第5章 新生の時代
3. 新たな苦境
2017-2024
(1)過去最大の品質問題
- 2019年
- 過去最大規模の品質問題が発生した。当社の看板である「品質のデンソー」を揺るがす深刻な事態となった。直ちに設計・製造分野を中心に、信頼回復への集中的な取り組みを開始した。
2019年度の当社決算は、約8割の大幅減益となった。新型コロナウイルス感染症の影響による自動車生産の落ち込みもあったが、減益の主要因は2,000億円を超える品質引当費用を計上したことであった。
品質問題への対策の影響はこの年度だけで終わらず、翌年度にも追加費用を計上することとなった。
品質問題を起こしたのはフューエルポンプであった。当該製品は複数のカーメーカーの多様な車種に搭載されており、国内だけでなく海外にも多くが輸出されていた。
当社として過去最大規模の品質問題であった。当社の看板である「品質のデンソー」の信頼性を揺るがす、極めて深刻な事態となった。
「品質」は当社の経営の生命線である。このような状況から一刻も早く立ち直るため、2020年度品質方針の重点テーマに「品質のデンソーの再出発」を掲げた。全社を挙げて「信頼回復の基盤固め」「設計品質、製造品質の向上」などに集中的に取り組んだ。
- 深掘り設計品質の向上
- 「設計品質の向上」については、大規模化や複雑化に加え、年々開発量が増加するソフトウェアの品質向上のため、開発上流から下流まで一貫したツール導入による自動化や省人化を計画的に進めた。
さらに、開発した新製品に対し、使用環境に伴う負荷と製品強度の関係から、十分な設計余裕度を確認することを義務付けた。
- 深掘り製造品質の向上
- 「製造品質の向上」としては、工程保証度のたゆまぬ改善に加え、現場作業まで体系的に改善を図る工程信頼度向上活動を継続した。さらに、万一不良が流出した場合、カーメーカーにかかる迷惑を最小化するロットトレースのシステム整備を進めた。
設計と製造、ハードとソフトの両面から、様々な取り組みを強力に進めた。しかし、「品質のデンソー」を本当に確かなものにするためには、さらに一歩進めてどんな環境変化にも対応でき、新たな価値を提供し続ける強靭な企業体質にまで、改革を徹底することが必要であった。
この改革を具体化するため、2020年に「Reborn21」(次項参照)をまとめた。「品質のデンソーの再出発」への取り組みは、企業体質強化という観点も加えて、さらに徹底して全社展開することになった。