デンソーグループ2030年中期経営計画「CORE 2030」 全体像

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      2025年中期方針 振り返り

      デンソーの2030年中期経営計画「CORE2030」(コア ニーマルサンマル)についてお話ししたいと思います。

      2025年中期方針 振り返り。電動化:社会価値は環境負荷の低減(カーボンニュートラル)。提供価値はマルチパスウェイ、航続距離の延伸・走行性の向上(省燃費・排ガス低減、電動化技術の高出力化・電力損失低減等)。事業実績は電動化売上1.1兆円。知能化(ADAS):社会価値は交通事故の低減。提供価値は事故シーンカバー率56%達成(高信頼なADAS製品)。事業実績はADAS売上5,900億円。新領域(FA・農業等):社会価値は人手不足解消・生産性向上。提供価値はトータルソリューションでの困りごと解決(モビリティで磨いた技術を活用)。事業実績はアライアンス強化など成長の布石。メッセージ:お客様への確実な価値提供を実現。注:ADASはAdvanced Driver-Assistance Systems。事故シーンカバー率は道路の事故統計に基づきシナリオ・対象・衝突条件を定義し、ADASの対応可否をシミュレーション等で弊社独自に定量化した指標。FAはFactory Automation。

      私たちは、2025年中期方針をもとに、大きく変化する事業環境を的確に捉えながら、取り組んできました。
      モビリティ領域においては、環境負荷の低減とともに、マルチパスウェイへの対応が重要な課題です。私たちはこれまで培ってきた省燃費・排ガス低減技術、そして電動化技術を基盤に、HEV、PHEV、バッテリーEV、さらにはFCEVに至るまで、幅広い製品を提供し、航続距離の延伸や走行性の向上に貢献してきました。
      また、SDV時代において、高度運転支援や自動運転など、クルマの知能化が加速する中、交通事故の低減に貢献すべく、高信頼なADAS製品を提供することで、お客様の価値向上に貢献してきました。
      さらに、FAや農業などの新領域においても、モビリティ領域で磨いてきた技術を活用し、人手不足解消や生産性向上に貢献してきました。
      こうした、お客様への確実な価値提供を続けた結果として、当初の目標を上回る事業実績を実現するとともに、将来の成長に繋がる確かな布石を打つことができました。

      2025年中期方針 振り返り[事業・収益]。事業:半導体や通信技術の進化によりモビリティの付加価値が大きく増大。将来成長を加速すべく意思を持ってリソース投入を実行。収益:車両市場を上回る売上成長を実現。年平均成長率(20⇒25年)は車両市場+3%、売上成長+9%。将来成長を加速させるリソース投入を実行。品質費用発生の抑止や部材費等の急騰への対応が課題。表:売上高は20年度4.9兆円、25年度3Q時点見込み7.4兆円、25年中期方針目標7.0兆円。営業利益率は20年度3.1%、25年度3Q時点見込み7.2%、目標10%。ROEは20年度3.4%、25年度3Q時点見込み8.1%(株主資本コスト7.8%)、目標10%超。結論:リソース投入と共に付加価値向上を目指す。

      また、事業全体を振り返ると、半導体や通信技術の進化により、モビリティの付加価値が大きく増大する中で、将来成長を加速すべく、意思を持ってリソーセス投入を実行してまいりました。結果、車両市場を上回る売上成長を実現し、2020年度から2025年度にかけて、売上は、4.9兆円から7.4兆円へと拡大し、営業利益率7.2%、ROE8.1%となりました。一方で、意思を持ったリソーセス投入や品質費用の継続などにより、利益率は中計目標の10%には届かない見通しです。
      このように、着実な売上成長を実現する一方で、収益性という点で課題が残りましたので、今後、リソーセス投入と共に、付加価値向上を目指し、収益性を高めてまいります。

      2030年中期経営計画「CORE 2030」

      環境認識:社会課題の深刻化、世界の多極化・多様化、人の価値観の変化

      私たちを取り巻く環境は、構造的な変化を迎えています。

      一つ目は、社会課題の深刻化です。脱炭素社会への移行は地球規模で取り組むべき課題であり、交通事故も依然として多くの命を奪っています。「環境」と「安心」は、自動車業界が正面から向き合うべき重要な社会課題です。

