あなたが実現したいこと、学びたいこと、可能性を広げたいことに、この記事は役に立ちましたか?
ぜひ感じたことを編集部とシェアしてください。
仕事がバリバリできる憧れのあの人も、仕事中にはちょっと近寄りがたいあの人も、一歩オフサイトに出て、様々な壁を取りのぞいて話をしはじめると、すごく悩んでいたり、ピュアな願いが見えてきたりするもの。
社員インタビュー「実現力リレートーク」では、リラックスダイアログを通じて、多彩なプロフェッショナルたちの仕事の根幹にある原動力やwill(夢・志)に迫ります。
今回ご登場いただくのは、電動車(EV)の普及を支援するプロジェクトに関わる高津 昌宏さん。EV化社会に対応するために、EV導入における課題の解決や、新規事業・サービスの企画を担当しています。
「今はまだガソリン車が主流ですが、EVの普及はカーボンニュートラルな世界を目指す上で大きな鍵となるでしょう。私たちが見据えるのは、子ども、孫の世代の未来です。『この事業は、自分が最初に企画して立ち上げたんだよ』と、10年後、20年後に胸を張って言えるようなプロジェクトを実現させたいですね」
未来の社会を思い描きながら、日々小さな積み重ねを大切に。お客様企業に足を運び、EV導入に関する率直な意見・困りごとに耳を傾けながら、企画・提案力を武器に新規事業・サービスの実現化に向け奔走しています。
まだ世の中にない価値を掘り起こし、デンソーの専門性と強みを活かしたサービスに落とし込む。そんな新しい事業を切り拓く高津さんの原動力、そして大切にしている考えや想いについて語っていただきました。
この記事の目次
新規事業の一歩目は「お客様の声を聴く」ことから
───最初に、高津さんが取り組んでいるプロジェクトについて教えてください。
高津:私たちが掲げるミッションは二つあります。一つは、EVの普及の妨げになっている市場・お客様企業の困りごとを解決すること。二つ目は、EVを走らせるエネルギーをクリーンにすること。この二つを両方解決していこうと、プロジェクトに取り組んでいます。
とはいえ、主流はまだまだガソリン車の時代。EVの普及のためには、まだ世の中にないニーズを掘り起こし、新しい事業を生み出すことが必要です。ゼロから1をつくる。自分たちの手で市場を切り開き、価値を生み出し、ビジネスにつなげていく。それが私たちのミッションです。
───まさに、EV化社会という新しい時代の幕開けの第一線でご活躍されているのですね!新規事業を企画する上で、どのようなことに取り組んでいるのでしょうか。
高津:まずは、お客様企業の声を聴くことから始めています。現在、市場ではどのような動きがあるのか、どのような課題感をお持ちなのか。お客様企業を訪問し、EV導入に関する困りごとや疑問点をヒアリングして回っています。
ちなみにここで言うお客様企業とは、社用車をEVへ買い替える検討をしている、または今後検討の意思のある法人企業になります。幅広い企業が対象となるため、訪問先を絞ってヒアリングしています。環境に配慮した経営方針を掲げている企業や、クルマのCO₂排出量が多い業界などを優先的に伺いました。
───実際にお声を聴くと、どのような反応が多くありましたか?
高津:「社用車をEVに置き換えた時に、何が起きるのかがわからない」そのように思われているお客様が多い印象を受けました。やはり、実際にまだEVに乗車したことのない方が大半ですし、ガソリン車との違いや、電気料金の変化、充電タイミングの管理、車両管理部門と社内のエネルギー部門・設備部門との連携など、不明瞭な点やEV導入に向けたガソリン車にはない課題は多くあるというお声をいただきます。
世界的にもEVの普及はまだ始まったばかり。これから来る時代の先駆けとして、社用車にEV導入を検討されるお客様企業にしっかり寄り添っていく必要があると実感しています。
───お客様から率直な声を聴く中で、大切にしていることはありますか?
