第3章 南米事業拡大期

2. ビジネスの多角化 [1]二輪・電子製品

(2) DENSO INDUSTRIAL DA AMAZONIA LTDA. (DNAZ) 設立

DNBRは1980年代からバスエアコンの生産を行い、品質・スペック面で評価されていた。しかし、価格面の問題で拡販が進まず、コスト競争力の強化が最重要課題となっていた。
そこで税制恩典を活用すべく、1994年、DNBRは100%子会社としてマナウスにDENSO INDUSTRIAL DA AMAZONIA LTDA.(DNAZ)を設立した。これがデンソーにとって最初の本格的なマナウス進出となる。独立会社ではあったが、規模が小さいことや、販管・間接費用のミニマム化という観点から、運営上はDNBRの分工場と位置付け、社長や一部スタッフはDNBRが兼任、それ以外についてもDNBRが定期的に支援した。
DNAZ は1997年4月よりバスエアコンの生産を開始したが、マナウスにはすぐ購入できる工場用地や建屋がなかったため、当初は貸倉庫を敷地面積3,500㎡、建物面積2,000㎡の小規模な工場に改造して使用した。また、モトホンダからの要望を受けて、同社が自社製品に使用していた生産ラインをレンタル工場に移転し、1997年8月から二輪用マグネトの生産を開始した。
このマグネト生産移管はデンソー本社とDNBRの支援を受けて行われた。モトホンダのマグネト生産ラインが完全空調工場であったため、DNAZでも完全空調化して設備の劣化を予防した。また、停電によって接着剤硬化工程が中断されるのを防ぐために発電機を設置した。現地で10人強の新規雇用を行ったが、ライン移管前で作業訓練ができないため、モトホンダで3直シフトに変更して訓練を実施した。