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財務戦略について説明します。
まず、25中期方針の振り返りです。
売上高、営業利益率、ROEについては林から説明した通りですが、財務的観点から追加説明します。
株主資本配当率、いわゆるDOEは、長期安定的な向上を目指し、3.5%まで向上させました。
自己株式取得は 21年度から25年度までの累計額で8,475億円、政策保有株式についても、20年度末に保有していた30銘柄のうち、25銘柄の売却を完了しました。
資本構成の改善、低収益資産の圧縮、そして株主還元の強化といった取り組みは、着実に前進した5年間だったと考えています。
一方で、品質費用の発生などにより、利益率は中計目標の10%には届いておらず、収益基盤強化には課題も残っています。
2025年中期方針では、事業成長と社会課題解決を両立させた真のサステナビリティ経営を強化・実践すべく、環境・安心の企業理念に沿った目標も設定しました。
環境領域では、BEV(バッテリー イーブイ)普及の鈍化という環境変化がありましたが、工場におけるCO₂排出量を大きく削減するとともに、電動化関連製品の機能向上・提供拡大などを通じ、社会全体のカーボンニュートラルを牽引してきました。
安心領域では、ADAS関連製品の技術開発と、普及しやすい魅力ある製品の提供を通じ、交通事故死亡者を発生させない、安心して暮らせる社会の実現に貢献してきました。
このようなデンソーのサステナビリティ経営の取り組みは、財務・非財務の両面で国内外から高く評価いただいています。
デンソーは、モビリティ領域と拡大貢献領域の双方で成長をけん引し、並行して、持続的な成長のための投入も実行することで、社会価値の創造と持続的な企業価値向上を続けます。
2030年に向けては、売上高は8兆円以上、営業利益率は10%以上、ROEは11%以上 を目指します。
財務・非財務両面でKPIを設定し、着実に戦略実行していきます。
自己資本比率は、資本効率の向上のため、50%程度まで低減していきます。株主還元については、DOEを、4.0%以上を目指して長期安定的に向上させ、自己株式取得は、資本構成や理論株価を踏まえ、成長戦略の進展に応じ、機動的に実行していきます。
また、環境・安心といったマテリアリティKPIについても、サステナブルに社会価値を創造していくための重要指標と位置づけ、取り組んでいきます。
なお、特に環境に関する今後の取り組みについては、「エコビジョン2035」として別途策定し、26年度内に公表予定です。
次に、事業成長について説明します。
2030年に向けた5年間で、モビリティ領域を着実に成長させるとともに、拡大貢献領域を、全社収益を支える事業として育てていきます。
モビリティ領域では、電動化・知能化領域のシステム価値創出を通じて、売上規模を、現行の約1.5倍となる4兆円に成長させます。
また、市場ニーズを的確にとらえてポートフォリオを機動的に変革します。
さらに、モビリティ以外の拡大貢献領域では、モビリティで培った技術・モノづくり力を活かしながら、パートナー連携を促進し、第2の貢献軸として確立させます。
2030年の成長目標実現と、その先の持続的な成長を見据え、価値創造基盤をより強固なものにする効果的な投入を実行します。
成長と投入の両立を通じ、2040年度には、FA・農業などモビリティ以外の領域を全社売上の3割に成長させ、持続的な成長を着実なものにするポートフォリオを構築し、さらに多様な社会課題解決に貢献していきます。
次に、事業ポートフォリオの変革について説明します。
モビリティにおいては、電動化、知能化と、熱マネジメントを成長領域と定め、さらに拡大させていきます。
内燃・サーマルは、市場の需要を見極めながら技術を深化させる領域と、サプライチェーン全体で競争力を最適化する領域を見定め、市場の様々なパワトレインのニーズに柔軟に対応したポートフォリオを実現します。
半導体やソフトウェアといった基盤技術については、開発効率・スピードを高めることで、全社の事業競争力を牽引する基盤としてより一層強化していきます。
また、モビリティ以外の拡大貢献領域では、モビリティで培った技術・モノづくり力を活かしながら、パートナー連携を促進し、事業拡大を図ります。
続いて、キャピタルアロケーションです。
安定したキャッシュ創出力をさらに拡大させ、26年度から30年度までの5年間で8.0兆円の営業キャッシュフローを生み出します。
生み出したキャッシュと調達資金をもとに、事業成長に向けた投入と株主の皆様への還元をさらに強化していきます。
成長性と資本効率の両立を意識し、投入領域をコントロールしながら、持続成長を支える財務基盤を継続して磨いてまいります。
事業投入について、さらに詳細をご説明します