高津:私たちデンソーの尺度で物事を図るのではなく、お客様の目線に立って説明することを大切にしています。先述したように、まだEVの利用率や認知度は一般的に高いとは言えません。そのため、「これは知っているだろう」と自分たちの常識をお客様に押し付けてしまっては、説明不足に陥りかねませんし、EVに対する理解は十分に進みません。
お客様から「そこは知っているから飛ばしていいよ」と言われるくらい丁寧に資料を作り込み、全体像を説明しつつ、不明点にはわかりやすく回答する。企業ごとの個別の悩みや課題に寄り添いながら、EV導入に向けた解決策を一緒に考える。そうした姿勢を意識するようにしていますね。
───丁寧なコミュニケーションを通じて、着実にお客様との信頼関係を構築している様子が伝わります。
高津:そうですね。ありがたいことに、「デンソーさんの話を聞いて、EVを導入した際のイメージが具体的になってきた」「EV導入に向けた課題が明確になったので、CO₂排出量削減のためにも前向きに検討したい」といったフィードバックもいただいています。
お客様にとって、気づきや考え方の変化のきっかけになったのなら何より嬉しいですし、「EVの導入を相談するならデンソーさんだよね」と頼られる存在になっていけたらと思っています。
お客様の声を拾い、強みを活かしながら新しいサービスを生み出す
───お客様企業に足を運び、生の声を聴いている高津さんならではの強みや専門性についても、ぜひ伺いたいです。
高津:もともとキャリアとしては、設計を担当していた技術者出身なので、お客様のニーズを聴きながら、頭の中で実現手段を具現化し提案できるところは強みかなと思っています。「こういうのって、できますか?」「どうやって実現するんですか?」といった質問に対して、規模感やスピード感などを含めて、ある程度実現可能なソリューションをその場でご提案しています。
───なるほど。お客様にとってわからないことが多い段階だからこそ、大きなことから些細なことまで、安心して質問や相談ができそうですね。
高津:もちろん一人の力では難しいことも多くあります。そんなときは社内の技術部門にお客様の声を共有し、連携を図りながら、会社として解決策を提案できる体制をつくっていく必要があると考えています。
もっと言うと、これまでのデンソーは、製品をつくる”モノづくり“に重きを置いて、お客様からの信頼を得てきました。これまで強みとしてきた専門性を活かしつつ、今後はお客様から拾い上げた声をもとに、新しいサービスを生み出していく。そんなフェーズに入ってきたのかなと。さまざまな課題意識を持つ企業様に寄り添い、製品・サービスを組み合わせてソリューションを提供していく。そんなポジションを築き上げられたらと思っています。
───まさに、ゼロから1をつくる新規事業の領域ですね!
高津:そうですね。もともとアイディアを出したり、大きな枠組みをゼロから描いたりすることが得意だったので、EV事業の領域でも価値を発揮していけたらと。自分が企画したアイディアが形となり、製品・サービスとして世の中に新しい価値が生まれる。その瞬間は企画者として何よりの喜びであり、やりがいを感じる瞬間です。
七転び八起きで、何度でも挑戦する。新規事業に挑む心意気
───イノベーションが起きる瞬間、ワクワクします!一方で、まだ見ぬ領域を切り拓いていくのは苦労もあるのではないでしょうか。
高津:アイディアをどうビジネスに紐付けて実現させるのか?これが一番難しいですね。ある講演会で、こんなことを言っている人がいました。
「『お客様が10人いて、10人全員が欲しい』と思うようなアイディアは、すでに世の中にある。もしくは別の誰かが思いついている。でも『10人いて、9人の反応は悪くても、たった1人が熱烈に欲しい』と思うアイディアには、隠れたニーズが存在している」
新規事業の難しさと可能性を、わかりやすく伝える表現だなと思います。「あ!これ良さそうだな」と思うアイディアに対して、全員から好反応が得られることは嬉しいですが、逆に言うと、安易にそれで進めようとしてはいけない。一方、10人中9人がイマイチな反応をしたからといってすぐに諦めてしまっては、いつまで経ってもビジネスを生み出すことができない。
───なるほど。
高津:実際、EV関連の分野は、ベンチャー企業を含め、さまざまな業種の企業が参入し始めています。自分が思いついたアイディアが、他社に先を越され悔しい思いをすることも度々。
ただ、世界にイノベーションを起こすようなアイディアは、そう簡単には生み出せません。他社とアイディアが被っていたのなら、自分が考えていた方向性は間違っていなかったと捉えて、それを超える企画を出せばいい。社内でアイディアが通らなかったときは、隠れたニーズがまだまだ眠っていると捉えて再検討すればいい。七転び八起きで、何度でも挑戦する。どんな結果も、次の新しい企画を生み出す肥やしにして、前に進むようにしています。
そうした積み重ねの末、お客様やパートナー企業から「いいですね、やってみたいです」「もう少し話を進めてみませんか」と好反応を得られたときは、とても嬉しいです!やはり新規事業はどうなるかわからない部分が大きいので、肯定的なフィードバックをもらえると、進んでいる方向に自信が持てます。暗中模索の日々が続く中での原動力になっていますね。
ミッション実現のためには、同じ熱量を持った仲間が必要
───現在取り組んでいるミッションを実現させるために、今後より必要だと感じていることはありますか?
