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2024.11.1
発酵させるように、じっくりと。
DRIVEN BASEにかける、まっすぐな想い
船の世界からシステムエンジニア、広報編集者と、想像もしなかったようなキャリアを歩んできた坂口 順規。「ありのままの自分」を受け入れたことが今につながった、と振り返ります。現在、デンソーのオウンドメディア『DRIVEN BASE(ドリブンベース)』の編集メンバーである坂口の、DRIVEN BASEにかけるまっすぐな想いとは。
この記事の目次
思いもよらない場所で、水を得た魚のように働く
──坂口さんは、ずっと広報のお仕事をされてきたのですか。
いえ、広報の仕事をするようになったのは入社から7年目のことで、それまではまったく違う世界でキャリアを歩んできたんです。
大学時代は船舶海洋工学コースを専攻していました。神戸の港で全長290mもある豪華客船を見て、巨大な乗り物を作る世界にロマンを感じ、この道に進もうと思ったのがきっかけです。最終的には大学院まで進み、研究テーマである水中ロボットの数値解析にふける日々を送っていました。
研究は忍耐強く何度も条件を変えて同じ実験を行うことや、緻密で地道な作業の繰り返し。それはそれでやりがいはあったのですが、内心「自分には向いていないのかもしれない」とも思っていました。もっと自由な発想でモノを作りたい、自分の手で作り上げる実感がほしい、と。
とはいえ6年間も同じ道で生きてきたので、就職の際は「今まで研究したことを活かさないといけない」と無意識に考えていました。ですので、専攻分野を活かせそうなデンソーに就職し、入社後は研究・開発職で配属希望を出しました。
ところが、私が配属された部署はなんとITデジタル部門。システムエンジニアとして今まで経験したことのないプログラミングをすることになり、本当に驚きました。でも一方で、知識のない分野での一からのスタートを心のどこかで喜んでいたんですよね。
──予想外の配属先だったのですね。システムエンジニアとしてはどのようなお仕事をされたのですか。
プログラミングについて基礎から一通り勉強し、実践経験を積んだ後、3年目からは受注管理に関わる社内システムの開発に携わりました。無数の受注情報からデータの傾向を読み解き、ユーザーである営業担当者の声を聞いて、システムを「どのように機能性が高く使いやすいものにできるか」を設計し仕様に落とし込んでいきました。
人と関わりながら、自分で考えたもので相手の役に立つことができることがとても嬉しくて、すごく手ごたえ感があって、「仕事っておもしろいな」と思えた瞬間でした。
そして長年取り組んでいる中で、「社内に限らず、もっと広い範囲で自分が作りあげたものを伝えていきたい」と考えるようになっていきました。より対外的に自分の価値を発揮できる仕事は何かと向き合いはじめたそのときに、広報部門が出していた社内公募を見つけたんです。
──新たなチャレンジとして広報部へ異動されたのですね。異動してみていかがでしたか?
まさに「自分のやりたかったことはこれだ!」という感覚でいっぱいでした。広報の仕事は頭を巡らせることが多いんですよね。「どんなターゲットに向けて、どんな言葉やデザインで情報を届ければいいんだろう」「デンソーをもっと身近に感じてもらうためには、どんな企画をすればよいのだろう」など、答えのない世界でゼロから物事を考えるのがとても楽しくてたまりませんでした。
まさに水を得た魚のように、「自分はこういうことがやりたかったんだ」と熱が溢れでた感じですね。
ありのままに生きればいい。だからこそ見えるものもある。
──広報部に異動して仕事だけではなく、ご自身のマインドにも変化があったのではないでしょうか?
