第4章 最適化の時代

1. 連結経営

1997-

(2)最先端の連結システム

1997年
本格的な連結経営には、まず精度の高い業績管理のシステムが必要であった。最先端のシステム構築を目指して、大規模な「連結プロジェクト」を立ち上げた。
連結マネジメントへの思い
連結マネジメントへの思い

当社はバブル崩壊から立ち直り、再建を着々と進めていた。新たな成長を確かなものにする上で大きな課題は、DENSO VISION 2005に掲げた「グローバルなグループ経営」をいかに実現するか、であった。

当社はそれまで連結ではなく、本社単独ベースでの経営に重点を置いてきた。

グループ経営に本格的に取り組むならば、まず連結経営というものの基盤をしっかり固めておかなければならなかった。当社としての連結経営の考え方、効果的な業績管理の仕組み、最適な組織体制など、独自に決めなければならないことは山積していた。

一方、社外からは、法改正を背景として、投資家から連結情報開示の要求が高まっていた。会社決算面での連結導入は、もはや一刻の猶予も許されない状況になりつつあった。

こうした様々な課題を背負い、1997年4月、「連結プロジェクト」が立ち上がった。

2000年度に連結経営管理へ完全移行することを必達目標とした。時間の余裕はなく、スピード感を持って進めることが求められた。

さらに、事業部制をとる当社には、精度の高い事業別(事業軸)の連結業績データが必要だという、格段に難しい独自の課題もあった。

深掘り事業軸連結経営
1997年8月、経営の方向を定める場である役員研修が「競争力を高めるグループ経営」をテーマとして実施された。全役員が参集して議論した結果、当社の連結経営の根本として「事業軸」を最優先とし、それに合わせた業績管理を行うことを決定した。
事業部制をとる当社では、グローバル連結経営という場合、製品別事業部を切り口とする事業軸、機能部を切り口とする機能軸、世界主要地域を切り口とする地域軸が考えられる。それまでこの優先順位が不明確であったため、マネジメントの非効率や意思決定のトラブルが生じていた。これに優先順位を付けることが懸案となっていたが、様々な事情が絡んで容易ではなかった。しかしこれでようやく整理がつき、本格的な連結経営管理の検討と導入が可能となった。

まず優秀な企画スタッフを集めることであった。このプロジェクトは、各事業部の企画部門から若手メンバーを招集し、社外コンサルタントも含めると総勢55人という大規模なものとなった。経営管理の分野でここまで大規模なプロジェクトは当社初であった。

メンバーたちは、管理・決算の両面で必要な①連結経営組織、②業績管理・管理会計、③会計プロセス改善・決算早期化、④制度会計連結、という四つの重要テーマに取り組んだ。「どうせやるなら」ということで、他社をしっかり調査した上で、最先端の内容を持つ連結経営管理システムの導入を目指した。

3年に及ぶ試行錯誤や苦闘を経て、2000年4月度の連結月次採算実績を目標通りのスケジュールで作成することに成功した。

当時、先進的な企業でも、連結業績評価が会社全体でようやくできるようになったところであった。毎月稼働日5日目という早さで、それも事業別に精度の高い連結の経営数値が出てくる当社のシステムは、最先端のレベルを行くものであった。

早いタイミングで事業採算を把握することは、迅速な問題把握と的確な経営判断のために不可欠である。世界一経営を目指す当社としては、これでようやく、そのスタートラインに立つことができた。

深掘り連結経営導入の意義
当社が2000年初頭のタイミングで連結経営を本格的に導入できた意義は大きかった。
これにより、当社はその後のグローバル成長の波に乗り、海外事業を大きく伸ばすことが可能となった。中国など新興国が著しく経済成長し、北米が好景気に沸く中、正確かつスピーディに事業別の連結業績管理とそれによる判断ができるシステムを手に入れた。各事業部は海外への事業進出の検討を活発化させ、進出後も自信をもって事業を果敢に拡充することが可能となった。