第4章 最適化の時代

7. 明るい社会づくり

1997-

(2)地球と生命を守る

2013年
新たな「長期方針」を2013年に発表した。社会からの期待に対して、当社が企業規模にふさわしく、主体的にどう応えていくか。これをテーマとして本格的に取り上げた経営の羅針盤が生まれた。
デンソーグループ2020年長期方針(2013年)
デンソーグループ2020年長期方針(2013年)

リーマンショック後の経営再建に、当社は3年間で何とか目途をつけることができた。ここからの成長をより確かなものにするべく、次の経営の羅針盤をまとめる時機になった。

深掘り2020年長期方針の策定
新たな長期方針の骨子を固めるため、まず「全役員の叡智の結集」から始めた。2012年9月に「役員検討会」を開催し、丸1日をかけて集中的に議論を行った。2020年をターゲットとして、「デンソーグループの目指す姿」とそれに向けての「変革のポイント」が議論のテーマであり、様々な提言が行われた。
長期方針の策定に際して、今回は新たな試みとして、世界各地域から集めた17人で結成されたグローバルチームが新ビジョンの骨子の検討に加わった。あらかじめ各メンバーが世界各地域で議論した成果を持ち寄り、「デンソーのめざす姿」を議論し提言にまとめた。これは新ビジョンが世界の叡智を集めたグローバル方針であることを明確に印象づけるための活動でもあった。

2013年1月、加藤宣明社長は「デンソーグループ2020年長期方針」を発表した。

それまで「要綱」「ビジョン」と名付けていた経営の羅針盤を、今回は「長期方針」という名称に変更した。これから何に取り組んでいくのかという会社の方策をできる限り明確に示したいという考えによるものであった。

資料編:ビジョン 2020年長期方針

この長期方針では、「地球と生命を守り、次世代に明るい未来を届けたい」をスローガンとして掲げた。

このスローガンのもとで、「地球環境の維持と成長の両立」のために自動車の環境負荷を最小限にすることと、「一人ひとりが幸せで、安心・安全に暮らせる社会」のために悲惨な交通事故を起こさないようにすることに、強いこだわりを持って取り組むこととした。

従来の当社は、カーメーカーの意向を後追いする受け身の姿勢や黒子的な体質があった。その結果として、巨大な企業規模の割には社会的責任感が希薄になっていないかという反省があった。また、内製志向が強すぎて他社を信頼せず、何でも自前でやろうとして小さくまとまっていないかという懸念もあった。

この長期方針に本気で取り組むためには、まずこうした従来の体質や発想を転換する必要があった。今後は「自ら社会的責任を担い、世の中に積極的に働きかけ、パートナーと志を共にし、新たな社会づくりに取り組む」会社になることとした。

これまでの要綱やビジョンは、経営環境の激変への対応、あるいは成長を目指した将来像の実現のための羅針盤であった。

それに対し、新しい長期方針は、「社会からの期待にどう応えていくのか」を主題として打ち出した。
グローバル社会において、すでに世界有数の巨大企業となっている当社には何が求められているのか、社会のために果たすべき役割は何か。これがテーマであった。社会をしっかり見すえた課題認識をもとに策定した経営の羅針盤であった。