      二つ目は、世界の多極化・多様化です。情報や技術のボーダレス化が進む中、欧米に加え、中国などからも革新的なイノベーションが生まれています。同時に、国際社会のパワーバランスは変化し、経済安全保障の重要性も高まっています。

      三つ目は、人の価値観の変化です。人々は精神的な充足や社会的意義を重視するようになり、AIの進化により、人の役割や働き方も問い直されています。

      こうした変化の中で、クルマは単体製品としての魅力を高めながら、社会システムの一部として価値を生み出す存在としても進化していきます。これらの価値は一社では実現できず、業界内や業界の領域を越えた連携が不可欠となっています。

      目指す姿:モビリティから広がる未来社会を人の可能性で実現する企業。デンソーグループ 2030年中期経営計画。CORE 2030。

      このような時代において、お客様価値をさらに高め続けるための新たな道標として、2030年中期経営計画「CORE2030」を定めました。

      3つの成長戦略

      提供価値向上に向けた取り組みの全体像

      まず、お客様への提供価値向上に向けた取り組みの全体像です。
      私たちがお客様や社会に対して果たすべき提供価値を実現するために、まず、基盤技術を進化させます。
      例えば、半導体では、車載用途に最適化した進化を追求し、ソフトウェアでは、AI技術の活用と開発スピードの革新を通じて実現していきます。

      その上で、モビリティ領域での価値向上に取り組みます。
      内燃・サーマルの領域では、マルチパスウェイを支える技術を深化させ、電動化では、システムからコンポーネントまで全てのレイヤーで進化させながら、お客様の多様なニーズに応えていきます。さらに知能化の領域では、高信頼なシステムをデンソーならではの技術で差別化し、価値を高めていきます。

      そして、モビリティ領域で培った技術や知見を、新たな領域、拡大貢献領域へと広げていきます。
      FAや農業といった分野では、パートナーとの連携を加速させ、半導体分野では、産業機器・民生機器・車載を横断したシナジーを最大化することで、新しい価値を生み出していきます。
      このように、基盤技術を磨き、モビリティ領域で価値を高め、その力を拡大貢献領域へと展開していくことで、お客様にとっての価値を高め、社会から期待され続ける企業を目指します。

      成長戦略。第1の柱:モビリティの多様化に応える、商品づくりの強化。第2の柱:現場に宿る実践知とAIを融合した、モノづくりの革新。第3の柱:新たな価値創造をけん引する、人づくり・パートナー共創。デンソーの強み:先端研究開発力。高効率・高品質なモノづくり。三位一体のシステム提案力(メカ・エレクトロニクス・ソフトウェア)。価値創造を支える人財。お客様・パートナーとのネットワーク。

      これらを実現するために、私たちの強みを活かし、3つの成長戦略を実行していきます。

      第1の柱:モビリティの多様化に応える「商品づくりの強化」

      第1の柱。モビリティの多様化に応える「商品づくりの強化」。モビリティの多様な進化。それぞれの国・地域に根差し多様に進化。エネルギー事情。政策・産業動向。人々の暮らし。必ず必要とされるお客様価値を、技術で支える。

      第1の柱は、モビリティの多様化に応える「商品づくりの強化」です。

      エネルギー事情や政策・産業動向、そして人々の暮らし方の違いによって、モビリティは国や地域ごとに、多様に進化しています。

      私たちは、その最前線で挑むお客様、即ち、OEMに対し、どの選択肢においても、必ず必要とされるお客様価値を、技術でしっかりと支えていきます。

      第1の柱:モビリティの多様化に応える「商品づくりの強化」。進化:コンポーネントを束ねた統合システム。磨き上げたコンポーネント。深化:競争力をさらに高める基盤技術。進化に対応:三位一体のシステム提案力(メカ・エレクトロニクス・ソフトウェア)。深化に対応:先端研究開発力。2030年までの5年間 研究開発費3.7兆円。2030年売上 電動化・知能化4兆円。お客様の競争力につながる新価値の創出に挑戦。

