工場の脱炭素化を後押しする、デンソーのカーボンニュートラルソリューション

水素・CO₂利用・生産設備等のソリューションが集ったグリーンファクトリーEXPO出展レポート

世界中でカーボンニュートラルに向けた取り組みが加速しています。
様々な工場におけるカーボンリサイクルも重要なテーマとなっており、多くのソリューションが登場しています。
今回は、工場の脱炭素化に有効なソリューションを集めた展示会「第1回 グリーンファクトリーEXPO 東京展」デンソーブースの様子をレポートします。

この記事の目次

    工場の脱炭素化に貢献するために

    工場のカーボンニュートラル化を進めるためには、使用するエネルギー量全体の削減を進める、再生可能エネルギーを利活用して電化を進める、残りの電化困難なガス需要にはカーボンニュートラルな燃料に置き換える、などのアプローチが必要です。

    「グリーンファクトリーEXPO」は、工場エネルギー管理システム、CO2やエネルギーの見える化、再生可能エネルギー、省エネ機器など、工場のカーボンニュートラルを実現する技術が一堂に会する展示会。

    デンソーの展示ブースに並んだのは、CO2回収システム、CO2循環システム、SOFC、SOEC、DX-CELLなどのものづくりに関わる製品。異なる部署で開発した製品が、工場のカーボンニュートラル化という同じビジョンのもと揃いました。

    デンソーの展示ブースの責任者である、環境ニュートラルシステム開発部の 吉田 達哉は、出展の目的をこう語ります。

    「今回の展示では、工場に関する製品開発を手掛けてきた生産技術部と協力して、工場のカーボンニュートラル化に貢献する製品を集めました。
    複数の製品を展示していますが、すべてを1度に工場へ導入頂く必要はありません。製品単体での導入、複数の組み合わせでの導入、あるいは順次導入など、お客様のニーズに応じて、どのように導入すれば効果的かを会話させて頂く機会にできればと考えています。
    私たちからご提案した上で、どのような反応をお客様からいただけるかも含めて、よりお客様に活用いただきやすい製品へと磨き上げる機会にすることが出展の目的です」(吉田)

    こちらはデンソーの展示ブースの最初に設置されている、工場内における製品のレイアウトの一例を再現した模型です。各製品が工場内でどのようにカーボンニュートラルに寄与できるかを示しています。青の線が水素、緑の線がCO2利用、黄の線が電力の流れを示しています。
    また、設備の配置に必要なスペースについても、右下の駐車場の大きさと各設備の大きさを比較することでイメージしやすくなっています。

    工場をカーボンニュートラルに変えるデンソーの製品たち

    それでは、グリーンファクトリーEXPOに出展したそれぞれの製品の様子を見ていきましょう。まず、CO2利用の流れから見ていきます。

    工場のカーボンリサイクルを促進する、CO2回収・循環システム

    CO2を回収する

    デンソーでは、工場で排出されたCO2を回収する「CO2回収システム」を開発しています。同部所属の谷 賢治は、デンソーのCO2回収システムの特徴についてこう語ります。

    「デンソーのCO2回収システムの特徴は、設置のしやすさです。工場に導入にするためには、設置のハードルが低いことは欠かせません。
    電源に接続すればCO2回収ができますし、様々な場所に設置できるようにエレベーターに入るサイズになっています。建物の屋上に設置してCO2回収を行うこともできます。
    段階的に導入を進め、社会にCO2回収を広げていきたいと考えています」(谷)

    回収したCO2は、様々な用途での利活用を想定しています。
    溶接工程に用いることもできますし、水素と組み合わせることでメタンのような燃料や、樹脂のような素材として活用することもできます。

    CO2を再利用する

    CO2の回収にとどまらず、CO2の循環を生み出すシステムの構想についてもお伝えしました。

    同部所属の坂口 信也は、回収したCO2の活かし方について、目指す社会のあり方も踏まえ、このようにコメントしています。

    「回収したCO2をメタンに変えれば、都市ガスのような既存のインフラを活かした輸送が可能になります。脱炭素の燃料の導入のためにかかる投資コストが下がることは、カーボンニュートラル普及のために重要なこと。

    とはいえ、CO2循環のために1社ですべての領域を対応することは困難です。例えば、CO2回収は自分たちの工場で実施して、水素製造やメタネーション(CO2と水素からメタンを合成すること) は社外のパートナーが実施する、といった連携が必要になるケースも多いと推測します。

    この展示では、製品のご紹介だけでなく、CO2循環システムのビジョンを共有することで、様々な企業様と共にカーボンニュートラルを進めたいということをお伝えする目的もあります」(坂口)

    CO2の循環におけるデンソーの思いや構想は、こちらの記事でも触れています。デンソーがどのようにCO2循環に取り組んでいるのかはこちらをご覧ください。

    CO2回収システムを用いて回収したCO2は、水素と組み合わせることもできます。続いて、工場における水素利活用の流れを見ていきましょう。

    水素の利活用を推し進める、水電解システムと燃料電池

    工場で水素をつくる

    水と電気から水素を生成する水電解装置「SOEC」の開発を担当している同中島 敦士は、今回出展した狙いについてこう語ります。

    「デンソーのSOECは、高効率を強みとした水電解装置です。
    実際に工場にSOECを設置したイメージを想像しやすくするために模型を使ったレイアウトも合わせて展示しました。お客様が工場への導入を具体的に検討する際に、どのような点を懸念されているかを知りたいと考えています」(中島)

