第3章 強化の時代

6. 事業領域の拡大

1986-

(1)周辺事業への進出

1990年
バブル崩壊以降、低成長時代が続いた。当社は成長確保のため、非自動車分野での新事業拡大を本格化した。ここでも自動車部品と同様に、当社は製品開発での先進性と独創性にこだわった。

当社は創立以来、自動車部品を基幹事業として発展してきた。磨き上げてきた自動車部品の技術やノウハウは、他にも活かす余地が十分にあった。これを足掛かりに、当社は早い時期から非自動車分野へも意欲的に進出を図ってきた。

販売面については、自動車部品の補修品供給や修理のための営業所とサービスステーションを全国に展開していた。これにより、アフターサービスまでも確実に行うことができた。これが短期間に非自動車分野での新事業を立ち上げ育てる下地となった。

1969年、当社は住宅用の冷暖房機器の研究開発に着手した。これはトヨタ自動車の住宅事業進出に伴うものであった。1973年に事業所用クーラー「インスパック」、1976年に遠赤外線ヒーター「エンセキ」を発売した。

1990年代半ばの低成長時代、構造変化対応要綱において、事業成長の確保のため、非自動車分野での事業拡大を方針として強く打ち出した。

これを契機として、非自動車部品の新製品開発がさらに本格化した。この分野においても、当社は他社の模倣ではなく、独創的な製品づくりと自主自立路線の事業推進にこだわった。

当社の新事業は、自動車部品分野で培われ磨き上げられた基盤技術を、周辺分野に応用展開するのが基本であった。その際の重要な基盤技術は、新素材、半導体、生産技術、信頼性技術、エレクトロニクス技術の五つであった。

1990年代の新事業開発は、これらの基盤技術を活用し、情報システム、通信機器、電子応用機器、FA、環境機器といった、成長が期待できる周辺分野へと進出していった。