第3章 南米事業拡大期

2. ビジネスの多角化 [1]二輪・電子製品

(3) レンタル工場から自社工場への移転

DNAZのレンタル工場には様々な問題が発生した。
雨季にはトタン屋根に当たる雨音の影響で会議を中断せざるを得なかった。また雨漏りと配水管からのオーバーフローで工場内が水浸しとなり、生産ラインに浸水しないように従業員総出で水かきをした。
一方、乾季には水道断水が頻発し工場内も断水した。バスエアコンのケースや完成品置場が工場内に確保できず、屋外にブルーシートを掛けて保管することもあったが、シートにたまった雨水に蚊が湧いて従業員の多くがデング熱に感染した。
そこで、隣の敷地にある工場を新たにレンタルし、ケースや完成品置き場を確保した。これにより敷地面積6,750㎡、建物面積4,000㎡となったが、公道を使って製部品を運ぶと17%のICMS(商品流通税)が発生するため、新旧工場の塀を壊し通路を設置して課税を逃れた。
このような環境ではデンソー品質でのモノづくりができない。そう判断したDNAZは、マグネトの部品現調化を本格化するにあたり、既存の工場を用地とともに取得。安全かつ高品質なモノづくりができる自社工場に改造した。新工場の敷地面積は3万㎡、建物面積は8,200㎡。マナウスの工業団地に位置し、主要顧客であるモトホンダから3kmほどの距離にあった。

1999年新工場 開所式
1999年新工場 開所式
DNAZ
DNAZ

新工場は1999年9月に生産を開始した。その開所式にはアマゾナス州政府やアマゾン開発庁、日本総領事およびモトホンダトップからの来賓を迎え、デンソー本社からはエンジン機器事業部長で取締役の小川王幸のほか、DNBRの天野道夫社長も出席した。