デンソーの半導体開発を加速させるドライビングフォース、セミコンダクタ統括部

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    • セミコンダクタ統括部 室長小林 淳Jun Kobayashi

      セミコンダクタ統括部 室長。ASIC製品設計、製造部でのDX推進活動を経て、ASICやパワーデバイスのリードタイム短縮と品質を両立させる設計環境の高度化を牽引。全社課題を解決する技術テーマのプロジェクトの責任者、問題解決手法の講師や採用活動事務局を務めるなど、多方面で活動している。

    • セミコンダクタ統括部 担当係長鈴木 拓也Takuya Suzuki

      前職の材料メーカーにてCAE技術開発や車載向け電波吸収体の製品開発に従事。2022年にデンソーへ入社後、早期に新たなCAE技術の獲得と新たな人脈を構築。半導体に関わる熱・EMC設計環境の立ち上げなど、抜本的な生産性向上につながる設計工数・期間の低減活動をキーパーソンの一人として、活躍している。

    • セミコンダクタ統括部 担当万年 結奈Yuina Mannen

      2019年にデンソーへ入社。大口径シリコンウエハでの電力制御用半導体の製造工程や、内製SiCエピタキシャル工程の立ち上げに従事。現在はSi-IGBTの在庫最適化やSiCコスト管理体制の強化を推進。事業部全体の収益性の向上を目指し、部門横断的な視点で技術経験を活かしたコスト環境整備を推進している。

    CASEの潮流により、クルマは「半導体・ソフトウェアの集合体」へと進化しています。その中で、車載半導体は安全性、快適性、環境性能を支える基盤技術として不可欠な存在であり、自動車産業と半導体産業の融合の必要性が増しています。デンソー半導体事業においてその役割を担う中核組織で活躍する3名の想いに迫りました。

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      戦略・新商材・DX・CAE──多様な挑戦ができるセミコンダクタ統括部の仕事

      戦略・新商材・DX・CAE──多様な挑戦ができるセミコンダクタ統括部の仕事

      ──セミコンダクタ統括部のミッションや役割について教えてください。

      小林:私たちのミッションは、会社方針に基づいて、セミコンダクタ事業部の将来像を描くことです。そこから、中長期の事業戦略を立案し、技術部や製造部と連携して戦術に落とし込みます。技術部や製造部が日々の業務に集中する一方、私たちは、未来を見据えながら社会の動向を読み、課題解決に向けた新たな打ち手を見出すことが期待されています。

      私たちの役割を一言で表すとしたら、セミコンダクタ事業部の「ドライビングフォース」のような存在です。この役割を全うするために、大きく4つの取り組みを行っています。1つめは、セミコンダクタ事業の戦略立案と牽引。2つめは、セミコンダクタ事業における新たな商材の創出。3つめは、事業部内の業務プロセス変革、DX化推進。4つめは、リードタイム短縮と品質を両立する設計環境の開発・推進です。

      ──どのような業務を担っているのか具体的に教えてください。

      小林:1つめの事業戦略ではパワーデバイス製品やアナログIC(※)製品の全体最適戦略を立案します。事業部を効率的に運営するための監査機能も担っています。2つめの新商材創出では、最新技術の収集とお客さまの期待を分析し、中長期の事業成長に貢献する商材やコア技術を企画・開発します。3つめの業務プロセス変革では、仕事の標準化とデジタル技術を連携させ、事業部内のDX化を強力に推進します。最後の4つめの設計環境の開発では、製品設計に必要な自動化技術を開発し、リードタイムの短縮と品質を両立させます。

      「私たちセミコンダクタ統括部がいなければ、事業成長と製品開発は成り立たない」という誇りを持って、日々の業務に取り組んでいます。

      ※ アナログIC:電圧・電流の連続的な信号を処理するための集積回路

      ──セミコンダクタ統括部がデンソーにあることの意義や強みはどこにありますか?

      小林:デンソーは、自動車部品メーカーとして世界トップクラスの技術力を誇ります。その強みを最大限に活かすため、半導体事業を統括する中核組織として「セミコンダクタ統括部」を設置しました。

      この組織があることで、車載用途に最適化されたパワーデバイスやアナログICの全体戦略を描き、要素技術を徹底的に追求することが可能になります。将来的には、デンソーの他事業部とも連携し、ロジックIC(※)を含めた包括的な戦略を構築することで、より広い視点から社会に貢献できる体制をめざしています。

      ※ ロジックIC:電圧を離散的に扱い、論理信号を処理するための集積回路

      人の温かさに惹かれて入社。経営目線を得て、技術者として高みへ

      インタビューに応える万年結奈

      ──万年さんは新卒でデンソーに入社されたとのことですが、入社の決め手は何だったのでしょうか?

