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OEM営業グループで、トラックの電動化製品の営業を担当する出納 瑞希。乗用車向け営業、アメリカの現地法人向け営業と、営業一筋のキャリアを築いてきました。国内とグローバル、両方の環境を経験した出納は、今女性営業職のロールモデルの必要性を訴えます。その背景にある想いとは?
この記事の目次
お客様と一緒に描くトラックの未来
「出納さんと一緒にトラックの電動化を進めたい、日本の物流業界を支えていきましょう」
共に進む仲間としてもらったお客様の言葉。今でもやりがいにつながっています。
私は2020年からOEM営業グループ商用農建機部で、トラックの電動化を実現する製品の拡販業務に携わっています。
トラック業界のホットトピックである電動化。トラックの電動化は、乗用車に比べると少し遅れている状況です。今までは既存の製品をアップデートするような仕事が多かったのですが、電動化となると一から新規開発をしていくことになります。そのため、 お客様であるトラックメーカーと共に新たな正解をつくるべく、日々コミュニケーションを取っています。
実は、トラックの台数は車両全体の2割程度と少ないにも関わらず、CO₂の排出量は全体の半分を占めています。電動化を進めることによって、トラックが排出する温室効果ガスの量を削減することができれば、環境保全につながり、地球や社会に大きく貢献することができます。
「環境を守りたい」「社会をより良くする電動車を普及したい」という想いは、トラックメーカーや運送会社などのトラックの利用者も同じ。トラックに関わるみんなが一丸となって電動化の実現に向かって取り組んでいます。
もちろん大変なこともたくさんありますが、お客様と同じ目線で伴走できるのは、とてもおもしろく、やりがいのある仕事です。
ワクワクする気持ちが、わたしの挑戦の原動力
これまでの自分のキャリアを振り返ると、「ワクワクする」という感覚を大事にして生きてきたように思います。その直感さえあれば、新しいことへの挑戦も苦ではありませんでした。
振り返れば、高校時代にバスケ部に入部したこともひとつの挑戦だったと思います。中学時代はバレーボール部でバスケは未経験。しかも部内で唯一の初心者、知り合いもいないのに、ただ「ワクワクするから」という興味だけで飛び込みました(笑)。厳しい監督に私は人一倍怒られながらも、「試合で見返したい!」という負けん気の方が強かったです。
できない自分に打ち勝ちたい。そんな想いをモチベーションにして、経験者との差を縮めるために、がむしゃらに練習しました。後輩に頼んでバスケができるコミュニティを紹介してもらうなど、そのときどきで今できることを考え、使えるツテは使い、プライドみたいなものはなくて、必死に食らいついていました。
副キャプテンを任されるまでに成長できたのは、自分が選んだ道を信じ、周囲にも頼り助けてもらいながら、挑戦し続けてきた成果だったと思います。
そして、デンソーに入社したときも、ワクワクする気持ちを持っていました。
デンソーを選んだ背景にあったのは、世界市場における日本の競争力を高めたいという想いです。大学時代に海外旅行やホームステイをする中で、日本っていい国だなっていつも感じていたのですが、それと同時に「日本は高い技術力を持ち、人間としてもすごく真面目なのに、うまく自分たちの良さを世界にアピールできていないのがもったいない」というもどかしさを何となく感じていました。そんな課題感から、日本の競争力を高める仕事がしたいと考えるようになりました。
そんな折、就職活動を進める中でデンソーの先輩と話す機会があり、自分の課題感や夢を共有したところ、どの企業の方よりも私の話に興味を持ち、共感してくれたんです。それがデンソーに入社する決め手となりました。
「私のやりたいことが、この会社でなら、この人たちとなら実現できるかもしれない」
そんな風にワクワクしたことを、今でも覚えています。
海外に行ったからこそ気づけた、グローバル企業ならではの課題
入社後最初に配属されたのは、乗用車向けの営業を担当する部署でした。
