第3章(2011~2021年) 能力の向上を通じてデンソーに対するパートナー企業の信頼を強化

2. DIINが販社から多機能な地域統括拠点へと転換

(2) トップにとどまり続けるために必要なこと ― デンソーが特に注力したのは研究開発 ― インドテクニカルセンターの設立

2012-DIIN-技術研究開発センター開会
2012-DIIN-技術研究開発センター開会
デンソーの第7グローバル研究開発センター

自動車業界では常にトップの座が争われている。優位な立場を保ち、変化する消費者のニーズに対応するために、企業には革新が求められている。世界的な自動車部品メーカーであるデンソーは、この現実を理解し、インドでの競争で後塵を拝さないように先手を打って取り組んでいる。また、進化する自動車業界のニーズに応える革新的なソリューションを創出するために、研究開発に多額の投資を行ってきた。

卓越を追求し、イノベーションの最前線に立ち続けるために、デンソーは研究開発(R&D)に明確な焦点を合わせた変革の道のりを歩み始めた。この取り組みの礎は2011年6月、テクニカルセンターの起工式によって築かれた。この野心的なプロジェクトは、BS4やBS6といった変わり続ける規制基準への対応だけではなく、キャリブレーションと付加価値エンジニアリングサポートの提供も目的としていた。

2012-DIIN-技術研究開発センター開会-梶田MD
2012-DIIN-技術研究開発センター開会-梶田MD
2012-DIIN-技術研究開発センター開会-野尻TC長
2012-DIIN-技術研究開発センター開会-野尻TC長

2012年11月5日、デンソーはテクニカルセンターの「グランドオープニングセレモニー」でこの重要な節目を祝った。3,530万ドルの多額の投資に裏打ちされた最新の施設は、最先端技術開発に対するデンソーの意気込みの象徴となった。5,040m2を超える広大な敷地のテクニカルセンターは、インドの地形や気象条件がカーメーカーに突きつける特有の課題に対処できるように、戦略的な場所に位置していた。

多目的研究開発ハブとして誕生したインドテクニカルセンターは、シャーシダイナモ、エンジンダイナモ、ディーゼルリグベンチ、衝撃試験、小型モーター性能、ワイパ耐久性試験、電波暗室などの最先端の設備を備えていた。これらの設備のおかげで、エンジニアリング能力を示すだけでなく、革新的な安全技術の推進によってインドの交通死亡事故の削減に積極的に取り組む態勢が整った。

テクニカルセンターの基本的使命の中心には顧客の規制順守のサポートがあり、Euro基準に相当するバーラト基準BS4とBS6に大きな焦点が当てられている。インドの状況に即した環境・安全の懸念に対するデンソーの取り組みは、センターの業務範囲に反映されている。営業チームとの連携から、インドのカーメーカーのための市場調査、システムキャリブレーション、応用エンジニアリングまで、センターの目的はインドにおけるデンソーの事業成長に大きく貢献することである。

カーメーカー、インドグループ会社、サプライヤー、社会から信頼されるエンジニアリング組織を目指すデンソーのテクニカルセンターは、環境サステナビリティ、安全性、快適性、利便性、セキュリティに焦点を合わせた独自の製品開発に挑戦している。グローバルエクセレンスに対するセンターの取り組みは、世界的なオフショアプロジェクト向けソフトウェア開発にまで及び、地球規模でデンソーの技術エンジニアリング活動を支えている。

政府の方針と規制

テクニカルセンターは、政府の方針と顧客ニーズの調査と順守に積極的に関わった。デンソーはSIAMやACMAなどの自動車団体の年次大会に参加して、2030年までにBEVの割合を30~40%にするという政府のビジョンに沿ったインド自動車業界の動向を把握した。

テクニカルセンターは、インドにおけるイノベーション、規制順守、より安全で持続可能な自動車の未来の創造に対する、先を見越したデンソーのアプローチの証しである。