      万年:大学では理工学部で物理を学び、大学院では半導体材料であるSiC(シリコンカーバイド)の研究に取り組んでいました。デンソーを選んだ理由は、研究経験を活かせることや企業としての安定性などいくつかありましたが、最終的な決め手はインターンシップへの参加でした。

      インターンシップでは、SiCデバイスの研究部門で実験やシミュレーションなどさまざまな業務を体験したのですが、とくに印象に残っているのが、最後の部長報告の準備です。初めての経験であったため、準備に時間がかかり大変だったのですが、社員の皆さんが私一人のために発表練習に付き合ってくれました。その温かさに感動し、「この会社なら、楽しく、安心して働けそうだ」と感じ、入社を決意しました。

      ──入社後に携わった業務について教えてください。

      万年:入社後は、国内初となる「300mmSi RC-IGBTデバイス」の開発プロジェクトに参画しました。約3年半にわたり、デバイスの表面・裏面工程の設計や管理を担当しました。

      その後は「SiCエピタキシャル」の量産技術開発に約2年間携わり、主にウエハ裏面の不具合改善に取り組みました。その後、セミコンダクタ統括部への異動となり現在に至ります。入社当初から特定の製品に関わる技術開発を行っていたので、異動の話を聞いた際には驚きもありました。

      しかし、上司や同僚から「セミコンダクタ統括部では経営の視点から事業全体を俯瞰できる。将来、技術の現場に戻ったときにも必ず役立つ経験になるよ」と背中を押され、挑戦を決意しました。最初は不安もありましたが、周囲の皆さんが親身にサポートしてくださり、すぐに新しい環境に慣れることができました。

      ──セミコンダクタ統括部で印象に残っている仕事はありますか?

      万年:現在の私の担当業務は、競争が激化しているSiCデバイスのコスト管理体制を構築することです。中でも印象に残っているのは、インバーターの主要部品であるSiCチップについて、基板からデバイスまでの製造工程コストを最初から最後までの工程で可視化する「コストテーブル」を作成したプロジェクトです。

      ※ コストテーブル:製品や部品の製造工程ごとのコストを一覧化・構造化した表

      この取り組みでは、拠点が異なる複数の部署と連携する必要がありました。Web会議だけでなく、実際に各拠点を訪問し、製造現場を見て学んだり、現場の方々と直接対話したりすることで、信頼関係と理解を深めていきました。

      その結果、無事に「コストテーブル」が完成し、関係部署から「業務が楽になった」と嬉しい声をいただけたときは、事業に貢献できた手応えと、頑張って良かったと、やりがいを強く感じました。

      技術部時代もコストを意識していたつもりでしたが、セミコンダクタ統括部での業務を通じて、まだまだ視点が足りなかったと痛感しました。今では、経営目線でのシビアな感覚が身についたと感じています。技術者としてこの経験を今後も活かしていきたいと思っています。

      自分の意思が、仕事を動かす。デンソーのカルチャーに惹かれて

      インタビューに応える鈴木拓也

      ──キャリア入社である鈴木さんの、転職のきっかけを教えてください。

      鈴木:前職の材料メーカーで、CAE技術を活用した車載向け製品の開発に携わっていました。その中で、自動車業界の方々が製品や技術に強い想いを持って仕事に取り組んでいる姿に触れ、「私も、こんなふうに情熱を注げる仕事がしたい」と感じたことが、転職を考えるきっかけになりました。

      最終的にデンソーを選んだ決め手は「人」でした。面接で出会った社員の方が、自分の「Will(やりたいこと)」を熱く語ってくださって。その姿に心を動かされ、「この人と一緒に働きたい」と思いました。

      この“Will”を大切にする文化は、入社後も感じています。デンソーでは、「Must(やるべきこと)」や「Can(できること)」だけでなく、「あなたはどうしたい?」と個人の意思を常に問いかけられます。もちろんMustやCanも大事ですが、そこに自分のWillが重なることで、受け身ではなく主体的にプロジェクトを進められるようになりました。

      ──入社後に携わった業務と、そこで感じたやりがいを教えてください。

      鈴木:入社当初は、前職の経験を活かして熱CAE技術の開発を担当していました。現在は専門外の領域に挑戦し、熱とEMC(電磁両立性)のトレードオフ課題を解決するための設計環境の企画・開発・推進に取り組んでいます。

      最初は知識も人脈もなく、どう進めればよいか手探りの状態でしたが、「誰に声をかけ、どう仲間になってもらうか」を考えながら、他事業部や機能部門とも連携を深めていきました。技術的な課題とは異なる難しさもありますが、チームで大きな壁を乗り越えられたときの達成感は格別です。

      ──セミコンダクタ統括部ならではの強みは、どのような点にあると感じますか?