デンソーの売上の約半分を担うお客様であるがゆえに、責任も重く、仕事は忙しかったですが、ビジネス提案や取引交渉をする経験、お客様との関係構築、社内ステークホルダーの取りまとめなど、営業としての基礎を学ぶことができました。
その後、アメリカの拠点にトレーニーとして出向することになります。当時、夫が転勤でアメリカに行くことが先に決まり、私は一度退職しようと考えていたのですが、ちょうど同時期にアメリカで働けるチャンスを会社が与えてくれたんです。海外で働けるなら、会社を辞める選択肢はない。“ワクワク“する方へ。その場でアメリカ出向を決断しました。
トレーニー先では、現地のお客様向けのルート営業や、新規のお客様を開拓する仕事を担いました。直面したのは、グローバルな会社と言いながらも、本社と現地との理想的な協力体制が築けていない現実でした。現地がお客様の要望をヒアリングし本社がそれに合った製品を提案するのが主な仕事の流れなのですが、現地側はお客様の要望を言われたままに本社に投げようとするし、本社側は現地の事情を考慮せずに自分たちで物事を決めようとしている、という互いに一方通行な状況でした。
このままでは本社と現地の溝が深まるばかりだと危機感を覚え、もっとお互いに寄り添った仕事の進め方に変えられるよう、社内コミュニケーションの改善に取り組みました。
現地に対しては、お客様の要望をゼロの状態から聞きだそうとするのではなく、自社製品のラインナップをカタログなどで提示した上でお客様から意見をもらう、さらにお客様の要望の背景や考えを確認する、といった進め方を提案。また本社に対しては、現地で聞いてきたお客様の声を踏まえて、どういう提案ができるかを議論できる環境に変えていくよう心がけました。
こうした取り組みが、現地法人と日本の本社が関係性を強化するきっかけになり、結果的に現地のお客様とのコミュニケーション改善・関係向上へと導くような施策につながっていきました。
営業のロールモデルとなり、働く女性の背中を後押ししたい
たった1年のアメリカ駐在でしたが、一連の経験を通じて、仕事に対する自分のマインドが大きく変わりました。
日本で働いているときは、お客様の取引規模も大きいため、新入社員が担当しても社内のメンバーが積極的に協力してくれました。しかし、アメリカで経験したような取引規模の小さなお客様を担当する場合は、社内の協力も得るのも難しいし、かつ現地でのデンソーの知名度も低いため、お客様からも簡単に情報を引き出すことができません。
どうすれば社内の協力が得られるか、どうすればお客様から情報を得られるのか、アメリカで働く中で周囲の巻き込み方をすごく意識するようになりました。この感覚は、乗用車と比べると台数が少ないトラックを扱う今の仕事においても活かされていると思います。
そしてもうひとつアメリカで得た気づきがあります。それはデンソーには女性が活躍できる場がまだまだたくさんあるということです。トレーニーとしてアメリカへ行く前は、5年後・10年後、子どもを産んだ後も営業として働き続けるイメージが持てず、将来に不安を抱えていました。
しかしアメリカでは、年齢や役職を問わず多くの女性たちが当たり前のように働いていて、DNの現地営業はもちろん、お客様も女性の担当者が多くいました。
私もキャリアをあきらめず働き続けられるのではないか、という希望を抱いたのは、イキイキと働くその女性たちの姿を目の当たりにしたときでした。
もちろん、その当たり前はさまざまな試行錯誤や活動・努力の上に成り立っていることを、話を聞いて知るのですが……。
女性のみではなく、誰もが働きやすい職場に。今後、日本でもこうなっていくべきだ、と感じたのを覚えています。
こうした経験を経て、今は女性の営業職として、ひとつのロールモデルになりたいと考えています。私がアメリカで働く女性たちの姿を見て未来を描けるようになったように、今度は私の姿を見て、デンソーで働く女性社員が未来を描けるようになってもらえたら嬉しいです。
それが、次なる私の挑戦です。
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