCの組織とQC活動に於ける東京事務所の役割
中村重役 :
①東京事務所の概要、②QCに占める東京事務所の地位、③組織と業務分担、④東京事務所長方針、⑤総合効果、⑥将来の計画
東京事務所営業課長 :
①組織と業務分担、②業務内容-情報収集と会議体、③実施例
東京事務所技術課長 :
①技術課の概要、②品質情報の収集について、③技術課の運営状況
東京事務所技術科技術係長 :
①製品の標準化
東京事務所技術科サービス係長 :
①情報収集について
2-1. 本社工場 9月18日
林社長 :
①会社の沿革と概要、②会社方針、③QCに対する考え方
岩月専務 :
①製品ならびに取引先の概況、②組織ならびに運営。③長期計画、④結び
白井常務 :
①QC活動の歩み、②QCの体系、③QCの特色、④QCの効果、⑤将来の計画
企画管理室長 :
①企画管理の組織および業務分担、②補佐ならびに援助業務の具体例
営業部長 :
①市場調査について
技術一部長 :
①製品設計について
工務部長 :
①生産管理について
購買部長 :
①外注管理について
2-2. 本社工場 9月19日
生産技術部長 :
①工程設計・設備管理について
製造部長 :
①製造工程の管理について
検査次長 :
①検査について
現場審査 :
電装1課、電装3課、電装4課、噴射ポンプ、自動機課、熱処理課、プレス課、電装5課、成形課
2-3. 本社工場 9月20日
現場審査 :
プラグ事業部、表面処理課、ラジエータ課、外検課、整備室、エンジン室、耐久検査、研究部
実施事例発表 :
ダイナモの設計から実用までの取り組み状況について
3. 大阪事務所 9月27日
岩月専務 :
①会社概要、②社是並びに会社5ヶ年計画、③QCのあゆみと品質に対する方針
井村常務 :
①販売機能について
大阪事務所長 :
①大阪事務所について

制度導入時の事業部

制度導入時の事業部

開放体制要綱の概要

新開放体制要綱の概要