車両周辺情報を高性能に検知するカメラ・画像認識のアルゴリズム開発

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    • 株式会社デンソー
      セーフティシステム事業部
      セーフティセンサ&コンポーネント技術1部 室長片山 雄介

    続いては、画像認識技術を統括する立場にある、片山雄介が登壇しました。2004年に入社後、ナビゲーションシステムの音声認識などに関する研究開発に従事した後、2014年よりAD/ADAS領域に異動。以降は画像認識に関する業務を担当し、同領域の優れた技術開発でアワードを受賞したキャリアを誇ります。

    片山は、クルマにおける画像認識の流れや全体のシステム構成、使われている技術などについて説明しました。まずは、ルームミラー付近等に搭載されている車外センシング用カメラについてです。「真夏の車内は高温になるなど、過酷な環境下でも耐えられるように、筐体も含めてハードウェア開発の技術がまずある」と、片山は言います。

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      車外センシング用カメラを用いた車載画像認識

      車外センシング用カメラを用いた車載画像認識

      続いては、カメラが撮影した画像を認識する領域です。検出、追跡、情報付与といったフローを経て、車両システムにデータを送る構成となっています。

      「DNN(Deep Neural Network)」のようなAI技術やパターン認識といった技術が使われており、「全体を通して多様な技術が結集した上で成り立っています」(片山)

      実際にどのようなカメラを開発してきたのか。GSP向けも含め、単眼、ステレオ、周辺監視向けとタイプごとの変遷、系譜を示しました。

      同時に「認識アルゴリズムとしてはGSP1から機械学習を導入し、徐々にAI活用領域を増やしながら、機能拡大を進めています」と、最先端技術を量産活用していることを紹介しました。

      車外センシング用カメラ これまでの取り組み

      車外センシング用カメラ これまでの取り組み

      そして、これらのカメラも含めたシステムは複数の自動車メーカーで使われていると補足しました。

      GSP3の画像認識アルゴリズムが、どのような技術なのか。片山は他の走行車やレーンの白線、標識などの認識について、デモ動画を流しながら具体的に紹介しました。以下スライドで示したように白線は緑色、クルマは黄色いボックスとして、パイロンも認識していることがわかります。

      GSP3 画像認識アルゴリズム 技術紹介 1:移動物認識・ランドマーク認識

      さらには、画像認識エンジニアの職業病とユーモラスな表現も交えながら、次のように述べました。

      「実際の街中の標識や路面の矢印などは他の物標が重なり見えづらくなっていたり、同じく塗装が薄くなり見えづらくなっているケースが少なくなく、普段からとても気になっています(苦笑)。こういったケースは、人間と同様に画像認識でも正しく認識することが難しい場合があります」(片山)

      車載画像認識エンジニアが日常気になること

      このような課題を解決するために、実際の画像認識では様々な技術によって生成した複数の指標を使い、ケースに応じて相互補完やダブルチェックなどを行い、信頼性の担保を実現していると言います。

      片山は最後に今後の展望を次のように述べ、セッションを締めました。

      「複数のカメラが撮影した画像を統合認識させることで、交差点など判断が難しい状況でもあらゆる移動体を地図情報なしで認識し、見逃さないようにしたいと思っています」(片山)

      ※役職などは2024年11月講演当時のものです

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