ベンチャー企業へ出向。そしてデンソーの組織改革を目指す挑戦

ひとりひとりが、自分らしく生き生きと働ける風土を築く

  • まちづくり企画室 所属沖 直人 (おき なおと)

    2009年に新卒でデンソーに入社後、トライボロジー部品の設計開発に従事。2017年に社内価値創造コンテストで最優秀賞を受賞後、事業創造部門に異動し、デンソー初のベンチャー出向、事業創造人材プロジェクト・有志団体の創設を経て、現在に至る。株式会社TOWINGのCSOを兼任。

現状に甘んじず、前に向かって挑戦し続ける沖 直人。社内価値創造コンテストで最優秀賞を受賞後、自らの意志で1年間のベンチャー出向を経験。その後デンソーに戻り事業創造および風土改革に取り組んでいる。様々な壁にぶつかりながら、自分自身とも向き合う日々。そんな沖が大切にしている "自分の軸" とは。

この記事の目次

    弱さを抱えながらも、進み続けるために大切にしていることがある

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    新卒10年目でベンチャー企業に出向して、事業創造の現場を経験し学びました。

    戻ってきた今、会社を変えていくためのさまざまな活動を行っています。

    よく活動的だと言われますが、その根幹には、人に貢献したいというより、人に貢献していない自分を認めてあげられない弱さがあるんです。

    そんな未熟な部分を抱え、たくさんの活動を通して壁にぶつかりながらも、大切にしたい軸があります。それが僕を次のステップにつなげてくれるんです。

    始まりは、「僕が力になりたい」という想いから

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    2015年ごろ自動車業界を騒がせていた、大手メーカーの不正やソフトウェア企業の市場参入などのニュースに僕は焦り、震えました。

    ── うちの会社も既存の事業にとらわれず新しい事業を作っていかないとやばい。僕が動いて力になりたい。

    そう思い、新規事業のアイデアを提案し、形にしようと動きました。賛同してくれる仲間や周囲のサポートを得て、アイデアの事業化を本気で目指していきました。

    しかし自分の経営的な視座の低さや、事業創造の経験が足りなかったために、悔しくも形にできず終わってしまったんです。

    その悔しさをばねに、自分に足りないことを学びたいと考え、自ら志願しベンチャー企業に1年間出向しました。プロの経営者のそばで経験を積む、いわば事業創造の修業をし、リーダーの考え方やノウハウを学びながら3つの事業を立ち上げました。

    その中で、事業を生み出すにはアイデアだけでなく、それを推し進める組織が大切だと強く感じていました。

    自分がそのまま事業創造に取り組むよりも、事業創造できる "組織づくり" をしていきたい。そう思い、デンソーに戻った後は新規事業を後押しするための風土改革に着手しました。

    社内にもさまざまな分野の知識やスキル、アイデア、想いを持った人がたくさんいます。ベンチャー出向で培ったノウハウを社員に伝え、組織間の壁をなくしみんなが新しいことに挑戦できる風土に変えたかったんです。

    それに、これまでの会社生活でも印象に残っていることがあって。以前所属していた部署が、上下の壁も組織の壁もなく、社内の運動会でさえも全員が一丸となって本気で取り組むアツい部署だったこと。

    価値創造コンテストからベンチャー出向まで同じ想いでずっと一緒に走りぬけてくれた同期がいたこと。

    そんな経験をくれた人や組織に、学んだことを還元したかった。

    会社を去り自ら起業し新しい道に行くという選択肢もありますが、まずは、今まで培ってきた人とのつながりを大切に、ベンチャーでの経験を活かして仲間に貢献したかったんです。

    そうして僕は、事業創造人材を育成するプロジェクト "DIVE"(DENSO Innovative VENTURES) や、組織の垣根を越えたつながりを生むための有志団体 "D-CRAFT" を立ち上げ、強い意志のある社員をつなぎ、新規事業に挑戦できる風土を築いていきました。

    まだまだ乗り越えていきたい、たくさんの壁がある

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    ところが、活動を大きく推進していこうという時に会社と意見が割れてしまいました。 所属部署のミッションとして、組織づくりではなく、事業そのものに集中するように、と。

    どうしたら納得してもらえるのか、悩む中で気づいたことがありました。周囲の納得を得て会社を動かすには、想いや経験だけではなく、更なる実績と社内を通すためのロジックが必要だと。

    "事業創造のための組織づくり" を近い将来大きな舞台で行うべく、今は実績を積みながら、会社目線でのロジックを組み立てる経験を得るために、それらの叶うまちづくり企画室に異動し再び修行をしています。

    ただ、仕事を進める上ではロジックや実績といった合理的な部分も大切なのですが、一人ひとりの人間性をサポートすることも、組織の中では大事だと考えています。

    実力があり、強い想いを持っているのに、自分らしく働けずパフォーマンスを十分に発揮できていない人を何人も知っています。

    そんな人たちそれぞれの人間性を尊重し、"デンソーのイチ社員・役職者" ではなく "個人" としてその人の個性を理解し認め合うことで、もっと自分の魅力を活かしてイキイキと働けるような組織に変えていきたい。

    「この人と一緒に仕事がしたい」「この人に頼まれたら全力で力になりたい」と感じる、個人の魅力。だれもがそんな魅力を発揮し、自分の看板で仕事できる組織にしていきたい。

    そんな理想の組織に近づくために、日々経験を積んでいます。

    僕自身も自分の看板で仕事ができる人になれるよう、レスポンスのスピードを心がけたり、頼み事は絶対に断らないようにしたり、自分の軸を持ったり、日々自分を見つめなおしています。

    あと、人との関係づくりをするときは、自分の弱みを認め、素をさらけ出すようにしています。

    昔お世話になった人が、会って間もないころに自分自身のプライベートの弱みをさらっと言っていて、ためらいなく鎧を脱げる心のゆとりが素敵だな、こういう人についていきたいな、と思ったんです。

    誰かの力になりたいと、進み続けるうちに見えてきたもの

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    今もそうですが、僕は人と関わることが好きだし、人に頼られるのも嬉しい。

    その反面、人に貢献していないと自分に価値がないんだとも思ってしまうんです。
    そんな風に自分を認めてあげられない部分は、まだ自分の鎧を脱げていないところなのかもしれません。

    そんな未熟なところのある僕ですが、失敗や壁を乗り越えるための修行の場や挑戦のチャンスがいいタイミングで巡ってくるし、そこには僕を頼り支えてくれる仲間がいてくれるんです。

    失敗しながらも諦めず・断らず、なんとか自分なりに貢献しようと打席に立ち続けたことで、想いに共感してくれる仲間ができて、次につながっているのだと思います。

    人との縁を大事にしながら、打席に立ち挑戦し続けること、

    それが僕の大切にしたいことです。

    【あとがき】

    組織をもっとよくするために自ら学び、仲間に貢献したい。

    そんな本気の想いをかなえるべく、ベンチャー出向、社内異動などのキャリア形成の機会を、自らつかみに行った沖。会社もまた変革の必要性を感じており、そんな沖の思いを受け止めベンチャーへ送り出しました。

    環境のせいにせず、自らの力で変えようと試行錯誤する彼の力強さや、仲間を思う気持ちが、合理的でどこか冷たさを感じる会社生活に、温かな火を灯してくれるかのようです。

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