2030年までの5年間で6兆円を超える規模を予定している事業投入の内訳として、設備投資には2.2兆円、研究開発には3.7兆円、価値創造基盤には0.7兆円の投入を見込んでいます。
設備投資は、成長性と資本効率に基づいたコントロールを実践します。
次世代工場やカーボンニュートラル技術など、中長期目線での投入分を増加させつつ、成長分野である電動化・知能化分野への投入比率を7割に高めます。
2030年時点で、売上高償却費率は5%未満に抑えます。
研究開発費は、外部環境が変化する中でも一層競争力を高めるべく、過去5年間と比べ約30%増の3.7兆円を投入します。
プロセス変革により、投入増を上回る開発効率向上を図り、電動化・知能化分野や、先端研究への投入比率を高めます。
また、ITや知財、人財といった、持続的成長を実現するための価値創造基盤への投入も強化します。
ここから、さらなる貢献を広げていく、FAと農業・半導体領域についてご説明します。
FA領域でも農業領域でも、私たちが直面している課題の本質は共通しています。生産年齢人口の減少による労働力不足や気候変動等による不安定な生産環境に対し、より効率的で安定的な生産環境が必要とされています。
半導体領域では、社会からの強いニーズに応え、多様かつ高機能な半導体の開発・生産が求められています。
それぞれの領域において、これまでモビリティで培ってきた技術を活かし、より強固なパートナーシップを構築することにより、社会課題の解決に貢献していきます。
まず、FA領域について説明します。
構想設計から生産準備、量産保守まで、ライフタイムサイクルを通じて理想的な工場づくりを支える総合ラインビルダーとして、人手不足問題の解決を目指します。
これまで、デンソーが培ってきたモノづくりの知見を活用し、サプライチェーン全体を俯瞰することで、お客様のニーズに寄り添った生産ラインを具現化してきました。
FA領域において、一層の課題解決を実現し、事業の拡大を果たすために、M&Aを通じて幅広いパートナーシップを確立していきます。
ライフタイムサイクルを通じたパートナーシップで事業基盤を築き、2030年度には、事業規模を現状の約4倍となる3,000億円に、2035年度には、5,000億円まで拡大します。
次に、農業領域です。
農業領域では、デンソーがモビリティ事業で培った技術を、パートナーシップの力と掛け合わせることで、新たな価値提供を実現します。
2023年以降、施設園芸大国であるオランダの複数のパートナーと提携し、新たな市場を創出してきました。
安定的で計画的な生産を実現するソリューションを、ワンストップで提案・提供することで、食の安定生産に貢献し、事業拡大を成し遂げます。
農業領域においても、パートナーとのシナジーが事業成長の鍵となります。
従来当社では、どの事業も日本でリーダーシップをとってきましたが、農業領域については、同領域の先端技術や情報が集中するオランダに事業本部を移管し、事業推進のスピードを加速します。
また、パートナー企業とシナジーを深めるべく、組織の壁を越えたチームで新たな価値を生み出す風土を醸成していきます。
これらの取り組みを通じ、農業の生産性を75%向上させるとともに、2030年度には農業領域の事業規模を1,000億円に、2035年度には2,000億円まで成長させます。
続いて、パートナー連携の方向性について紹介します。
デンソーは、半導体やソフトウェアといった基盤技術や、電動化や知能化を中心としたモビリティ領域の成長分野、および、FAや農業、半導体の、拡大貢献領域において、パートナーとの連携を通じた事業成長を実践してきました。
2017年以降、戦略的パートナー連携のための株式や事業の獲得に費やした投資額は累計で5,600億円にのぼります。
今後の非連続的な成長と事業ポートフォリオ変革の加速に向け、より大規模な連携も含め、戦略的パートナー連携を積極的に推進していきます。
これまでお話ししたような成長投資を力強く進めながら、株主の皆様への安定的な還元も実践してまいります。
2021年度にDOEを財務目標として定めて以来、これまで安定的にDOEを向上させてきました。
2030年に向けては、DOE4.0%以上を目指し、長期安定的に向上させていきます。
自己株取得についても、2021年以降、機動的に実施しており特に2024年には4,500億円の自己株取得を決定しました。
今後も、目指す資本構成と株価動向を踏まえ、機動的に株主還元を実施していきます。
以上、デンソーの企業価値向上に向けた道すじについてご説明しました。
デンソーは、社会価値の最大化と、資本効率の最大化を両輪として、持続的な企業価値向上を果たしていきます。
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