あなたが実現したいこと、学びたいこと、可能性を広げたいことに、この記事は役に立ちましたか?
ぜひ感じたことを編集部とシェアしてください。
理系か文系か。はたまた、自分には何ができるのか。将来の進路に迷った経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。自分が選んで進んだ先で、どのような仕事に携わることができるのか。また、その道を選んだ理由や、働く中で感じていることは何なのか。そんな疑問をもつ中高生も少なくありません。
とくに、女子中高生がSTEM分野(科学・技術・工学・数学)で活躍する女性たちと出会い、その経験や思いに触れる機会は、まだ多くありません。
そこで、STEM分野で働く女性との対話を通じて、自分らしい未来を考えるきっかけをつくるプログラム「Girls Meet STEM」が、デンソー先端技術研究所(愛知県日進市)で開催されました。
今回参加した高校生6名、中学生7名(以下、中高生)は、何を感じ、どんな未来を描いたのでしょうか。
デンソーの研究分野で働く女性技術者5名(以下、技術者)との座談会では、進路や仕事、学生時代の経験について、率直な対話が交わされました。
この記事の目次
理系って、もっと遠い世界だと思っていた
今回の座談会では、技術者たちに、「なぜ理系を選んだのですか?」「なぜデンソーに入社したのですか?」など、中高生から将来の自分を重ねた率直な質問が次々と寄せられました。
技術者たちは、進路に迷った経験や学生時代のこと、デンソーを就職先に選んだ理由を振り返りながら語りました。話の中で共通していたのは、「最初から明確な答えをもっていたわけではない」ということ。悩みながら進路を選んできた先輩たちの言葉に、中高生たちは真剣に耳を傾けていました。
参加した中高生の声
進路を考える中で、「実際に理系の仕事をしている女性の話を聞いてみたい」と思い、姉妹でGirls Meet STEMに参加しました。
座談会では、実際に働く方々の話を直接聞けたことが、とても印象に残っています。皆さんが生き生きと仕事をされていて、理系の仕事がこれまでよりずっと身近に感じられました。
実は、参加する前は、理系の職場には男性が多いイメージをもっていたんです。ですが、想像していた以上に多くの女性が活躍していて驚きました。それぞれが自分らしく働く姿を見て、「理系の道には、こんなにもさまざまな可能性があるんだ!」と気づきました。
今回の参加を通して、「難しそう」「自分には遠い世界かもしれない」と感じていた理系の世界が、「面白そう!」「もっと知ってみたい!」と思えるものに変わりました。そして、いつか自分も挑戦してみたいという憧れが生まれた一日でした。
好きなこと、興味をもったことの先に自分らしい未来がある
参加した中高生にとって、新しい発見に満ちた一日となった今回のプログラム。迎えた技術者たちにとっても、多くの気づきがありました。自分たちが歩んできた道のりや研究への思いを言葉にし、それを受け取った中高生との対話を重ねる。交流を終えた4名の技術者に、一日を振り返ってもらいました。
千田さん (写真左上):今回、中高生の皆さんと一日を過ごす中で、とても印象的だったのは、時間とともに会話や言葉が増えていったことです。最初は緊張した様子で、初対面同士ということもあり少し距離を感じましたが、交流を重ねるにつれて自然と会話が増え、自分の考えや感想を話してくれるようになりました。最後には「楽しかった」「こんなことを知ることができた」と前向きな言葉も聞くことができ、私自身もうれしくなりました。今回の経験が、将来の進路や理系分野への興味につながる小さなきっかけになってくれたらうれしいですね。
中西さん(写真右上):私自身、学生の頃は理系に進むか、それとも英語やコミュニケーションに関わる道に進むか、迷った時期がありました。でも今振り返ると、理系を選んだからといって可能性が狭まるわけではなく、むしろ自分の好きなことを組み合わせながら新しい道を切り拓けると感じています。現在も、研究だけでなくアートやデザインなど幅広い領域に関わっています。進路選択は大切ですが、その選択が将来のすべてを決めるわけではありません。理系や文系という枠にとらわれず、自分が心から面白いと思えるものを大切にしてほしいと思います。
