デンソーグループ2030年中期経営計画「CORE 2030」 成長戦略

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    成長戦略の詳細を説明します。

    成長戦略の全体像:第一の柱「商品づくりの強化」、第二の柱「モノづくりの革新」、第三の柱「人づくり・パートナー共創」

    商品づくりの強化、モノづくりの革新、人づくり・パートナー共創の3つの柱を順に説明してまいります。

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      カーボンニュートラル実現に向けた開発戦略

      多様なニーズに合わせて最適な製品を提供

      まず、カーボンニュートラルに関わる商品づくりについてお話します。
      カーボンニュートラルの実現には、国や地域、用途ごとに異なる現実への配慮が必要です。単一の技術に絞るのではなく、すべてのお客様の多様なニーズに向き合い、最適な選択肢を提供し続けることが重要だと考えています。
      デンソーは、ICE、HEV、PHEV、BEV、FCEVといった多様なパワートレインの進化を、これまでも、そしてこれからも技術で支えていきます。

      技術の進化と深化で多様なニーズに貢献

      それを実現するのは、私たちが長年磨いてきた基盤技術と、それらを統合する力です。
      デンソーは、モーター、インバーター、電源システムなど、幅広いコンポーネントを自ら手がけています。基盤技術の競争力をさらに高めて各コンポーネントを磨き上げるとともに、それらを束ねることで、ニーズに最適な統合システムを提供していきます。
      ここから具体的な事例をご紹介します。

      電駆動システム

      デンソーの強みを活かした統合電駆動システムの事例

      まず、こちらが電動化の中核をなす統合電駆動システムです。
      新型インバータでは、SiCをはじめとする低損失駆動技術、両面冷却技術により、損失を約70%低減し、体格を約30%小型化しました。
      これにより、航続距離の向上だけでなく、車両設計の自由度を高め、お客様にとってのシステム全体の価値向上につなげています。

      コア部品・コンポーネントの進化

      いま、ご説明したインバータに加え、主要コンポーネントとして、モーター、電源システムの開発にも取り組んでいます。
      それぞれのコンポーネントの競争力を磨き上げ、電動化の機能向上に貢献していきます。
      2028年度以降、順次市場投入を目指します。

      この後、具体的な事例として、SiCの内製技術とモータの進化について、ご紹介します。

      コア部品の進化:SiCの内製技術(独自のガス法)

      こちらは、電動化を支える半導体技術です。デンソーは、SiC半導体の結晶成長において、独自のガス法を開発しております。
      従来の昇華法と比べ、ウエハーの成長率を約15倍に高め、その結果、低コスト化とCO₂排出量の低減を同時に実現しています。
      この技術は、2027年度の市場投入を目指します。

      コア部品の進化:SiCの内製技術(デバイス開発)

      また、パワーデバイス開発では、独自の3次元構造により、デバイス内部の電界集中を抑え、低損失化を実現しています。
      製造から構造設計まで、独自の内製技術で進化させることで、コストと性能の両面で圧倒的な価値を提供していきます。

      コア部品の進化:モーター

      続いて、同じく電動化の主要コンポーネントであるモーターについてご紹介します。
      製造プロセス、および構造それぞれを磨き上げ、重希土類フリー、磁石レスでありながら、ネオジム磁石相当の性能を実現していきます。
      これらの技術は、2029年度、2030年度に順次市場投入し、走行性能と環境性能の両立・向上に貢献します。

      エネルギーマネジメント

      「電気」「熱」「運動」を利用した高度なエネルギーマネジメント制御の実現

      次にご紹介するのはエネルギーマネジメントの技術です。
      カーボンニュートラルの実現に向けては、車両全体のエネルギーを、いかに無駄なく使い切るかが重要となります。
      デンソーは、サーマル技術を活かし、電費向上と快適性・利便性を両立する技術を磨いてきました。

