“自己内省の旅”から踏み出す一歩。

自身、そして組織の枠を超えたデータ利活用が生んだ全社とのつながり

阿竹 義徳は、過去の経歴で培ったITの知見を生かし、デンソー社員のデータ活用推進を担っています。以前は“受け身の姿勢”だったと振り返る阿竹が、自らの枠を壊し、他部署へ積極的に働きかけるようになったきっかけは、ある研修での出来事でした。阿竹が辿った軌跡と、仲間と描く未来に迫ります。

この記事の目次

    スキルを生かせる場所を求めて

    ──はじめに部門のミッションをお聞かせください。

    阿竹:デジタル活用推進部は、デンソー社員の業務における課題の相談を受け、デジタル・データ活用による解決までをサポートする部門です。
    中でも私が室長を務めるデータ活用推進室は、社員皆さんのデータによる意思決定を支え業務を効率化・高速化することをミッションとしています。

    ──阿竹さんはこれまでデータ利活用の分野でキャリアを歩まれてきたのでしょうか?

    阿竹:実は違うんです。以前は外資のIT企業や電機メーカーで、主にネットワークサービスに関する事業開発を手がけてきました。
    デンソーに関心を持ったのは、自動車業界全体が100年に一度の変革期と言われて盛り上がっている時期に、次の挑戦の場として自動車業界で過去の経験を生かして事業開発に携わってみたい、と思ったのがきっかけです。

    ──実際にデンソーに入社をされてみて、いかがでしたか?

    阿竹:入社後の配属は車載通信機器などを開発する部署で、ネットワークを活用したシステム開発プロジェクトに携わっていましたが、訳あってそのプロジェクトは中止となりました。
    その後、通信機ハードウェア開発のプロジェクト・マネジメントを担当することになったのですが、これまで経験がない領域でして目の前の仕事をこなすので精一杯の日々でした。
    この時期に一緒に働いた方々と良い繋がりが出来た一方で、「自分のスキル・経験が充分に活かしきれないのでは」と少しくすぶった想いも抱えていましたね。

    そうした中、2020年に社内の通信技術検討でご一緒させて頂いた方に声を掛けていただいたことで今の部門に異動し、現在は培ったスキル・経験を日々の業務に活かせているように感じます。

    いまの仕事の中でできることを真剣に考え抜く

    ──部署異動が仕事への向き合い方を変えるきっかけになったのでしょうか?

    阿竹:確かにターニングポイントではありました。しかし、明確に変わるきっかけをくれたのは、社内のマネジメント研修だったと思います。

    その研修は、言い換えれば自己内省の旅でした。
    自分がやりたいことは何なのかを考える過程で、どうしても現状の不満や自分の不遇が思い浮かぶんです。その時講師の方に「そういう気持ちもわかるけれど、今の仕事でもまだできることがあるんじゃないか?」と言われたんです。ハッと目が覚めました。今のポジションに対して、まだ全てをやり切ったわけではないのかなって。

    いま一歩踏み出せてなかった部分があったと気づいてからは、周囲の人に業務で困っていることはないかと自ら聞きに行くようになったんです。それまでは他部署から相談を持ちかけられて動くといった、仕事に取り組む姿勢を見直すようになりました。

    ──講師の言葉が、ご自身の枠に気づくきっかけになったのですね。実際に具体的なアクションにつながるお話もあったのでしょうか?