高津:チーム一丸となって、みんなが同じ熱量で本気でカーボンニュートラルな世界を目指す。この姿勢が何より大切だと考えています。これまで自分の足を使い、耳を傾け、お客様の様子を肌で実感してきました。ここからさらにプロジェクトを大きくしていくには、私と同じ想いや情熱を持って動いてくれる仲間を増やさないといけない。誰かに言われたからやるのではなく、自分から主体的に考え、動く仲間が必要です。
カーボンニュートラルと聞くと、実現可能かどうかわからない世界に聞こえるかもしれません。でもだからこそ、「来るか来ないか、わからないから」と半信半疑で手を動かすのではなく、「絶対に実現させるんだ!」という強い気持ちが大事です。
もっと言うと、「こんな未来をつくりたいよね!こんな世界になったらいいよね!」というワクワクを原動力にポジティブな未来を語りながら取り組めたら、もっと強いチームになっていけます。自分がやっていることを信じる。未来を明るく捉える。それらはどんな困難も乗り越える力になってくれると思うんです。
───情熱とチームワーク、そしてデンソーが培ってきた実績や専門性。これらの歯車がうまく回っていくと、世界に向けてより大きな価値を提供できそうですね。
高津:そうですね。デンソーがクルマの専門家であることは、EVの新規事業においても唯一無二の強みになると思います。クルマの中と外、両方をつなげて考えられる専門性。選択肢を広げ、突破口を見出す各部署の技術やプロフェッショナルな人材。グループ会社を含めた、多種多様な製品やサービスの実績。こうしたデンソーの環境を存分に活かして、企画を実現していきたいです。
子どもたち・孫の世代を想う気持ちが、世界を変える原動力
───ありがとうございます。最後に、今抱いているwill(夢・志)についても教えてください!
高津:先述の通りではありますが、今進めているEV事業の分野で、世の中を変えるようなインパクトのあるサービスを生み出したいです。その想いの背景には、やはり昨今の異常気象・環境問題があります。2023年の夏も、猛暑日が続き、豪雨被害も絶えません。私たちが子どもの頃は夏も外で遊べる気温でしたが、今の子どもたちは遊びや部活動に制限がかかっています。
環境問題は、どこかの国の、遠い未来の話ではありません。私たち自身の暮らし、そして子ども・孫の世代が生きていく暮らしの話なのです。
そうした現状を変えるため、デンソーはカーボンニュートラルな世界の実現に向けて船を漕ぎ出しています。「EV関連の新規事業を担う私たちが、舵を切って世の中を引っ張っていくんだ!」それくらいの勢いを持って取り組んでいきたいですね。そして10年後、20年後に振り返ったとき「この事業、自分が最初に企画したんだよ」と胸を張って言えるような、世界にインパクトを与える事業やサービスを生み出したいです。
COMMENT
「できてない」 を 「できる」に。
知と人が集まる場所。