そうですね。私はもともとあまりプライドが高くない方だと思っています。大学時代の専攻からはまったく想像できないようなキャリアの重ね方をしていますが、その性格が新しい分野に飛び込んだ時のレジリエンスとしてうまく働いているんじゃないかなと思います。
それに人生一度きりなので、自分に合わないな、別の世界の方がおもしろそうだなと感じたら、新しい世界に飛び込むのもいいかもと思えるようになったんです。広報への異動は、まさに学生時代に抱いていた「こう生きるべき」から解放された瞬間でした。
それからは誰かに合わせるのではなく、自分の意見をしっかり言えるようになりました。案外そんな自分を肯定してくれる人も多くて、「自分を取り繕わず、ありのままに生きればいいんだ」と実感した大きなターニングポイントとなりましたね。
──「ありのままの自分」を受け入れることで良い変化があったんですね。
自分を取り繕わなくなったことで、いろいろなことに臆せず挑戦できるようになり、フラットだった人生に躍動感が生まれてきました。子どものような自由な心で仕事に取り組むことができています。
実際、異動後はコーポレートサイトのリニューアルから、採用ブランディング、社員記事メディアの立ち上げなど、この会社にとって必要だと思ったことは常に声をあげて企画・推進をしてきました。そして2023年には、オウンドメディア『DRIVEN BASE』の編集チームにも参加します。
広報の仕事をやっていて感じることは、誰もが「できない」と思っていることや、目にも止めないようなところに大きな発見が眠っているということ。「やってみよう」と一歩踏み出してみた結果、仲間がどんどん集まり、大きな変化を生み出せる。自分が「できる」と信じて突き進んだ先に“変革”は起きるのではないかと、いつもそう思っています。
自分が「自然酵母」となって、ゆっくり着実に広げていく
──DRIVEN BASE について詳しくお聞かせください。
デンソーのオウンドメディア『DRIVEN BASE』は、前身である『Stories』から数えると2024年で4年目を迎えます。当初から変わらず「ハッとして、グッとくる」をコンセプトに掲げ、ただ一方的に情報を伝えるのではなく、“弱み”や“泥臭さ”にも触れながら、感情が突き動かされるようなコンテンツづくりをめざしています。
私の役割は、メディアの世界観を大切にしながら、新たなファンを増やすための企画を行っていくこと。「より多くの人に共感してもらうためにはどうしたらいいだろう」と常に考えながら、試行錯誤を続けています。
──DRIVEN BASEをきっかけにうまれた変化はありましたか?
そうですね、じわじわとDRIVEN BASEの仲間の輪が広がっている感覚はあります。とくに社内では、こちらから声をかけなくても「今度こういうイベントがあるよ」「DRIVEN BASEでこういう情報発信できないかな」と話を持ち掛けていただける機会が増えるようになりました。
DRIVEN BASE編集部のメンバーからは、私の取り組みがゆっくり着実に広がっていくのをみて「坂口くんの仕事ぶりはまるで発酵の種『自然酵母』のようだね」と言われることも。独創的でおもしろい表現だと思いましたが、そのように良い取り組みを広くじっくり届けていけたらうれしいですね。
「でも、なんか好きなんだよな」と、言ってもらえるようなメディアをめざして
──坂口さんが「DRIVEN BASE」を通じて社内・社外の方に伝えたいことを教えてください。
デンソーは実に幅広い取り組みを行っているんです。自動車部品だけでなく、農業や物流、地域創生の取り組みなどユーモアあふれるものまでさまざま。ただ、社員でさえもそれらの取り組みを把握できていないのが現状です。DRIVEN BASEは、そういった方たちに向けて、デンソーの“イマ”を届けるメディアでありたいと思っています。
また、その時々のホットなテーマだけでなく、マイナーな取り組みや事業以外の活動にもスポットライトを当てるようにしています。デンソーのいいところは、新しいことに果敢に挑戦する社員がたくさんいること。必死な表情でもがき苦しんでいたり、結果失敗に終わったりすることもあるかもしれませんが、そういったところも含めてありのままのデンソーを届けていきたいと思っています。
「なんかいつもおもしろそうなことをやろうとしている会社だな」
「みんなすごく泥臭くてまじめだよな」
「でも、なんか好きなんだよな」
DRIVEN BASEをきっかけに、たくさんの人にそう感じてもらいたい。それが、私の目標です。
──さまざまなコンテンツを届けるために、日々意識していることはありますか?
そうですね。まずは、拒まないことでしょうか。こちらから積極的に話を聞きに行ったり、社内外のイベントに参加してテーマについて知見を深めたり。チャンスを逃さないように、常にアンテナを張っています。ふとしたところにお宝は眠っているもの。デンソーのあらゆる取り組みを誰よりも「知る」ことを意識しています。
──最後に坂口さんが「DRIVEN BASE」を通じて実現したいことをお聞かせください。
DRIVEN BASEのおかげでさまざまな出会いがあり、その人たちから刺激を受けて、視野が広がっていきました。そういった出会いの機会を、これからも大切にしてきたいと思っています。
新たな出会いの中で、新たな可能性を見つけながら、それにちょっと興味を持ってみて、ちょっと踏み込んでみる。それを繰り返しながら、目の前の人や物事をほんのちょっと幸せにしていく。それが自分らしい生き様だと思いますし、これからもそう生きていきたいと思います。
DRIVEN BASEはまだまだ発展途上。より多くの方に好きになってもらえるオウンドメディアをめざして、これからも挑戦し続けていきます。
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