野田さん(写真左下):私が研究の面白さを感じるのは、一つのテーマに対してさまざまな視点や考え方が集まり、新しい発見が生まれる瞬間です。異なる専門や経験をもつ人たちと意見を交わすことで、自分だけでは思いつかなかった考え方に出会えることに、大きな魅力を感じています。また、昔から「なぜだろう」と疑問をもち、その答えを考えることが好きでした。課題に向き合い、試行錯誤しながら解決策を探していく過程は、今の仕事にもつながっています。興味をもったことを深く学び続けることが、自分らしい未来をつくる力になるのではないでしょうか。
金岡さん(写真右下):理系の魅力は、身の回りで起きている出来事に対して、「なぜそうなるのか」「どのような仕組みなのか」を考え続けられることだと思います。私自身も研究を通して、その問いに向き合う力を育んできました。そして今も、考え続ける姿勢が仕事の大きな支えになっています。一方で、「やりたいこと」を最初から明確にもっている人ばかりではありません。私自身もそうでした。だからこそ、まずは興味をもったことや、好きだと思えることに挑戦してみてほしいと思います。その経験の積み重ねが、自分らしい進路や将来の夢を見つけるきっかけになるはずです。
「なぜ?」から始まる未来
理系を選ぶ人は、小さい頃から明確な夢をもっている。そんなイメージをもつ人もいるかもしれません。しかし、その入り口は、意外なほど身近なところにありました。
デンソー先端技術研究所 所長の伊藤は、自身が理系を目指したきっかけを振り返りながら、これから進路を選ぶ中高生へメッセージを送りました。
伊藤所長:私が理系を目指すきっかけになったのは、高校1年生のときに出会った女性の化学の先生でした。「女性でもこんなふうに活躍できるんだ」と感じたことを、今でも覚えています。
もともと私は料理に興味がありました。なぜ卵と油と酢を混ぜるとマヨネーズになるのか。パンはなぜ、ふわっと膨らむのか。普段は当たり前に見ているものにも、「なぜだろう」という不思議がたくさんありました。そして、その身近な疑問に答えてくれるのは、いつも「化学」だったのです。理由が分かった瞬間、「面白い!」とワクワクしたことを、今でも覚えています。
振り返ると、私は昔から探究することが好きな子どもでした。分からないことを調べ、考え、答えにたどり着く。その過程は、まるで謎解きゲームのようで、今も研究の面白さの原点になっています。
STEMの魅力は、ただ知識を深めることではありません。新しい発見や技術が、誰かの暮らしを豊かにし、社会を少しでも明るくすることにつながる。自分の探究心が社会への貢献につながるところに、大きなやりがいを感じています。
今回は女子中高生を対象にしたプログラムでしたが、私は、女性だから、男性だからという枠組みで語られない社会になってほしいと思っています。今回参加してくれた中高生たちにも、「理系だから」「文系だから」「女性だから」といった枠にとらわれず、自分の好きなことや得意なことを大切にして、選択してほしいと思います。
大切なのは性別ではなくて、一人ひとりがもっている個性や得意分野です。
研究の現場は、本当に個性の集まりです。一人ひとりの異なる個性が融合して、新しい発見や価値が生まれる。それこそが化学の本質なのではないかと感じています。そんな未来をつくる仲間がもっと増えて、それぞれが自分らしく活躍できる世界になればいいなと思います。
好きなことが、未来をつくる
私たちはつい、「理系か文系か」「自分に向いているか」といった枠組みの中で、未来を選ぼうとしているかもしれません。
しかし、中高生と技術者たちの対話から見えてきたのは、「好き」「面白い」「もっと知りたい」という純粋な好奇心が、未来への最初の一歩になるということでした。
最初から答えが見つかっていなくてもいい。迷いながら、自分の心が動く方向へ進んでいけばいい。Girls Meet STEMで芽生えた小さな気づきや憧れが、参加した一人ひとりの新たな挑戦につながっていくことを願って──
「難しそう」が「もっと知りたい」に変わった日。その小さな変化から、未来の選択肢は広がっていきます。
COMMENT
「できてない」 を 「できる」に。
知と人が集まる場所。