      エネルギーマネジメント:革新キャビン

      こちらは、エネルギーマネジメントの具体的な事例として、次世代革新キャビンです。
      高効率な防曇のためのガラスヒーティング技術や直接温調技術により、キャビン空調に関わるエネルギー消費を約50%削減しています。快適性を維持したままエネルギー効率を高める技術として、2030年度の市場投入を目指します。

      交通事故死亡者ゼロに向けたアプローチ

      交通死亡者数の推移と事故形態

      ここからは、知能化の取り組みについてご紹介します。ADASの搭載率が高まるにつれ、日本における交通事故による死亡者数は年々減少してきました。一方で、クルマ側の認識の限界や、ドライバの判断・操作に起因する事故は、いまなお発生しています。
      その結果、交通事故死亡者ゼロには、まだ到達できていないのが現状です。交通事故死亡者ゼロを実現するためには、クルマ単独のADASにとどまらない、新たなテクノロジーが必要になります。

      クルマ×ヒト×インフラ連携によって交通死亡者数ゼロを目指す

      デンソーは、交通事故死亡者ゼロの実現に向けて、事故カバー率向上に取り組んでいます。そのためには、走行環境を捉えるセンシングだけでなく、車室内センシングによって人の状態を理解すること、さらに、クルマ同士やインフラと協調する運転支援へと進化させていく必要があります。クルマ・ヒト・インフラが連携したシステムを、2030年までに導入し、その後、順次普及を進めていきます。

      AD/ADASシステムの進化 〜高信頼性の実現〜

      こちらに、デンソーが目指すAD/ADASシステムの進化を示します。デンソーは、一般的にはトレードオフ関係となる実安全と機能拡大を高次元に両立すべく、高信頼性のADASシステムの提供に取り組んでいきます。

      AD/ADASシステムの強み

      デンソーは、これまでもお客様とともに多種多様な国・地域で高い信頼性を磨き上げてきました。
      ダントツに低いクレーム率に裏付けられた高い信頼性こそ、安心・安全を支えるデンソーが提供すべき重要な付加価値・責務であり、他社が真似のできない強みであります。

      高信頼AD/ADASシステム

      その強みを生かし、量産品質で、安全に提供するための信頼システム基盤を開発してまいります。
      多様なセンサ、車載最適SoC、冗長アーキテクチャを組み合わせ、不要作動を起こさない仕組みを、2030年度を目標に市場投入し、事故シーンカバー率80%を達成致します。
      この後、SoCの開発について、ご紹介します。

      AD/ADASシステムを支える車載最適ECU/SoCの開発

      知能化の時代において、競争力を左右するのが、車載に最適化されたADAS ECUとSoCです。デンソーはシステムTier1サプライヤとして、SoCを使いこなし、最適化する力を強みに、空冷での基本機能の実現と、チップレット技術による低コストでの機能拡張を両立していきます。この消費電力を約25%削減した空冷SoCについては、2030年度の市場投入を目指しています。演算性能だけでなく、電力効率・面積効率・信頼性まで含めて最適化し、多様な車両ニーズに応じて、最適なSoCを搭載したECUを提供していきます。

      現場に宿る実践知とAIを融合した「モノづくりの革新」

      現場に宿る実践知とAIを融合した「モノづくりの革新」

      デンソーは、実践の中で培ってきた暗黙知やデータを活かした、AI実装を進めていきます。

      ここからは具体的に、設計開発現場の事例、工場の事例をご紹介します。

      事例1. 設計開発プロセスへのエージェントAI実装

      まず、設計開発現場においては、デンソーの強みである、お客様と共に磨き上げた技術の「広さ」と「深さ」に、AIによる「スピード」を加え、高付加価値の爆速提供を目指します。
      そのため、仕様・設計・モデル・コード・テストをつなぎ、AI主導で各工程の自動化・最適化を実現する開発プロセスの革新を進めて参ります。