      鈴木:「専門性の集合体」であることが、セミコンダクタ統括部の最大の強みだと感じています。マーケティングや先行技術開発、DX推進、そしてモノづくりなど、多様なバックグラウンドを持つプロフェッショナルが集まっているため、新しいプロジェクトもスピーディーに立ち上げることができます。この小回りの良さは、他にはない魅力です。

      また、私たちは「短期」と「中長期」の両面から事業部全体の競争力強化に貢献できると考えています。たとえば、ITリテラシーの高いメンバーの知見を活かして、DX推進や設計環境の改善など、すぐに成果が出る取り組みを進める一方で、将来の事業の柱となる先進技術の種をまく活動にも力をいれています。この“両輪”を回しながら、事業の今と未来を支える。それが、セミコンダクタ統括部の価値だと考えています。

      健全な危機感のもと、一人ひとりの力を合わせてチームで事業を変革する

      風通しの良い職場環境で意見を交わすセミコンダクタ統括部のメンバー

      ──あらためて、セミコンダクタ統括部の風土について教えてください。

      小林:風通しの良さが特徴ですね。上司・部下の垣根が低く、フランクに意見を交わせる雰囲気があるため、意思決定もスピーディーに行えます。

      また、デンソー全体として、個人の裁量が大きく、挑戦を歓迎する文化が根付いています。中でもセミコンダクタ統括部には、「事業を変えるには、まず自分たちの考え方や働き方から変えていこう」という気概を持ったメンバーが多く在籍しています。

      「変わらなければいけない」という健全な危機感が共有されており、新しいデジタルツールなども積極的に取り入れる姿勢が、組織の強さにつながっていると感じます。

      さらに、メンバーとの1on1や、マネジメント層向けのコーチング研修なども積極的に実施しており、互いに支え合う文化が育まれています。こうした取り組みは、社内アンケートでも高く評価されています。

      ──メンバーに大切にしてほしい価値観は何ですか?

      小林:私が常に意識しているのは、「一人でできることには限界がある」ということ。だからこそ、全員の知恵と力を結集するチームワークが何より大切だと考えています。

      そのために、メンバーには「事業としてやるべきこと」と「個人としてやりたいこと」が重なる部分を最大化してほしいと伝えています。一日の多くの時間を費やす職場だからこそ、「明るく、楽しく、元気よく」を大切にしながら、自分の仕事にこだわりと誇りを持ってほしいですね。

      とくに若い方には、知らないことをそのままにせず、自ら行動し、理解しようとする姿勢を大切にしてほしいと思っています。若手も中堅も、上司をうまく“活用”しながら、どんどん新しいことに挑戦して自分自身を高めていってほしいと願っています。

      ──最後に、セミコンダクタ統括部の展望と、未来の仲間へのメッセージをお願いします。

      小林:私たちは、直接売上を生み出す部署ではありませんが、未来の種をまき、それを技術部や製造部が育てて花を咲かせる──そんな形で事業を変革することができると信じています。

      めざしているのは、「デンソーが優れた半導体製品を生み出しているのは、セミコンダクタ統括部がいるからだ」と社内外から評価される存在になること。そのために、社外発表などを通じて、私たちの価値を積極的に発信していきたいと考えています。

      変化の激しい時代だからこそ、現状維持ではなく、柔軟に考え、仲間と協力しながら挑戦できる人財を求めています。セミコンダクタ統括部は、事業を動かす“ドライビングフォース”として戦略・技術・人財を支え、未来のモビリティ社会に貢献する製品づくりを進めています。

      困難な挑戦であっても、それを楽しみながら、仲間と共に未来を創っていきたい。そんな熱い想いを持つ方と、ぜひ一緒に働きたいですね。あなたの「やってみたい」を実現できる場所として、デンソーを選んでいただけたら嬉しいです。

      セミコンダクタ統括部の小林淳、万年結奈、鈴木拓也

      ※ 記載内容は2025年9月時点のものです

      キャリア・生き方

      執筆:talentbook 撮影:talentbook

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