駐車場での安心安全を世界中に!見えない危険を回避する自動駐車向け画像認識技術

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    デンソーのソフトウェア領域における取り組みや技術活用の舞台裏を語る「DENSO Tech Night」。3回目となる今回のテーマは、「現実世界の”見えないリスク”を可視化せよ─画像認識による危険検知/VLMで拓く予兆検知」。現実世界の不確かさと向き合いながら、デンソーのエンジニアたちは、どのような技術を駆使して交通事故死亡者ゼロの世界を目指しているのか。4人のエンジニアがデンソーの危険検知技術開発の最前線を紹介しました。

    • セーフティシステム事業部 セーフティセンサ&コンポーネント技術1部 室長二反田 直己NAOKI NITANDA

    続いて登壇したのは、2020年よりセーフティセンサ&コンポーネント技術1部室長として、自動駐車向けの画像認識技術開発を統括している二反田直己です。

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      車載センシングカメラによる画像認識

      車載センシングカメラによる画像認識技術の開発

      まずは車載カメラの説明からです。車載カメラは大きく前方カメラと周辺カメラにわかれます。前方カメラは衝突回避や車線内走行など、自動運転につながる技術。一方、周辺カメラは、低速走行時に起きる接触回避や自動駐車など、自動バレーパーキングにつながる技術です。

      「これらの技術を組み合わせると、P2P(Parking to Parking / Point to Point)という技術につながります」
      (二反田)

      ドライバーの視野と死角の存在

      今回、二反田が取り上げたのは、周辺カメラ。クルマを運転するとわかりますが、ドライバーは車両周囲がすべて見えているわけではありません。窓から顔を出さない限り、足元は見えないし、リアカメラ※が付いていても「リアカメラは魚眼レンズで歪んだ画像なので、距離感が掴みづらいです」と二反田はいいます。

      ※リアカメラとは クルマの後方を映し出し、運転席のモニターに映像を映すことで、後退時の安全確保や死角の軽減を支援する装置

      このように「自車近傍には多くの死角が存在する」と二反田は説明します。とくに小さな子どもやラバーポールなど、高さの低いものは極めて認識しにくいです。「駐車場にはそういう視認しにくいものが数多く存在します」
      (二反田)

      自動駐車では「駐車枠検知」「静止物検知」「移動物検知」の3つの検知技術が使われます。

      駐車枠検知は、左右前後4カ所に搭載された魚眼カメラの画像から、クルマの真上から見下ろしたような鳥瞰画像を作成し、その画像に対してAIで駐車枠を検知するという技術です。AIが検知した場所に自動駐車していくということになります。

      静止物検知とは、駐車場にあるさまざまな物にぶつからないように検知する技術です。難しいのは、「形状や種別など関係なく検知する必要があること」と二反田はいいます。デンソーではセマンティックセグメンテーションという技術に加え、SfM(Structure from Motion:単眼移動ステレオ)と呼ばれるカメラだけで周囲の3次元の形状を再構成していく技術を使って、周囲の生物を検知しています。

      駐車場には人やクルマなど、移動しているものもあります。それらを検知するのが、移動物検知と呼ばれる技術です。「AIを使って、ショッピングカートを押している人を検知して、危ないときには車両を止めることを行っています」
      (二反田)

      自動駐車のための画像認識

      自動駐車のための画像認識技術について

      このような技術を用いて自動駐車を実現しているのですが、当然、安全性の担保は欠かせません。その一つが検知精度です。車両制御も含めて10cm前後の位置精度、1度程度の角度精度が必要になってくるといいます。

      「これが開発終盤で担保できないとなると、テストコースにカンヅメになってアルゴリズム開発をして即実装、即実車で評価するということを100本ノック的にやっていくこともあります」
      (二反田)

      2つ目は信頼性。「複数のAIモデルの組み合わせやAIと画像幾何モデルの組み合わせによって、認識結果の冗長性を確保し信頼性を担保しています」
      (二反田)

      3つ目はロバスト性。魚眼カメラは車外に付いているので、当然雨滴や雪、泥などの汚れがついてしまいます。これらを検知して今の認識結果が信頼できるものかどうかをケアしながら、システムとして完成していくことが求められます。「要求精度が高いので、度重なる実車評価が必要な開発になっています」と二反田は話します。

      安全性の向上だけではありません。商品性の向上も不可欠です。駐車場はさまざまな線で駐車位置が描かれています。海外では、線ではなく色で駐車位置が分けられているところもあるといいます。また壁、ポール、段差、フラップ板、パーキングロッカーなどの静止物、さらに人に加え二輪車やキックボード、ベビーカー、おもちゃ自動車といったさまざまな移動物など、情報にばらつきがあっても、同じ性能、同じ機能が求められます。

      現在デンソーではエキストラに協力を得て自動駐車を実現するためのさまざまなデータを採るほか、CGや画像合成も駆使しています。

      「大変なことはありますが、私たちは駐車場での悲しい事故をなくすために、駐車が苦手な人でも安心して出かけられるように、そしてすべてのドライバーの運転体験をすばらしいものにするために、画像認識技術開発を邁進していきます」
      (二反田)

      ※所属組織および取材内容は2025年8月時点の情報です。


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