第5章 新生の時代

1. 第二の創業

2017-2024

(1)100年に1度の大変革

2017年
当社は新たなタグライン「Crafting the Core」を発表した。大変革期に生き残るには環境変化を上回るスピードでの変革が不可欠。そのための仲間づくりをめざして、当社の価値観を社内外に発信した。
変革への思い(2017年)
変革への思い(2017年)

2010年代半ばに入ると、地球温暖化防止や交通事故抑制は、もはや喫緊の課題となった。また、人々の価値観や消費行動は、情報化の飛躍的な進展により、さらに多様化が進んだ。

自動車業界においては、IoT(Internet of Things)やAI(Artificial Intelligence)の進化、さらに異業種からの参入もあり、「100年に1度の大変革期」ともいわれるパラダイムシフトが進行した。

顕著なものとして、「コネクティッド、自動運転、シェアリング、電動化」が大きく加速し、それぞれの英語の頭文字をとって「CASE」と呼ばれた。

こうした状況は、将来にわたってさらに進展すると予想された。自動車においては、IT(情報技術)を活用したソフト領域やハードとソフトを融合した新たな領域で、今後どのような付加価値を生み出していけるかが核心になると見られるようになった。

2015年に有馬浩二社長が就任した。

有馬社長は、この事業環境の変化は創業期に匹敵するほどの大きなインパクトであり、当社はまさに「第二の創業期」に直面していると強く感じていた。勝つか負けるかではない。これまでのやり方を踏襲していては、生き残ることすらできない。さらに、今回の危機は、仕事が激減したリーマンショックのように実感しやすいものではないことを強く危惧していた。

有馬社長は、今こそ「変革」を起こさなければならないとの想いを強くしていた。

この環境で求められる変革とは、新たな会社に生まれ変わるほどの創造でなければならない。必要なのは、改善を積み重ねた上で、そこからさらに飛躍した斬新な考え方や手法であった。有馬社長は様々な場面で、こうした変革に向けて直ちに行動を起こすよう、社員に繰り返し訴えた。

深掘りこれまでの変革との違い
変革ということでは、当社はこれまでも、バブル崩壊やリーマンショックに際して、変革を強く訴え、推進してきた。
しかし、今回はこれまでのような「景気の落ち込み」ではなく、「経営環境の変質」への対応であった。問題は量の変動ではなく質の変化であり、それは経営の立て直しではなく会社が新たに生まれ変わるほどの創造が求められるということであった。これまでよりもはるかに大きなエネルギーが必要になることを覚悟しなければならなかった。

問題は、その変革の「スピード」であった。目まぐるしいほどの速さで変化する事業環境のもとでは、それを超えるスピード感のある変革でなければ意味がない。

有馬社長は、そのためには共に変革に取り組む「仲間」が必要だと考えた。しかし、当社はこの仲間づくりに長けた会社ではなかった。何か新たな方策が必要であった。

当社が内向き・自前志向の風土を脱し、オープンマインドで仲間づくりをするためには、まずこちらから価値観を発信し、それに共感してもらい、その共有を広げていくことが必要だと考えた。

新タグライン「Crafting the Core」(2017年)
新タグライン「Crafting the Core」(2017年)

当社は、2017年1月、「Crafting the Core」というタグラインを新たに制定し、社内外に発表した。

このタグラインには「人にとって大切なものを丹念に作り上げ、磨き続ける」という想いを込めた。

これにより、当社は何を大切にしている会社なのか、人々の幸福にどう貢献しようとしている会社なのかを知ってもらう。この価値観を共有することで仲間を見出し、求められる変革を共に迅速に推し進めたい。そういう想いであった。