      商品づくりの強化とは、私たちが磨き上げてきたコンポーネントをベースに、「深化」と「進化」の二つを推進することです。
      「深化」は、半導体や材料といった基盤技術を、私たちの強みである先端研究開発の力によってさらに突き詰め、コンポーネントそのものの競争力をさらに高めていきます。
      「進化」は、メカ・エレクトロニクス・ソフトウェアを組み合わせた「三位一体のシステム提案力」を活かし、個々のコンポーネントを束ねた統合システムとして開発・提案していきます。

      この「深化」と「進化」を両輪で進めることで、コンポーネントの強さを、車両全体を見渡したシステム価値へとつなげ、お客様の競争力向上に貢献していきます。
      5年間で研究開発費3.7兆円を投入し、電動化・知能化領域において、売上を4兆円規模まで高めていきます。

      第2の柱:現場に宿る実践知とAIを融合した「モノづくりの革新」

      現場に宿る実践知とAIを融合した「モノづくりの革新」:デンソーの現場に宿る膨大な実践知が競争力を押し上げる重要な資本に

      第2の柱は、現場に宿る実践知とAIを融合した「モノづくりの革新」です。
      AIが現場に実装できる段階に入ったことは、デンソーの現場に宿る膨大な実践知が競争力を押し上げる重要な資本となる、大きな好機であると考えています。

      第2の柱:現場に宿る実践知とAIを融合した「モノづくりの革新」。デンソーの強み:高品質・高効率なモノづくり力を支える、膨大で模倣困難な実践知。暗黙知:不良解析の勘、材料・熱・流体現象の理解、自動車品質設計、安全のDNA、自動車ソフトウェア品質。データ:工程ログ、材料・解析データ、品質データ、設計変更履歴、自動運転ログ。AI活用:現場に実装するAIを開発。圧倒的なQCDの実現。QCDはQuality、Cost、Delivery。人の働き方を変え、人を高付加価値業務へシフト。善名南新工場:人とAIの進化に挑む。2027年完成予定、愛知県西尾市善名工場内。現場で磨いたモノづくり力を圧倒的なレベルに高め、世界のモノづくりの景色を変える。

      私たちの開発・製造現場には、高品質・高効率なモノづくりの力を支える膨大かつ模倣困難な実践知が宿っています。

      現場に実装するAIを開発し、実践知と掛け合わせることで、圧倒的なQCD(Quality, Cost, Delivery)の実現が可能になるだけでなく、AIの活用は人の働き方を変え、人が高付加価値業務へシフトしていくことを後押しします。
      この実現に向け動いており、愛知県西尾市の善明南新工場にて、進めていきます。そして、磨かれたモノづくりの力を圧倒的な水準まで高め、世界のモノづくりの景色を変えていきます。

      第3の柱:新たな価値創出を牽引する「人づくりとパートナー共創」

      第3の柱:新たな価値創出を牽引する「人づくりとパートナー共創」

      第3の柱は、新たな価値創出を牽引する「人づくりとパートナー共創」です。
      お伝えしたいポイントは3つ、「モビリティ領域の新たな共創モデル」、「拡大貢献領域でのパートナー連携」、そして「人づくり」です。

      第3の柱。新たな価値創出をけん引する「人づくり・パートナー共創」。モビリティ領域の新たな共創モデル。社会課題の深刻化:カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミー、資源・エネルギーの安全保障など。デンソーの強み:お客様、パートナー、業界団体・政府との強いつながり。DENSO。お客様:一体開発での新たな価値創出。パートナーの皆様:パートナーシップによる新価値創造。業界団体・政府:業界協調活動への参画・貢献。さまざまな関係者をつなぐ存在として、ときに先頭に立って課題を解決。

      まず、「モビリティ領域の新たな共創モデル」です。
      社会課題が深刻化する中で、モビリティが社会に新しい価値を提供し続けるには、こうした課題に企業の枠を超えて取り組む必要があります。例えば、走りながら路面より充電する走行中無線給電システムは、電池や航続距離といった電動化の制約・限界を突破し、モビリティのあり方を変える可能性がある技術です。一方で、その社会実装には、モビリティの進化と共に、インフラ整備や制度設計など、包括的な取り組みが欠かせません。私たちは、このような課題解決に向け、「お客様、パートナー、業界団体・政府との強いつながり」を活かし、さまざまな関係者をつなぐ存在として、時に先頭に立って課題を解決します。