    デンソーのSOECの特徴については、こちらの記事で詳しく紹介していますのでご覧ください。

    工場で水素をつかう

    SOECを利用して生成した水素をつかい、電力を生み出すことも可能です。その際、用いるのが燃料電池「SOFC」。SOFCの開発を担当する大杉 乙允は、出展の目的をこう語ります。

    「工場におけるカーボンニュートラル化の波は早く、サプライチェーン全体で脱炭素化が進んでいます。発電効率の高いSOFCを、工場の脱炭素化実現の選択肢に入れていただければと考えています。
    SOFCの実物を出展するのは今回が初めて。SOFCをよりよい製品にするためにも、お客様の要望を直接聞き、ニーズへの理解を高められたらと思います」(大杉)

    SOFCの概要や強みについては、こちらの記事でも詳細に紹介しているので、ぜひご覧ください。

    脱炭素化と生産性の向上を両立させる、ものづくり製品

    再生可能エネルギーや、水素などの代替燃料から作り出した電気を、無駄なく使えなければ、グリーンな工場とはいえません。デンソーの工場におけるものづくり製品たちも、それぞれのアプローチで工場のグリーン化に貢献します。

    ものづくりの展示エリアでは、自動化プラットフォーム「DX-CELL」と、人協働ロボット「COBOTTA PRO」、設備データ収集用ソフトウェア「IoT Data Share」の3つのソリューションを紹介しました。

    こちらの写真の架台になっている部分が自動化プラットフォーム「DX-CELL」です。製品の概要をFA事業推進部の安藤 浩汰はこう語ります。

    「DX-CELLは、日々変化が求められているものづくりの現場に柔軟に対応できる自動化プラットフォームです。
    ロボットコントローラ、電源機器、専用PCなどの組込みが可能となっているため、素早い生産ラインの構築を可能にします。

    本製品の最大の特徴は様々なモノづくり現場に対応できるように拡張性と移動性を有している点です。今回のグリーンファクトリーEXPOでは一例として、モバイルバッテリーを搭載しているため配線の必要がなく、フレキシブルに工場内に配置することができます。
    台車のように人の手で簡単に移動させることができるため、生産量の増減や品番追加による製造工程の変更に柔軟に対応したりすることが可能です。
    そのため、生産ラインが頻繁に変わる少量多品種の生産現場に向いています。
    もちろん環境性能にもこだわっています。本製品は汎用設備として使い回せるため、資源ロスを減らすことができます。」(安東)

    DX-CELLに乗っているロボットは、設備の代表格として展示された人協働ロボット「COBOTTA PRO」。
    人協働ロボットとは、産業用ロボットとは異なり、安全のために柵で隔離する必要がなく、人と同じスペースで一緒に作業できるよう設計されているロボットのことを指します。

    従来の「COBOTTA」よりもさらに工場での活用に最適化された「COBOTTA PRO」について、デンソーウェーブ営業企画部 福田 尚幸はこう紹介します。

    操作の面での導入ハードルを下げるため、直感的にプログラミングできるUIを用意しています。動作に必要なコマンドを、ブロックを並べるかのように操作できます。
    ルールに合致するコマンドのブロックしか当てはまらないため、ミスなくプログラミングできることが特徴です。

    周辺の機器とも連動して活用できるため、カメラや画像認識AIなどと連携し、様々な仕事に対応できます。環境面だと、エネルギー変換ロスが少なく済む、直流(DC)への対応を予定しています」(福田)

    ものづくりブースの最後に紹介するのが、設備データ収集用ソフトウェア「IoT Data Share」です。

    本製品の開発を担当するデンソーウェーブカスタマーサービス部の田野 敦は、こう語ります。

    「IoT Data Shareは、プログラミングを必要とせず、一覧の機器の中からプルダウンで製品を選ぶといった簡単な設定だけで工場のさまざまな機器と接続し、機器のデータ収集・加工・保存・通知・公開を行います。

    収集するデータには電力も含まれます。電力と同時に、設備の状態の情報も取得できるため、『待機状態なのに電力消費が大きい』といったことがわかるなど、改善ポイントの発見につながります。

    工場に導入する機器は、専用のソフトウェアとセットになっていることが多いですが、弊社のソフトウェアを導入すれば既存の他社製品とも連携できるため、導入のハードルが低く、かつ省エネ化に貢献できます」(田野)

    お客様のニーズに合わせて工場のカーボンニュートラル化を支える

    グリーンファクトリーEXPOでは、様々なデンソーの製品を紹介しました。これらのソリューションを組み合わせ、お客様のニーズに寄り添って、工場のカーボンニュートラル化を支援していきます。

    いくつかの製品は、これから実証も必要なフェーズ。デンソーはお客様と共に実証に取り組んでいきたいと考えているため、今回ご紹介した製品の導入に関心のある方は、ぜひともお問い合わせください。

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