    阿竹:自分から足を運んだ中で出会った経営戦略部の仲間との話し合いが、実際に動き出すきっかけになりました。

    経営戦略部の取り組みは以前から知っていたのですが、詳しく話を聞いてみてその苦労されている内容に愕然としました。
    具体的に言うと、当時その部署では非常に手間のかかる方法でデータを取りまとめて分析していたんです。

    彼らは経営の中枢を担う部署であり、私からするとすごく優秀な方々です。本来もっとクリエイティブな仕事に取り組むべき方々が、こうした作業に忙殺されているのかと知るととてもショックで、思わず涙がこぼれました。

    このままではいけないと思い、経営戦略部のデータ活用の効率化に取り組むことを決意。その翌年、取り組みを開始することになりました。

    組織の枠をこえて、僕たちに何ができるかをメンバーに説明したところ、強く共感してくれて、「みんなで力をあわせよう」と一致団結。それから約3カ月のうちに経営戦略部が手掛けるプロジェクト全体で、年間数百時間レベルで効率化する仕組みを構築することができました。

    要求の枠をこえた活動が生んだ全社への影響

    ──約3カ月で仕組みが構築できたのですね。非常に強く団結して進められたということでしょうか?

    阿竹:そうですね。もともとの相談は「経営戦略部の業務を効率化する」ことのみが目的でしたが、各メンバーが一段高い視点でプロジェクトに参加し、依頼内容の他にも何か取り組めることがないか、積極的に経営戦略部の皆さんと議論・検討を重ねました。

    業務全体を把握してわかったのは、経営戦略部の取り組みが、調達や営業など会社のさまざまな部門とつながっていたこと。全体最適で「仕事のやり方」を見直すことで、もっと大勢の方の業務負担を減らせることができるという可能性でした。

    経営戦略部の業務が効率化され、さらに今は他部署にも発展して、相談を受ける機会も増えました。他部署との関わりが深まったことで、「ありがとう」と言われることが増えたのが何よりも嬉しいですね。

    ──要求の枠を超えて取り組んだ結果、影響は広まりつつあるのですね。チームが向かう方向性も見えてきたのではないでしょうか?

    阿竹:「こういう形で会社に貢献することってできるんだ」と知ることができました。データを利活用することの本来の目的は、現場の業務改善だけでなく、経営を変えていくことだと思うのです。経営層をはじめとした、あらゆる職場でデータドリブンな意思決定ができるように体制を整えていくことが、私たちのミッションなのだと意識しています。

    今後もさまざまな部署との関わりを通じて「全社の業務を支える」ことに注力していきたいですね。

    組織や立場を超えた支え合いが壁を破る

    ──阿竹さんがチームの中で大事にしていることはありますか?

    阿竹:今年の頭に、新年の抱負の一つとして「聖域を造らず、良いおせっかいをしよう」とメンバーに伝えました。具体的に社員が日常どのような業務を行っているか、我々は表層的にしか認識していない部分も多いんです。

    だからこそ、「困っていることは何ですか」と自ら社員に寄り添って、一緒に考えて伴走しながら問題を解いていくべきだと考えています。

    自分で壁を作っていては、本当に困っている人たちを助けることはできません。野球で言えば、2塁と3塁の間の三遊間に飛んできたボールを、どっちが取りに行くのかと考える前に、ポジションに関係なくそこを拾いにいく姿勢が大事だと思っています。

    ──ご自身の意識が改まる中で、組織を率いる真のリーダーとしてのあり方についてもお聞かせください。

    阿竹:今、当室には約50人のメンバーがいますが、みんな前向きで挑戦的です。自分はそういったメンバーたちに助けてもらっているのだという感謝しかありません。自ら行動して仕事を率いるだけでなく、1人でできることの限界を知って、仲間に頼れることもリーダーの素養だと思っています。

    でも心理的安全性がなければ、互いに頼り合うことはむずかしいでしょう。まずは感謝を伝えること。そのために今は一人ひとりと対話する機会を作っています。

    それから、話しかけやすくなる雰囲気作りも心がけています。やっぱり難しい顔で無口な人よりも、いつもニコニコ笑って明るくて物腰の柔らかい感じの人の方が話しかけやすいと思っていて。落ち込む日もありますが、それでもチームのために雰囲気を壊さないように意識しています。

    これからも明るく笑って、メンバーが困ったときに相談しやすいような身近な存在でいたいですね。

    ※記載内容は2023年6月時点のものです。

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