      事例2. 工場へのフィジカルAI実装

      続いて、工場でのAI活用の事例をご紹介します。
      社会全体で労働人口が減少し、マルチパスウェイへの対応により生産量や品種の変動が拡大する中、生産性向上が一層求められています。こうした課題を踏まえ、製造領域においてもAI活用を積極的に進めていきます。デンソーが75年の現場で培ってきた強みである匠の技能や改善力、ロボットの内製開発技術・活用ノウハウは大きな強みです。
      これらを良質なデータに変え、AIでモデル化し、これまでは人にしかできなかった複雑な工程にも踏み込んで、自動化技術を適用していきます。同時に、フィジカルAIを活用していく上で、ますます重要となる高度設備保全人財のリスキルを加速し、2028年までにアインシュテラー7,000名体制を構築します。

      事例2. 工場へのフィジカルAI実装 〜善名南新工場の設立〜

      こうした取り組みは、部分的に実証を進めていますが、2027年に竣工予定の愛知県善明南工場で、新たな工場全体を使った実証を進めていきます。
      リアルな現場でスピーディーに実践し、人と機械が共に学びあい、進化し続けるモノづくりを実現していきます。

      新たな価値創出をけん引する「人づくり・パートナー共創」

      EVの不安を解消する新たなアプローチ 〜走行中無線給電システム〜

      ここからは、第三の柱である「パートナー共創」についてご説明します。社会が直面している課題は、個別研究や技術開発だけでは、十分に解決できないほどに複雑に絡み合っています。私たちは、こうした課題に対して、業界、そして政府やアカデミアとも連携することで、社会に新たな価値を提供し続けていきます。そのひとつが、「走行中無線給電システム」です。
      「走行中無線給電システム」は、道路インフラと車両が連携し、走行中に電力を供給することで、電池サイズの最適化と航続距離の不安解消を実現します。
      「充電時間ゼロ」、「電池搭載1/10」、といった嬉しさを届けるため、29年度の市場投入を目指し開発を進めています。
      様々なパートナーとの共創を通じて、都市全体の最適なエネルギーマネジメントで社会課題の解決を目指します。

      拡大貢献領域でのパートナー連携

      新たな価値創出をけん引する「人づくり・パートナー共創」/拡大貢献領域でのパートナー連携

      拡大貢献領域においては、M&Aも活用し、共に成長できるパートナーとの連携を加速させていきます。

      人づくり

      高度専門人材の増強

      続いて、「人財」に関する取り組みをご説明します。これまでご説明した技術・製品の実現に向けて、高度専門人財の増強が一層重要になります。
      具体的には、材料・半導体・AIといった重点領域における深い基盤技術を有する希少専門人財やエネルギーマネジメントや熱マネジメントシステム開発に不可欠な広い製品・要素技術を有するシステム人財の増強に向け縦横の幅広い技術領域を活かし、人財の獲得・育成を実行していきます。

      統合システムエンジニアの育成

      システム人財の育成について補足します。多様化するお客様や社会のニーズを満たすには、製品単体ではなく、モビリティ全体のシステムを統合・最適化することが必要です。
      その鍵となるのが、モビリティ全体に跨る技術の広さと深さ、システム思考、さらには、お客様や社内と共創する人間力などを合わせ持つ「統合システムエンジニア」です。
      この統合システムエンジニアは一朝一夕に育つものではありません。世界中の多様なお客様と、長年にわたり、共に仕事をさせていただく中で、学び・鍛えられるものと考えています。
      多様な実践の“場”を活かした戦略的な育成、デンソーらしい中長期的な育成にこだわり、開発の現場力を高めます。

      技術者の質・量の可視化を通じた戦略と連動した配置・育成

      事業戦略実現に向け、グローバル26,000人の技術者の質・量の可視化、すなわち、一人ひとりの専門性のレベルと分野及びその人数の可視化を通じて、基盤技術、コンポーネント、そしてシステムといった領域毎に、どこにどういった育成施策を打つべきか、どのレベルの人をどれくらい社外から採るべきか等、機動的な人財ポートフォリオ変革を推進していきます。

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