第1章 南米市場の開拓

1. NIPPONDENSO REFRIGERACOES LTDA.(NDB)の設立

(3) 南米事業の開始

NDB会社内の一部
NDB会社内の一部
トヨタ・ブラジルの工場の一角(NDB借用倉庫)
トヨタ・ブラジルの工場の一角(NDB借用倉庫)

1975年9月、アフターマーケット用カーエアコン販売会社“NIPPONDENSO REFRIGERACOES LTDA.(NDB)”の設立により、いよいよデンソーの南米事業がスタートした。
サンパウロ郊外のサンベルナンド・ド・カンポにあるブラジルトヨタの遊休施設を借り受けたNDBは、小規模工場を備えた市販中心の会社として後付けエアコンビジネスを開始。3人の日系ブラジル人を採用し、商品知識、セールス、サービス、品質保証などの日本語マニュアルをポルトガル語に翻訳して販売促進にあたった。
幸いにも、トヨタ自動車や豊田通商のほかに、豊田工機(のちのジェイテクト)が同年までに現地生産を開始。NDBは現地のトヨタ自動車グループ企業に密着して、その知恵を借りながら活動を展開していくことになる。
工場のほかにも、豊田通商の現地法人事務所の一室に活動拠点を置いてセールスの準備を始めた。とはいえ、市場に関する基礎的なデータはほとんどないに等しい。そこで、エアコンの普及状況などに関しては、NDBの従業員は自らサンパウロ コンゴーニャス空港やスーパーなどの駐車場を駆け回り、車種、エアコン装着の有無、エアコンの機種などを調査した。