      新たな価値創造をけん引する、人づくり・パートナー共創 / 拡大貢献領域でのパートナー連携:共に成長できるパートナーと連携し幅広く価値向上を実現

      次に、「拡大貢献領域のパートナー連携」です。
      これまでデンソーは、高い信頼性や高度なシステムを有する自動車の技術を活かし、人手不足解消・生産性向上といった社会課題を解決できる領域として、FAや農業の領域での新たな価値創出に取り組んできました。今後、自社の強みを生かしながら、共に成長できる戦略的パートナーとの連携を加速させていきます。
      2030年には、FAにおいては1.9万人の人手不足解消に貢献し、売上3,000億円規模を、農業においては生産性向上75%を達成し、売上1,000億円規模を目指します。
      半導体事業は、産業機器、民生機器、などの領域への展開を加速するとともに、車載も含めた3領域でのシナジーを最大化し、幅広く価値向上を実現してまいります。

      新たな価値創造をけん引する、人づくり・パートナー共創 / 人づくり:成長の原動力は「人」。社員の挑戦を後押し

      そして最後に、「人づくり」です。
      これまでご説明した活動に挑戦し、成長を実現する原動力は、いうまでもなく「人」です。社員一人ひとりが、新たな価値創出に向けて挑戦することで、お客様や社会からの信頼と共感を生みだし、そのことが、また、社員の挑戦意欲となり、次の価値創出へとつながっていきます。私たちは、この挑戦の循環を、これからも回し続けます。そのために、一人ひとりの専門性の可視化と計画的な育成に加え、AI・先端半導体など戦略領域での高度専門人財の獲得・育成を強化します。私たちは、社員の挑戦をこれからも後押ししていきます。

      目指す姿:モビリティから広がる未来社会を人の可能性で実現する企業。3つの成長戦略。柱1:モビリティの多様化に応える商品づくりの強化。柱2:現場に宿る実践知とAIを融合したモノづくりの革新。柱3:新たな価値創出をけん引する人づくり・パートナー共創。投入(2030年までの5年間累計):事業投入6.6兆円(研究開発3.7兆円、設備投資2.2兆円、価値創造基盤(IT・知財・人財)0.7兆円)。戦略投資+α兆円。財務指標(2030年):売上8兆円以上(内訳:電動化・知能化4兆円、FA3,000億円、農業1,000億円)。営業利益10%以上。ROE11%以上。投入/株主還元8兆円以上(26〜30年度累計:事業投入6.6兆円、配当1.0兆円、戦略投資・自己株式取得+α兆円)。

      これらの成長戦略を通じて、私たちが目指すのは、「モビリティから広がる未来社会を人の可能性で実現する企業」であり、そのことによりお客様の価値を高めてまいります。その実現に向けた研究開発や設備投資などへの投入、その結果として2030年に売上8兆円以上、営業利益率10%以上、ROE11%以上とします。

      デンソーの原点:技術とモノづくり、そして人の力で、より良い製品・サービスをお客様に届ける

      デンソーは創業以来、「環境」や「安心」に関する社会課題に対して、お客様である自動車メーカーの皆さまの声に真摯に向き合いながら、技術とモノづくり、そして人の力で挑み続けてきました。
      「技術とモノづくり、そして人の力で、より良い製品・サービスをお客様に届ける」、この原点を忘れず、常に「お客様起点で最善を」尽くしてまいります。

      Crafting the Core → お客様や社会にとって本当に必要な新たな「CORE」を創り続けていく

      この姿勢こそが、私たちの変わらぬデンソーらしさであり、コーポレートスローガン「Crafting the Core」に込めた想いです。

      変化の時代においても、私たちが築き上げた強みを礎に、世界中のお客様そしてパートナーの皆様とともに、お客様や社会にとって、本当に必要な新たな「Core」を創り続けていきます。

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